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第75話 ドジっ子編① ドジっ子とは?

Side 〜クロ〜


「クロ。

 今日は世界で活躍するハーレム要員さんについて、お勉強しましょう。」


「は〜い。」


あたし、クロ。

異世界からやって来た転移勇者様のハーレム要員なの~♪


・・・あれれ?

そ~言えば『ハーレム』って、どういう意味なんだろう?

また今度、王女様に聞いてみよっと。


とにかく『ハーレム要員』はね。

転移勇者様を幸せにするために働いているんだ。


けどあたし、まだ子供だから『大人のお仕事』はやっちゃダメだって言われてるの。

子供が『大人のお仕事』をするのは、心にも体にも良くないんだって。

だから今は将来、立派なハーレム要員になるためにお勉強中なんだ♪


「クロは『ドジっ子』って知ってる?」


「ドジっ子〜?

 な〜に、それ〜?」


あたしに『ハーレム要員』について教えてくれるのは、ジャクショウ国の王女様なの。

とっても綺麗であたしの想像も付かないような事をい〜っぱい知ってるんだ~♪


「ま〜たあんたはクロに妙な事を吹き込んで・・・。」


王女様から少し離れたところにいる美人さんは聖女様。

防御魔法や回復魔法が得意なんだ。

すっごく勇敢で格好良い人なんだよ。


だけどハーレムのお勉強は好きじゃないのかな?

よく王女様に茶々をいれてるの〜。


「ドジっ子はね。

 コケたり、お皿を割ったりして、男の人に可愛がられるお仕事をしているの。

 『ふえぇ・・・』って、泣き声を出す事が多いわ。」


コケたり、お皿を割ると可愛がられるお仕事!??


「それのどこがお仕事よ!?

 ペットで飼われている犬猫と同じレベルじゃない。」


信じられな〜い・・・。


「ど~してそんな真似して可愛がられるの~?」


「一説によるとね。

 『ほっとけない』とか『俺が付いてやらないとダメなんだ』とか、そういう気持ちになっちゃうらしいわ。」


「そ~なんだ~・・・。

 あたしが奴隷だった時は、コケたらいっぱい怒られたのになぁ。」


怒られた後、何度も叩かれてね。

すっごく痛かったの。

だからコケたりしないよう、気を付けていたんだよ。


「ま〜、あなたのケースはかなり特殊だけどね。

 でもドジな人間は嫌がられるのが普通よ。」


・・・だよね〜。

今のご主人様はともかく、昔のご主人様はドジな事をしたら顔を真っ赤にして怒鳴ってきたもん。


「だけど、プロのドジっ子は一味も二味も違うの。

 どんなタイミングでコケたら男の人が和むかとか、どのお皿なら割っても許されるかとかね。

 ちゃ〜んと計算した上でやってるのよ。

 とっても頭が良くないと出来ない芸当だわ。」


「す、凄〜い!!」


「王女・・・。

 やっぱりあんた、実はドジっ子を貶してるでしょ?」


・・・プロのドジっ子がそんなに凄い人達だったなんて。


「貶すなんてとんでもない!!

 それにプロのドジっ子は頭が良いだけじゃないの。

 いくらバカにされても、何回転んでも、笑顔を振る舞えるような強い女の子じゃないと務まらないのよ。

 私なんかには絶対に無理だわ。」


「あんたの発想はいつも斜め上を行くわね。」


凄い凄い凄い!!


「ねえねえ、王女様〜。

 あたしも頑張れば、プロのドジっ子になれるかなぁ?」


「い〜から止めときなさい・・・。」


なんで〜?

聖女様〜。


「そうね。

 特に私達のような冒険者がドジっ子の道を進むのは困難よ。

 下手にドジるタイミングを間違たら、死にかねないもの。」


「そんな!?」


「そりゃまあ、冒険者なんて1回のドジが命取りになりかねないからねぇ。

 本当にドジな子なら、生き残れないでしょ。」


こ・・・怖いよ〜。


「例の本にはドジっ子が冒険者として活躍するケースも多い、と書かれてるけどね。

 ・・・ちょっと信じられないけど。

 戦闘中でさえドジっ子アピールを忘れないなんて、歴戦の英雄よりも度胸があるんじゃないかしら?」


・・・そ~だよね。


「だからね、クロ。

 危険を冒してまで、ドジっ子の道を進もうとしなくて良いのよ。

 あなたはあなたのハーレム道を進みなさい。」


「は〜い。」


「何よ、その『ハーレム道』って・・・。」


あたしじゃ、プロのドジっ子にはなれないか~。

残念だなぁ。


けど、プロのドジっ子さんかぁ〜。

一体、どんな女の子なんだろう?


会えるなら、会ってみたいなぁ。


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