第83話 不殺の剣編⑤ 小さな村の老人
久しぶりに以前の話を見返したら、あんまりにもあれだなぁ・・・と思う部分が多々あったので、結構修正を加えました(特に第34話以前)。
物語の本筋自体は特に変えていないので、ご了承頂けたらと思いますw
細かくは後書きの方に記載します。
私達は不殺の剣を手に入れる為、とある小さな村へ入ったの。
「・・・・・・。
人が全然いないなぁ。」
「そうですね・・・。」
勇者の言う通り、人が全然見当たらなかったけど。
でも村そのものは特に荒れてないのよね。
「・・・あっ!?
あっちの方に一人、誰かいるみたい。」
「『索敵』で感知したんだね。
とりあえず行ってみよっか。」
クロが案内する方へ歩いていると、剣を携えた眼光鋭いお爺さんを見つけたわ。
後ろの建物は剣術の道場みたいね。
じゃああのお爺さんは剣術師範なのかしら?
「なんじゃ、お主らは・・・。
火事場泥棒か?」
「違うわよ。
・・・失礼なおじ~さんねぇ。」
「まあ、なんでも良いわい。
死にたくなければ、早くこの村から立ち去るのじゃ。
もうわし以外の住民はとっくに逃げとる。」
死にたくなければ・・・?
・・・。
・・・ま、まさか!?
「クロ!!
近くに危険なモンスターがいないか、調べてくれない!?」
「わかった~。
・・・・・・。
・・・あっ!?」
「何かいるのかい!?」
「遠くからちょっとだけ、とっても強そうなモンスターの気配がするの~!!
集中しないと、わからなかった~・・・。」
やっぱり!!
「強そうなモンスターですって!??」
「きっとこの村の近くで、ドラゴンのような危険なモンスターが発見されたのよ!!
だから村人が全然いなかったんだわ。」
この世界には『ドラゴン注意報』のようにね。
特別危険なモンスターを見かけた時は、周りに注意を促す文化があるの。
その後の対応パターンはいくつかあるけど、もしかして・・・。
「・・・もしかして、おじ~さん。
生贄にでもされたの?」
「違うわい。」
違うんだ。
少し安心したわ。
世の中には人を生贄にするような、ロクでもない人もいるからね。
「けど一体、どんなモンスターが発見されたんですか?」
「ワイバーンじゃ。
坊主よ。」
「「「ワイバーン!!??」」」
ワイバーンって・・・。
「?~。
ワイバーンって、どんなモンスターなの~?」
「飛竜とも言われている、空を飛ぶのがとっても得意なドラゴンの事よ。
普通のドラゴンよりもパワーは弱いけど、すっごくすばしっこいの。
小さな村や町くらいなら、あっと言う間に滅ぼしちゃうでしょうね。」
「!!??
・・・こわ~い。」
それでも単体なら、野良ドラゴンやヒドラよりも少し弱いと言われているわ。
まあ、並の人間じゃ到底敵わない事には変わりないから、どっちもどっちだけどね。
それどころかすばしっこい分、ワイバーンの方をより危険視する人達も少なくないの。
「で、それを知っていながら、ど~しておじ~さんは逃げないの?
言っちゃ悪いけど、ワイバーンはあなた一人で勝てるような相手じゃないわ。」
少し失礼だけど、聖女の言う通りね。
一人でワイバーンを倒そうと思ったら、最低でもランク3以上の魔法かスキルは使えないと。
けど、目の前のお爺さんがそこまでの使い手かと言われたら・・・。
「それくらい、わかっとるわい。
じゃが、わしにも剣士としての誇りがある。
どうして魔物が自分の村を滅ぼすのを、見過ごせようか。
せめて一矢報いるくらい、やってやるわ!!」
「そんな無茶な・・・。」
「・・・・・・。」
気持ちは分からなくもないけど、ほとんど自殺と変わらないじゃない。
「まっ、おじ~さんみたいなノリで死地に挑む人もいなくはないわよ。
・・・私にはちっとも理解出来ない感情だけど~?
喜んで無駄死にしたがるとか、バカでしょ。」
「ちょっとエミリー!?
言い方・・・。」
聖女ったら、少し切なそうな感じで毒を吐いたわね~。
昔、似たようなケースに出くわした事でもあったのかしら?
彼女はああ見えて、相当ヘビーな人生を歩んでるようだしね。
「なんとでも言うが良い。
それよりこんなおいぼれと、いつまでもお喋りしとる場合か?
早く逃げんと、お主らもワイバーンの餌食になるぞ??」
あっ、そうだったわ。
クロの言い方から察するに、まだ村から離れた場所にいるようだけど。
けどだからって、ゆっくりしすぎるのもマズいわね。
「特に坊主よ、お主も剣士じゃろう?
同じ剣の道を行く者として、若い芽をこんな所で潰させるわけにもいかぬ。」
「お爺さん・・・。」
「・・・じゃが剣の道、か。
どれだけ剣の腕を磨こうが、それで何になるんじゃろうな。
所詮、自分の居場所1つさえ、守れぬのにの。」
お爺さん・・・。
なんて悲しそうな表情なのかしら。
「おっと、すまぬな。
ただの年寄りの愚痴じゃ。
ほれ、早くこの村から立ち去るが良い。」
う、う~ん・・・。
本当にこのまま、この村から立ち去るべきなのかしら?
「・・・・・・。」
多分、勇者は『お爺さんのためにも、ワイバーンから村を守りたい』なんて思ってるんでしょうね。
勇者なら、ワイバーンを倒すくらいは容易いでしょうから。
でも、私の使命は勇者を元の世界へ無事、帰すこと。
だからなるべく、彼を危険から遠ざけるべきよ。
だけど・・・う~ん・・・。
「・・・。
あ?
(。-∀-)ニヤリ」
ん"?
「ど~したの~?
聖女様~??」
私が悩んでいると、聖女がやたらと悪そうな表情をしているのが見えたわ。
な、何を企んでるのかしら?
「ね~え、おじいさ~ん♪
あなたって、あの道場の剣術師範~?
だったら、不殺の剣の一本や二本くらい、持ってるんじゃな~い??」
「なぬ?
不殺の剣じゃと!?
・・・確かに何本か持っとるが。」
「だったらぁ。
不殺の剣を譲ってくれたらぁ。
私達の力でワイバーンをど~にかしてあ・げ・る♪」
こら、聖女!?
「アホか、お主ら・・・。
やれるものなら、やってみろ。
本当にワイバーンをどうにか出来たら、不殺の剣くらい、何本でも譲ってやるわ!!」
聖女の言葉を全く信じず、投げやりに答えるお爺さん。
「やったぁ。
じゃ、そ~いう事だからよ・ろ・し・く。
テンイ♪」
「こらっ、聖女!!
あなたったら、相談もせずに勝手に決めて・・・。」
「あら、い~じゃない。
王女、あんたもど~せワイバーンくらい、テンイなら余裕で勝てると思ってるでしょ?
万一があるかもだから、口を閉ざしてるだけで。」
「・・・そ、それは。」
完璧に心を読まれてるわ。
「それにテンイだって、ど~せおじ~さんのために戦いたいとか考えてそ~だもの。
だったらついでに不殺の剣を報酬として頂きましょうよ。
その方が一石二鳥でお得よ♪」
「聖女様。
頭、いい~♪」
その頭の良さは見習って良いものかしら?
「そうだね。
・・・俺も同じ剣士として、お爺さんを放っておけないからさ。
だから戦うよ!!」
「仕方ないですね・・・。」
勇者ならよっぽどの事がない限り、ワイバーンに負けたりはしないでしょう。
ワイバーンよりも強い、ドラゴンやヒドラを倒した事だってあるもの。
お爺さんや村を見捨てるのも可哀想だし、勇者が望むならまあいっか。
「これっ、お主ら!?
・・・バカな事を言うでない。
いつまでもふざけとらんで、とっとと逃げん・・・。」
「あっ!??
強そうなモンスターの気配がどんどん近づいて来る!!
もしかして、ワイバーン!?」
えっ!?
「キシャアアアアアアアア!!!!!!!!」
クロの声に導かれるまま、空を見上げて見ると・・・。
そこには一体のワイバーンが飛び交っていたの!!
それなりに大きな変更箇所について
●『転移勇者との付き合い方 ~ハーレム編~』について、いくらか修正を加えました。
主に第3、12、23、24、32、33、40、54、79話で修正を加えています。
・・・さすがに内容がちょっと支離滅裂かなー、と感じたので、本としての方向性をある程度ながら定めましたw
いくらネタアイテムとは言え、主要メンバーに影響を与えているのも確かなので。
なお、いくら王女でも彼女なりの良心や倫理観に反する記述に関しては、肯定しません。
逆に言えば良心や倫理観に反しない限り、本の内容を肯定する傾向にありますw
●第22話より、回復魔法が使える条件を若干、緩和しました。
修正前の書き方だと、まるでエミリーが世界有数の善人みたいで不自然だよなー・・・とw
なお、彼女の性格は『やさぐれてるけど、根はそれなりに善良』程度で、天使のように心が美しい人間とかじゃないですww
●第26話で「スキル」と表記されている箇所を「技術」に変更しました。
特別なパワーで発動する訳でもないのに「ナデポ」を「スキル」扱いしており、紛らわしかったためw
●第75話と第25話で矛盾が発生したため、第25話の方を修正しました。
第75話時点では、クロがハーレムの意味を知らない事にしました。
その関係で、第25話でクロにハーレムの意味を説明している箇所を削除しました。
●他にも細かい部分をコソコソ修正していますw




