2/3
予感
始業時間になり、部長の判断で自分の上司が顧客に連絡を取ることになったようだ。
「二課の課長をしております……はい、担当は不在にしておりまして、代わりに対応を……左用ですか、誠に申し訳ありません、はい、はい、…」
受話器越しの怒鳴り声と、上司の平謝りする声を耳にしながら、嫌な予感を感じる。
かれこれ30分は話していただろうか。疲れた様子で上司が受話器を置き、部長のところに報告に行ったようだ。
そんな上司を横目に、自分の担当する顧客の書類をプリンターから出力し、誤りがないかチェックする。数字のミスがないか蛍光ペン片手に集中していたために、背後の気配に気づくのが遅れた。
「ちょっといいかい?」
上司が部長と二人で自分の後ろに立っていた。嫌な予感が現実になったことを確信した瞬間だった。