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第68話 婚約破棄編⑫ ざまぁの代償

ミロは婚約破棄した人間を不幸にする『ハキ』の力の持ち主だった。

そんな彼女からは勇者ですら逃げられない!!

・・・と思ったのも束の間、婚約せずに婚約破棄は出来ない事が判明。


良かった、良かっ・・・。





「ぜんっぜん、良くないわよ!!」





ミロ!?


「・・・なんでよ。

 どうしてよ?

 どうして私は幸せを掴めないの!?」


あなたねぇ・・・。


「そもそもの話、出会って一日足らずで結婚しよう!!

 ・・・ってのが、無理あるのよ。」


「王女、もう止めて・・・。

 私のライフはとっくに0よ。」


「なんで聖女様、苦しそ~にしてるの~?」


仮にそれで勇者と結ばれたとしてもさぁ。

幸せを掴めるなんてとても思えない。


「あなた達みたいな美少女に、私の気持ちなんかわからないわ!!」


いや、ミロも十分美少女だって。


「・・・私なんてカジリにね。

 『他の女に嫌がらせを繰り返していた』『真実の愛に目覚めた』って、言われたの。

 そんな理由で婚約破棄されたの。」


え?


「いやいや、何の冗談よ?

 婚約まで結んでおきながら『いじめっ子嫌いだから別れる~』なんて、幼児でも言わないわ!!」


「それに『真実の愛に目覚めた』なんて理由で、婚約破棄を言い渡すなんてありえないって。

 浮気を開き直ってるだけじゃん・・・。

 いくら男がバカだからって、そんな言い訳で女の子と別れようとするほど、命知らずじゃないよ。」


そ・・・そうね。

聖女や勇者の言う通りだわ。


特に婚約者に向かって『真実の愛に目覚めたから別れよう』なんて、誰も言わないって。

そんなアホな理由で婚約破棄を行った日には、大問題になっちゃうわ。


だったら一緒になりたい相手を二人目の女性として迎え入れるなり、愛人にするなりした方がマシだと思うけど。

別に王族・貴族がハーレム(一夫多妻)を築くのは、おかしな話じゃないからね。

この世界では特にハーレムは禁止されてないし、ましてや血筋を残す事を重視する王族・貴族ならなおさらよ。


「普通ならそう思うわよね・・・。

 けど全部事実よ。


 ・・・多分、カジリは婚約破棄の言い訳すら、真面目に考える気がなかったのよ。

 どうせあいつの事だから、適当な三文小説から脳死で引用したに決まってるわ!!」


あ~、なるほど。

権力で押し通せば良いや、って考えたのね。


だから惚れた相手を二人目の女として迎え入れよう!!

とかじゃなく、気に入らない邪魔者を排除しようって思考になったのかしら。


それなら、そんな支離滅裂な理由で婚約破棄を言い渡す事もありえる・・・のかなぁ?

トラブルに発展するリスクを考えると、利口なやり方だとはとても思えない。


そう思うと・・・。


「ミロって、そ~んな成り行きで婚約破棄を言い渡されたのにさぁ。

 カジリへの呪いがしょぼすぎない?


 ・・・多分、あんたには人を呪う才能が無かったのよ。

 良かったわね。」


「なんですって!?」


「・・・。

 ?!!」


私も聖女と同意見よ。


カジリのようなやり方では『ハキ』の力を使うまでもなく、殺されかねないわ。

異性に関するトラブルは、何よりも恐ろしいって聞くもの。

なのに『魔物で脅す』『浮気相手に浮気をバラす』程度で勘弁してるのよ。


それを思うと、ミロって相当な聖人だわ。

あるいは実はカジリを愛してなかった故に、一方的な婚約破棄を受けても怒り狂わなかった・・・とか。

愛憎は表裏一体と言う話をどこかで聞いた事があるけど。


「あんた達・・・。

 どれだけ私をコケにすれば気が済むのよ。


 そうよ。

 私の内に眠る異世界パワーで『m9(^Д^)プギャー』の特性に目覚めれば。

 ・・・気に入らない相手を問答無用で不幸に出来るようになれば、私だって。


 ふふふ、うふふふふ!!!!」


何を言っているの!?





「バカな考えは止めなさい!!

 ミロは自分の人生を捨てたいの!?」


「え?」





それに何を誤解してるの?


「『人を呪う才能が無い』ってのは褒め言葉よ?

 コケにしてるなんて、勘違いも甚だしいわ!!」


「あ・・・なるほど。

 普通に考えたら、人を呪う才能なんか無い方が健全だもんね。」


勇者の言う通りよ。

あと『呪い』の力は軽々しく扱って良いものじゃない。


「大体、『m9(^Д^)プギャー』の力になんか、絶対目覚めない方が良いわ。

 『人を呪わば穴二つ』って言葉、知ってる?

 呪いの力を乱用すると、その反動で人生詰むわよ。」


「嘘・・・でしょ。」


嘘じゃないわ。

聖女の指摘は事実よ。


「呪いの力はね。

 使えば使うだけ、自分も不幸になっていくの。

 あまり使いすぎると、想像を絶するような災いに見舞われてしまうわ!!」


「そ、そんな・・・。」


正確に言えば、『呪った対象が見舞われた不幸>呪った対象から受けた仕打ち』となった場合、その差分だけ不幸に見舞われてしまうの。


ミロの両親が話していた。

ある時・・・おそらく『ハキ』の力に目覚めた辺りからでしょう。

ミロの元から人が離れていった、と。


それは無意識に使っていた呪いの力による反動かもしれない。


「『m9(^Д^)プギャー』は気に食わない相手を問答無用で不幸に出来る、最凶の特性だけどさぁ。

 『m9(^Д^)プギャー』が使えるようになった人は皆、ドン引きするような最後を迎えているわ。

 他人を呪う事に夢中になりすぎるあまり、破滅の足音に気付かなかったんでしょうね。」


特性は魔法・スキル以上にコントロールが困難だしね。

勇者だって、自分のチート特性に散々振り回されているくらいだし・・・。


「じゃあ、私は、私はもう、お終いなの?

 人を呪い続けたせいで、災いに飲み込まれてしまうの!?」


「いや・・・。

 まだ全然、間に合うと思うわ。


 カジリですらあの程度の呪いで済ませているんでしょう?

 今までだって、それほど強い呪いは掛けていないはずよ。」


「・・・わ、私を裏切った人達が見舞われた不幸と言えば。

 人前で大恥をかいたとか、不正がバレてしまったとか・・・。」


「・・・思った以上に軽い呪いね。

 その程度で済ませている内は、それほど心配しなくて平気よ。」


強力な呪いの力の持ち主は『事実を曲解し対象を陥れる』とか、酷い時は『周りをも巻き込んで災いを与える』とか、してしまうもの。

それに比べればミロの呪いなんて、子供の悪戯と大差無い。


とは言え。


「でもこれ以上、他人の不幸を望まない方が無難ね。

 もしも『m9(^Д^)プギャー』の特性に目覚めでもしたら、あなたの人生はお終いよ。

 今ならまだ、引き返せるわ!!」


「け・・・けど!!

 もし『ハキ』の力に目覚めたなんて、誰かにバレたら・・・。

 私は、もう。」


「だいじょ~ぶだって!!

 バレなきゃい~のよ。

 バレなきゃ。」


「・・・。

 ・・・。」


まあ、話に聞いた程度の不幸なら、呪いが原因なのか、自業自得なのか、見分けすら付かないでしょう。

そんなに心配しなくても・・・・・・。

・・・?。


「・・・。」


何故かクロが困り果てた表情で私の服を引っ張っている。


「あら?

 クロ、どうしたの?

 また、話に付いていけなかったの?」


子供には少しややこしい話だものねぇ。

しかしクロは首を横に振り、悩まし気な顔付きで向こうの茂みを見続けている。


こ・・・このリアクションはまさか!?


「・・・・・・。

 ひょっとして誰か近くに・・・いるの?」


「!??

 し、しまっ・・・。」


まさか得意の索敵で、盗み聞きをしている何者かに勘づいて・・・。


「なんですって・・・!?

 ・・・・・・。

 ・・・か、隠れてないで出てきなさいよ!!」


他者に『ハキ』である事がバレたかもしれない・・・。

その恐怖からミロはヒステリックに声を上げる。


・・・すると。





「お、落ち着いて下さい。

 お嬢様・・・。」





サーラ!?


なろう系ではお馴染み『真実の愛に目覚めた』と言って婚約破棄を行う男ですが、現実にこんな奴がいたら勇者よりも勇敢だと思うw

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読んで頂き、ありがとうございました。

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