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第85話 不殺の剣編⑦ 辻斬りへの挑戦

「まさかこのような村にいたとはな・・・。

 探したぞ、テンイ!!」





そ、その声はやっぱり!!


「ヒーツ!!」


そう。

つい先ほど私達の前に現れたヒーツが、またやって来たわ。


彼は剣士を騙る悪名高い辻斬りよ。

名を上げたいばかりに罪の無い勇者を奇襲し、殺そうとしたの。

勇者も追い詰められて危なかったけど、私と聖女の力でなんとか撃退出来たわ。


にしても私の『サンダー』・・・ランク1とは言え、攻撃魔法を受けたにも関わらず、もう回復するなんて。

腐り切っても剣士を名乗るだけあって、かなり鍛えているようね。


「・・・ふむ。

 連れの女が足りぬようだが、愛想でも尽かされたか?

 テンイよ。」


クール振りながらも、微妙に嬉しそうな口調でヒーツが挑発する。

あ〜・・・。

聖女の事を言ってるんだろうけど、彼女は今。


「ど〜したの?

 騒がしいわね・・・って、ゲッ!?

 ヒーツ。」


「・・・ん?

 ギャア!?

 化物!!」


式神と仲良くワイバーンの解体中だったの。

血塗れになりながら。


「誰が化物よ?

 失礼ねぇ。」


「無理もないでしょ。

 血塗れになりながら魔物を貪っている美少女なんて、化物扱いされて当然よ。」


「ただの解体作業じゃない・・・。

 人聞きの悪い。

 終わったらちゃんと綺麗にするから。」


そういう問題かしら?


私達は彼女のそういう姿に慣れたから、ほとんど驚かなくなったけれど。

初めての人が見たら、中々怖い姿よねぇ。

お爺さんも口には出さないながらも、かな〜り引いた目で彼女を見てるし。


「ふ、ふん!!

 連れの女にあのような仕込みを施し、こちらの動揺を誘うとは・・・。

 人も殺せぬ剣士失格男の姑息な策よ。」


「いやあの。

 聖女はただ、素材欲しさにワイバーンを解体してただけよ。」


曲解甚だしいってば。


「・・・ワイバーン?

 なっ!?

 女、貴様、あのワイバーンを倒したのか!??」


「違うわよ?

 倒したのは私じゃなくてテ・ン・イ。

 スキル『斬撃波』の一撃でね。」


「ラ・・・ランク1のスキルで!??

 噂は、本当だったのか・・・。」


あらま〜。

怯えてる、怯えてる。


・・・そりゃまあ、怖いわよねぇ。

喧嘩を売った相手がワイバーンでさえ、軽々倒せる程の傑物だって知ったらさぁ。


ってか、よく考えたらヒーツって剣術系のスキルが使えないのかしら?

ヒーツの性格上、使えるならとっくに使ってそうだもの。

まあ、剣が得意でも剣術スキルは苦手ってタイプなのかもね。


「だ、だが、だからどうしたと言うのだ?

 どうせ貴様は手を汚す事に怯え、人に向けてスキルは使えぬのであろう??

 自らの力に怯える者なぞ、恐るるに足りんわ!!」


しっかり見抜かれてるわね。

現実問題、清く正しい最強の戦士と、ナイフを持った犯罪組織の下っ端。

『強い』のは誰がどう考えても前者だけど、『危険』なのは後者だもの。


卑劣なだけあって、相変わらず計算高い。


「ま〜、別にテンイが戦うまでもないわよ。

 アンタなんて、何回来ようが私達が追っ払ってあげるから!!

 ね・・・王女。」


「ええ。」


「ご主人様は、私達で守るの〜!!」


「ちっ。

 相変わらず女に守られてばかりのヘタレめ!!

 黒猫族の子供のせいで、奇襲を仕掛けにくいのももどかしい。」


平気で奇襲を考える相手にヘタレ扱いされる筋合いは無いと思うけど。


「・・・。」


罵倒を受けつつも弁明する事無く、勇者は静かにヒーツを睨みつける。

そしてもらったばかりの不殺の剣をヒーツに向け・・・。





「王女、聖女、クロ・・・。

 悪いけど、少し下がってくれないかい?

 ・・・ヒーツは、俺一人で倒す!!」





とんでもない事を言い出したの!!


「何、言ってるのよ。勇者!?

 相手は私欲のためなら手段を選ばない、卑劣で危険な男よ!!

 一人で戦うのは危ないわ・・・。」


「そ〜よ、テンイ。

 あんなの、数の暴力でボコればい〜じゃない。

 犯罪者相手に正々堂々、1VS1の勝負なんか挑まなくてい〜わよ。」


聖女の言う通りよ。

お役人だって、少数の悪人を大勢の力で捕まえてるのよ。

その理屈で言えば、辻斬り(犯罪者)相手に正々堂々立ち向かう理由なんて一つもないわ。


「一度は私に叩きのめされた分際で、随分と大口を叩くではないか。

 ・・・しかも手に持っているのは不殺の剣か?


 あーっはっはっはっ!!

 そんな剣術ごっこに使う玩具なんかで、この私を倒せるとでも思ってるのか?」


「思ってるさ!!」


「なんだと・・・。」


挑発を挑発で返され、ヒーツの目に殺意が宿る。


「・・・今日はどうしたの?

 テンイ。

 チンピラ相手にさえ、そこまで強気な態度なんて取らなかったのにさぁ。」


「いやいや、エミリー。

 チンピラをあんな奴なんかと比べたら、チンピラに失礼じゃないか・・・。」


「貴様っ!!

 この私がチンピラにも劣ると言うのか!?」


更に侮辱され、ヒーツの殺気が増々強くなる。

当然、実力だけならそこいらのチンピラより、ヒーツの方が圧倒的に上でしょう。

仮にチンピラがヒーツに絡めば、叩きのめされるどころか、殺される可能性の方が高い。


でもね。


「もちろんさ。

 お前はちょっとガラが悪いだけのチンピラとは訳が違う。


 自分の欲望のためなら、どんなに卑劣なやり方も躊躇わない・・・。

 罪も無い人間だって、平然と殺そうとする。

 人の道をどれだけ踏み外せば気が済むんだ!?」


そうなの。

勇者は彼の実力を見下してるんじゃない。

彼の醜い生き方を見下しているのよ。





「けど俺はそんなお前に剣士として歯が立たなかった。

 ・・・それが凄く悔しかった。


 だから今度こそ、自分の力だけでお前を倒す!!

 お前のような悪党に二度と屈さないために!!」


「テンイ・・・。」


「口だけは一人前だな、テンイよ。

 ならば貴様一人でこの私に挑むが良い。

 返り討ちにして、今度こそ息の根を止めてくれるわ!!」





こうして勇者とヒーツの再戦が今、幕を開けたの!!


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