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第67話 婚約破棄編⑪ ハーレムの否定

設定上、婚約破棄物のヒロインに『裏切り者を不幸にする能力』はありません。

が、ヒロインに婚約破棄を言い渡した連中のほとんどが不幸になってるんですよねw

・・・実はそういう能力を秘めてますよ、って吹き込んだら、信じちゃう人いるかもww

「『ハキ』の力のおかげで、彼を私のものに出来るのだから。

 テンイ様・・・もう私から逃げられませんよ?」


「そんなっ!?」





旅の最中に知り合った謎の少女ミロは、なんと異世界パワーで『ハキ』の力に目覚めていた。

『ハキ』は裏切り者を不幸に陥れる特性『ざまぁmq(V^ω^V)』を身に付けてるの。

そして裏切り者・・・特に婚約破棄した人間に不幸をもたらしてしまう!!


「あ、そうそう。

 テンイ様。

 私の伴侶となるからには当然、デルマやエミリーとは縁を切ってもらいますから。」


「なんで!?

 彼女達は俺の・・・。」


「まさかテンイ様。

 彼女達を自分のハーレムにでもしていたの?


 ・・・下らない。


 ハーレムなんて所詮、浮気男に打算まみれの女が群がっているだけじゃない。

 ハーレムに真実の愛なんて一切無いのよ!!」


せ、正論すぎてぐうの音も出ないわ。

聖女は言うまでもなく打算まみれだし、私も『勇者の機嫌を取り、彼から罰を受けない』ため・・・。

言うなれば、ある種の打算からハーレム要員を演じている。


・・・勇者が私に罰を与える気があるかは、さておくとして。


「た、確かにハーレムに真実の愛なんて、無いのかもしれない・・・。」


って、勇者!?

あなたがそれを言っちゃう?


「でも俺には彼女達が必要なんだ!!

 ・・・離れたくないよ。」


・・・勇者。


「泣き落としてもダ~メ♪」


どうしましょう・・・?

こんな形で勇者と別れてしまっては、絶対彼は精神のバランスを崩す。

そうなればいつチート能力が暴発し、大災害をもたらすかわかったものじゃないわ!!


「王女様~・・・。」


クロも凄く難しそうな表情をしている。

いくら幼い彼女でも今の状況を・・・。


「・・・・・・。

 『婚約破棄』ってな~に?」


・・・わかってなかったようね。

ど~やら話に付いていけなかったみたい。


「おいし~の?」


「いやいや。

 食べられないから。」


「それどころか『婚約破棄』されたらね。

 狼さんから食べられなくなるの。」


聖女ったら。

ま~たクロに妙な事を吹き込んて・・・。


「ほんと!?

 じゃ~『婚約破棄』って、い~ことなんだ~♪」


「んな訳あるかぁああああああああ!!!!」


あ。

ミロがキレた。


「・・・なんで~?

 狼さんから食べられなくなるんでしょ~??」


「あ、あんたらねぇ。

 こ~んなお子様に下品な冗談、吹き込んでんじゃないわよ。

 真面目に教育する気、あんの?」


「まったくだよ、もう。

 君達はいっつもクロに妙な事ばかり吹き込んで・・・。」


どさくさ紛れに勇者まで私達を批難しているわ。

確かにクロ、変な子に育ちつつあるような気がするけど。


「あのね、クロ!!

 『婚約破棄』ってのはね!!

 結婚しようって約束を破っちゃう事なの!!

 女にとって最大級の侮辱なのよ!!」


「そ~なの~?

 ご主人様、いつの間にミロさんと結婚しようって約束したの~?」


「それは・・・・・・・・・・・・。

 ・・・あれ!?」


あれれ!?


「そう言えば、勇者様。

 今日会ったばかりのミロといつ、結婚の約束なんてしたのです?」


私が見た範囲では勇者とミロが結婚の約束を交わした様子なんて無かったわ。

まあ一応、目を離した隙にミロが勇者に告白しようとしてたけどさぁ。

逆に言えば、告白すらまだなのに結婚の約束を結んでいたとは到底思えない。


「してないよ!?

 ミロと結婚の約束なんか、するはずないじゃないか!!」


「ちょっ!?

 そ・・・そう言えば、まだ結婚しましょうって口に出して言ってなかったけどさ・・・。

 でも口に出さなくても、雰囲気で分かるでしょう!?」


「分かんないから!!

 よっぽど常識外れな人間じゃない限り、出会って1日も経たない相手に結婚しようなんて言わないから!!」


「あの、テンイ・・・。

 ・・・その台詞は私にもダメージがくるから、もう止めて。」


そりゃそうよね。

政略結婚だとしても、相当行き当たりばったりじゃない限り、1日足らずで結婚の決断なんかしないのにさぁ。

たまたま知り合った旅人相手に1日足らずで結婚を申し込む・・・な~んて事は、普通に考えたらまずありえない。


・・・噂によると、勢い任せのせっかちさんが0日婚するケースもあるっちゃあるらしいのだけど。

にわかに信じ難いわね。


「今回のケースじゃ、さすがに『ざまぁmq(V^ω^V)』の呪いも発動しないかしら。

 あの特性はあくまで裏切りに対して発動する能力だもの。」


「嘘・・・。」


約束もしてない結婚を断られたからって、裏切り者扱いするのはいくらなんでも無理がありすぎる。

そんなので呪いが発動していては最早、裏切りに対する報復とは言えず、無差別テロとなんら変わりないもの。

しかし実は無差別テロのようなチート特性も存在する。


「特性『m9(^Д^)プギャー』なら話は別だけどね。

 あの特性の持ち主であれば、気に食わない相手を問答無用で不幸に出来るわ。」


「そうやって不幸にした連中を嘲笑しようって訳か。

 なんてしょぼそうな特性・・・。」


「テンイ、侮っちゃダメ!!

 『m9(^Д^)プギャー』は災厄にも等しい特性よ。

 関わったら最後、必ず人生が破滅するとさえ言われてるのだから。」


聖女の言う通り、『m9(^Д^)プギャー』はその珍妙な名前に反し、勇者の特性以上に恐ろしい力を秘めているの。

なんせ気に食わない相手に問答無用で『ざまぁmq(V^ω^V)』以上の呪いを掛けられるのだから。

その危険性、理不尽さは裏切られなければ発動しない『ざまぁmq(V^ω^V)』の比ではない。


「とは言え、ミロが特性『m9(^Д^)プギャー』を持っている可能性は皆無ですから。

 ご安心下さい。

 勇者様♪」


そんな特性に目覚めていれば、とっくに彼女は・・・ね。


「じゃあ、結婚を強要される事も無いんだね!!

 良かった・・・。

 本当に良かった。」


「なんかよくわかんないけど、良かったね~。

 ご主人様~♪」


私は最低限の良識さえ持っていれば、勇者が誰と付き合おうが構わないと思っている。

でも『ハキ』の力に目覚めた女性と結婚するのは、さすがにリスクが大きすぎるわ。


勇者が結婚の約束なんかしてなくて良かっ・・・。





「ぜんっぜん、良くないわよ!!」





ミロ!?


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