第71話 婚約破棄編⑮ ハーレム要員の役割
逆恨み男カジリが雇った、(自称)最強の魔術師は強力なゴーレム達を召喚し、魔族サーラを圧倒する。
それでも聖女の防御魔法でゴーレム達の猛攻は防ぐも、なんと奴らは・・・。
「なあ、聖女さ~ん?
今すぐその忌々しいバリアを解いて、ミロを渡してくれよぅ。
じゃないと、あいつらを・・・殺すぞ!!」
なんて言い出したの!!
「ひえっ・・・。」
「おおっと?
動くなよぉ~、お前ら。
少しでも動いたら・・・殺す!!」
野次馬達が逃げ惑わないよう、魔術師が釘を刺す。
「さぁ~・・・て、と。
ど~する?
聖女さ~ん。」
「くっ!?」
一体、どうすれば良いの?
「エミリー!!
君の防御魔法で皆を守れないの?」
「いくら何でも無理よ。
守るべき人達がバラバラの場所にいるもの・・・。
1~2個のバリアじゃ、カバーしきれないわ!!」
全員が一か所に固まっていれば、聖女のバリアで皆を守れるのだけど。
守るべき人達がこんなに点在していると、3人で協力しながらバリアを張ったとしても、全てをフォローしきれないわ。
「だったら、逆転の発想だ。
あいつらをバリアで閉じ込めてしまおう!!」
「あっ?
その手があったわね!!
その隙に皆に避難してもらえば・・・。」
「「何っ!?」」
前の山賊との戦闘を思い出したのか、勇者が敵をバリアで閉じ込めてしまおうと提案する。
敵が『ある事』に気付かなければ、時間稼ぎとしてかなり有効なんだけど・・・。
「そそそ・・・そんな真似は絶対に許さないぞ!?
もしも俺達をバリアで閉じ込めたりしたら、バリアの外にゴーレムを作って、暴れさせてやる!!」
「うっ!?」
魔術師が焦りながらも、バリアで閉じ込めるなと牽制する。
召喚魔法はある程度であれば、モンスターの召喚場所をコントロール出来るからね。
バリアの中からバリアの外にゴーレムを召喚するのも、決して無理な話ではないわ。
・・・どうしましょう?
・・・どうしましょう!!
「私が死ねば、周りの人に手を出さないと、約束してくれますか?」
ミロ!?
「ミロさん!?
やめて~。」
「ダメです・・・。
お嬢様!!」
クロやサーラがミロの自己犠牲を止めようとする。
「良いの。
こうなったのも全て、私のせいだから。
人を呪い、不幸を望んだせいだから・・・!!」
「何、言ってんのよ!?
そんなの、しょ~がないじゃない・・・。
裏切り者の不幸を望むくらい、人間だったら当然の感情よ!!」
一個も聖女らしくない台詞だけど、私だってそう思う。
むしろカジリからの仕打ちを考えれば、あの程度の呪いなんて全然軽いわ。
「ありがとう、エミリー。
けど良いの・・・早くバリアを解いて。
私のせいで、罪も無い人を犠牲にするわけにはいかないから!!」
「うっ。」
けれど、ミロの決意は固かったの。
・・・もう。
「ミロの言う通りにするしかないのかしら?
犠牲は避けられないのかしら・・・。」
サーラは大怪我により、戦えない。
聖女の防御魔法では、全ての人達を守り切れない。
私やクロではゴールドゴーレムやシルバーゴーレムの足元にも及ばない。
「・・・・・・。」
そして勇者の魔法やスキルでは、あまりに強力すぎて、周りに被害を及ぼしてしまう。
でもだからと言って、剣術だけではどうしようもないわ。
いくら勇者の剣術が凄くても、あんな安物の剣でゴーレム達を一刀両断するなんて、絶対に無理よ。
だからもう・・・。
ミロが犠牲になるのを見届けるしか・・・。
「王女!!」
勇者!?
「なんか良いアイデアを出して!!
誰も死なせずにどうにかする方法を、考えて!!」
え、ええええええええ!!!!????
そんな、無茶な・・・。
「・・・だって、可哀想じゃないか!!
元はと言えば、人を裏切るような奴が1番悪いのにさ。
なのに、どうしてミロが犠牲にならないといけないんだ!?
そんなの、あんまりすぎるよ・・・。」
勇者・・・はぁ。
「まったく。
勇者様は意外とわがままですねぇ。」
「王女?」
「でも、誰かを助けたい故のわがままですからね。
であれば、あなたの望みが叶えられるよう、力を尽くすのが私の役目なんでしょう。」
「王女!!」
もちろん、他人を助けるよりも勇者の安全を第一に考えなければいけないわ。
だって彼は勇者召喚により、強引にこの世界へ拉致された被害者ですもの。
・・・それでも彼が望むのなら。
転移勇者のハーレム要員として、優しさからくるわがままくらい、叶えてあげなければ!!
「けっ。
今更、お前ら如きに何が出来る・・・。
確かにそこの優男の剣術はやべぇよ。
だが剣なんかで、強靭な体を持つゴーレムに敵う訳無いだろ!!」
その通りよ。
名刀であればまだしも、私が城から持ち出した安物の剣でゴールドゴーレム達を斬れるとは思えない。
だったら、どうすれば良いのかしら?
召喚されたゴーレム達さえ、なんとか出来れば・・・。
・・・召喚?
それよ!!
「勇者様・・・。
召喚には召喚です。
ここは召喚魔法でモンスターを呼び、どうにかしてもらいましょう!!」
「召喚魔法?」
「今から実演してみせますので、よく見ておいてくださいね。
サモン!!」
私はランク1の召喚魔法を使用し、モンスターを呼び寄せた。
召喚陣から出て来たモンスターは・・・。
「キュイっ!!」
ホーンラビットね。
簡単に言えば角を生やした兎のモンスターで、その角から繰り出される突進は低級魔物にしては強烈よ。
・・・さすがにあのゴーレム達には敵わないけど。
「おおっ!?
結構、可愛い・・・。」
「勇者様は力のコントロールが苦手です。
ならばモンスターを召喚し、代わりに戦ってもらえば良いのです。」
「その手があったか!!」
召喚魔法は召喚するモンスターを指定しなければ、何が呼び出されるかわからないわ。
けれど魔術師がやってみせたように、『サモン』の前に対象を指定すれば、召喚したいモンスターをコントロール出来るの。
つまり周りに被害を出さず、ゴーレムだけを器用に倒してくれるようなモンスターを呼び出せれば・・・。
「あははははははは・・・・・・。
バカか、お前ら?
ランク1の召喚魔法なんかで、俺の作った最強のゴーレムが倒せるものか!!」
通常であれば、その通りね。
低ランクの召喚魔法で呼べるモンスターなんて、低級魔物がやっとよ。
けれどランク1の魔法でランク5の魔法以上のパワーを引き出せる勇者なら!!
どれほど強いモンスターだって、召喚出来るはずよ。
後はどんなモンスターを呼んで貰うか・・・。
召喚魔法自体はもう勇者、覚えたんだけどさ。
彼ってば、一目見ただけで魔法もスキルもあっさり修得しちゃうもの。
それでも呼び出すモンスターのイメージは必要だからね。
早く考えて、勇者が知らないモンスターだったら、図鑑でも見せて・・・。
「よしっ!!
じゃあ、行くぞ!!」
え?
「お、お待ちください・・・。
召喚したいモンス。」
ターを指定しなければ、何が呼び出されるかわからないのよ!?
「けど早くしないと、罪も無い人があいつらの犠牲になっちゃうよ。
急がないと・・・。
サモン!!」
待っ・・・。
「はっ!!
どんなモンスターでも呼べよ。
俺のゴーレムで粉さ・・・い?」
「なっ、なっ、なっ・・・・・・???」
ゆ、勇者の召喚魔法によって呼び出されたモンスターは・・・。
モンスターは!!
「ウォオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!!!!!」
エ、エンシェントドラゴン!!!!????




