表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

72/210

第70話 婚約破棄編⑭ 金と銀のゴーレム

逆恨み男カジリは元婚約者であるミロを殺すため、後先すら考えずに(自称)最強の魔術師を雇う。

魔術師は第1の刺客として、ストーンゴーレムを召喚するも、魔族サーラの拳により、あっけなく打ち砕かれたわ。


・・・けれど。





「いでよ、我が最強の下僕よ。

 サード・ゴールドゴーレム・サモン!!」





なんと魔術師はランク3の召喚魔法を使い、金色のゴーレムを呼び寄せたの!!


「あ・・・あれはゴールドゴーレム!?

 ストーンゴーレムよりもはるかに強力なモンスターよ!!」


ゴールドゴーレムは金の体を持つゴーレムで、ストーンゴーレム以上の巨体と実力を誇るわ。

ランク1~2の魔法・スキルでは、かすり傷さえ付けられないでしょう。



「やれっ。

 ゴールドゴーレム!!」


「ガアアアアアアアア!!!!!!!!」


「うぉおおおおおおおお!!!!!!!!」



ゴールドゴーレムと魔族の拳がぶつかり合う。

が、二者のパワーは互角なようで、互いの体が後ろへと吹き飛ばされる。


「ちぃ・・・。

 厄介な。」


魔族ですら、簡単には倒せないなんて・・・。

ゴールドゴーレム、なんて強さなのかしら。


「ど、どうしよう・・・。

 ファイアでも使って、あいつを溶かすか?

 ・・・いや、それよりも巨大化で。」


「ダ、ダメです。

 こんな場所であなたの魔法やスキルを使っては、周りに被害が・・・。」


「うっ!?」


それでも勇者が魔法やスキルを使えば、ゴールドゴーレムすら一撃で粉砕出来るでしょう。

でも彼は自分のありあまるパワーをコントロール出来ない。

迂闊に戦うと、大勢の人達を巻き込んでしまうわ。


今はサーラの力を信じるしかないのだけど・・・。


「あの魔族、思ったよりもやるなぁ。

 ・・・だがな、勝つのはこの俺だ。

 サード・シルバーゴーレム・サモン!!」


なんですって!?


なんと魔術師はゴールドゴーレムに続いて、銀色のゴーレムを呼び寄せたの。

シルバーゴーレムは銀の体を持つゴーレムで、ゴールドゴーレムとほぼ互角の実力を誇る。


「何!?」


「殺ってしまえ・・・。

 シルバーゴーレム!!」


2体のゴーレムから襲撃を受け、さしものサーラも劣勢を強いられてしまう。

一応、一度に2体以上のモンスターを召喚出来なくはないけど、そんな事をすれば、より制御が難しくなるわ。


特にゴーレム系のモンスターは自意識が無い分、スムーズに動かすのが大変だもの。

その辺は『ペーパー・サモン』で式神を召喚した時と同じね。


『最強』は盛りすぎだけど、あの魔術師は召喚魔法の使い手として、かなり優秀みたい。


「困ったわねぇ。

 ああも互いの距離が近いと、防御魔法でのフォローも難しいわ。」


そうね。

接近戦の最中、変な場所に盾やバリアを出すと、邪魔になりかねないもの。

けれどサーラ1人でゴーレム2体に勝てるのかしら・・・。



「ガアアアアアアアア!!!!!!!!」


「ぐおっ!?」



私の不安は的中し、シルバーゴーレムの拳がサーラに命中してしまう・・・。

彼は地面に叩きつけられるも、当たりが浅かったおかげで致命打にはなってないようね。


「サーラ!??」


「あっ、ミロ?

 行っちゃダメ!!」


でもミロはそう思わなかったようで、心配のあまりサーラの元へ駆け寄ってしまったの。

・・・聖女の制止をも振り切って。


「チャ~ンス・・・。

 今だ、あの魔女をぶっ殺せ!!」


「あ~、標的はあいつだったっけな。

 悪いがこれも仕事だ。

 とっとと死んでしまえーーーー!!!!」


「えっ?」


唖然とするミロにゴールドゴーレムが拳を振り上げる!!


「ガアアアアアアアア!!!!!!!!」


「い、いやぁああああああああ!!!!!!!!」


まずいわ。

もう聖女の防御魔法も間に合わない!!





「お嬢様ーーーーーーーー!!!!!!!!」





しかし間一髪、サーラがミロを強引に後ろに下げ、彼女をゴールドゴーレムの拳から逃がしたわ。


「ぐぁああああああああ!!!!????」


けれど代わりにサーラがゴールドゴーレムの拳をまともに食らってしまったの。

そのまま彼は私達の方まで吹き飛ばされてしまう。


「サーラ!?」


「あっ・・・!?

 ・・・う、うう。」


さしものサーラもかなり大きなダメージを受けてしまったわ。

この様子では戦うどころか、命だって危ない。


「そ、そんな・・・。

 サーラ!!」


「自滅しやがったか、バカな魔族め。

 これで邪魔者は消えた・・・。

 全員、まとめて死んでしまえぇええええええええ!!!!!!!!」


「「ガアアアアアアアア!!!!!!!!」」


金と銀のゴーレムが私達ごとミロを殺さんと襲い掛かったの。

だけど。





「フォース・バリア!!」





聖女がランク4の防御魔法を使い、ゴーレム達の拳を完全にガードする。


「なんだと!?

 ゴールドゴーレム達の攻撃を・・・!!」


「ちぃい・・・。

 ま~たあの女か!!

 あんなバリア、ぶっ壊してしまえ!!」


金と銀のゴーレムが拳を何度も叩きつけるも、バリアにはヒビ一つ入らない。

いくらゴールドゴーレムやシルバーゴーレムと言えど、聖女のバリアは打ち破れないようね。


「何故だ!?

 どうしてあんな華奢な女が使うバリアすら、壊せないのだ?」


「ふんっ。

 聖女であるこの私の防御魔法を、甘く見てもらっては困るわ。

 ドラゴンやヒドラの襲撃だって、防げるんだから!!」


「聖女・・・だと?

 まさかお前、あの聖女エミリーなのか!?

 くっ。」


ようやく彼女の正体に気付いたようで、ゴーレム達の攻撃が更に加熱する。

しかしそれでもバリアにはヒビ一つ、入らない。


「そ、そんな・・・。

 俺の作った最強のゴーレムでさえ、聖女のバリアは壊せないのか!?」


「残念だけど、そ~いう事ね。

 わかったら、早く諦めてお家に帰りなさい!!」


「く・・・くそぉおおおお!!!!」


不敵な笑みを浮かべながら挑発を繰り返す聖女だけど、頬に一筋の汗が流れているのがわかる。

彼女も理解しているみたいね。

追い詰められているのは未だ、私達の方である事を。


確かにゴールドゴーレムやシルバーゴーレムでは、いくら攻撃しようと聖女のバリアを壊せない。

けれど今のままでは、『私達だけは』大丈夫だったとしても・・・。


カジリや魔術師が何も気付かずに、撤退してくれれば良いのだけれど。


「あ、あの・・・。

 エミリー。」


「安心しなさい。

 乗り掛かった船よ。

 あなたやサーラも一緒に守ってあげるわ。」


「け、けど・・・。

 バリアの外にいる人達はどうなるのです?

 私の両親や、ダンスパーティに来ている人達は!!」


あっ!?


「や、や~ね~。

 ミロってば。

 そんな事は気付いても知らない振りするべきよ♪」


「そそそ、そうね・・・。

 ほら、ミロ。

 些事に拘って、聖女の邪魔をするのも良くないわ。」


私達はこれ以上、ミロが余計な事を喋らないよう、説得を試みた。

・・・だけど。


「些事って何よ!!

 もし、あいつらが周りの人達を襲い始めたらどうするの!?」


ダ、ダメぇ・・・。

そんな大声で叫んだらさぁ。





「なるほどなぁ・・・。

 ミロは随分とお優しい性格みたいだなぁ。


 だったらあんなバリア、壊すまでもない。

 周りの連中を人質に取ろうぜぇ。」


「おっ、ナイスアイデア!!」





あいつらが人質を取ってしまえって、考えちゃうじゃない。


「あちゃ~・・・。

 もう。ミロったら、困った子ねぇ。

 自分がやって欲しくない事を大声で叫んでど~するの!?」

 

「あ。」


だから私も聖女も黙るよう、促したのに・・・。


今の状況では、周りの人達全員をバリアで守るなんて絶対に無理なの。

敵が懐に入ってしまっている上、守るべき陣地が点在してるもの・・・。

故にどれだけ上手に防御魔法を使おうと、どうしても守れない場所が出来てしまう。


・・・物語のヒロインのように、他人を気遣う心は美しいわ。

けれど場合によっては薄情に振る舞う方が、不要なトラブルを避けられるものよ。


「み、みんな~。

 人がいっぱい、集まって来てるの~・・・。」


えっ。



「いやぁああああああああ!!!!????」

「な、なんだ・・・あの怪物は???」

「あれはカジリ。どうしてこんな所に・・・。」



しまった!!

・・・いつの間にか野次馬達がこんなに。





「なあ、聖女さ~ん?

 今すぐその忌々しいバリアを解いて、ミロを渡してくれよぅ。

 じゃないと、あいつらを・・・殺すぞ!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ