表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/221

第66話 婚約破棄編⑩ ハキ

軽く調べた限り、婚約破棄物のヒロインは皆、その世界の現地人として設定されていました。

逆に悪役令嬢物のヒロインなんかは地球から転移 or 転生したってパターンが大半ですが。

その辺も一種のテンプレなのかな?w

「テンイ様・・・。」


「な、なんだい?

 ミロ。」





ダンスパーティに招待された転移勇者一行。

けれどその最中、勇者と主催者であるミロの姿を見失ってしまった。

クロの力を借り、外に出ていた彼らを見つけ出す事には成功したのだけど・・・。


「わ、私・・・ね。

 テンイ様の事がす、す・・・。」


まさかこんなシーンに出くわすなんて。

・・・覗き見なんて止めて、この場から離れるべきかしら?





「ちょっと待ったぁ!!」





!??


「「エミリー!??」」


「ゴルァ、ミロ!!

 この私を差し置いて、愛の告白なんて感心しないわねぇ。

 テンイの正妻の座は私のものよ!!」


「いつからあなたがテンイ様の正妻になったの!?」


って、聖女。

あなたやっぱり。


「やたらミロを警戒してると思ったら、単に勇者を取られたくなかっただけなのね。

 心配して損した・・・。」


「あっ!?

 いやいや、違うのよ。

 ミロを警戒してたのは、そんな下らない理由じゃなくてね。」


「下らない理由って・・・。」


微妙に不満そうな勇者を尻目に、聖女は言い訳を続ける。


「もちろん、ミロに先越されるのも困るんだけど。

 せめて第二夫人とか愛人とかで我慢してちょ~だい。」


「君達は俺をど~いう目で見てるの!?」


第二夫人や愛人なら構わないってのが聖女らしいわねぇ。

まあ、別に私もそ~いうのに抵抗はないんだけど。

貴族・王族なんて1対1の純愛を貫く方が稀だもの。





「あなた達・・・ふざけるのも大概にしなさい。

 テンイ様との婚姻の邪魔する人は、誰であろうと絶対に許さない!!」





なっ・・・?


一見すると、告白の邪魔をされた一人の女の子が喚いてるだけ。

なのにミロの周りに何か・・・目には見えないけど、恐ろしい負のオーラを感じる!!


「ミ、ミロ!?

 なんだ、この感じは・・・。」


「・・・ミ、ミロさん。

 怖い~・・・。」


勇者やクロも何か感じ取ったのか、ミロに恐れ慄いている。


「あなた達・・・。

 なんで突然、私を怖がり出すの?」


冷酷な声色を放ちつつ、彼女は薄ら笑いを浮かべ続けていた。

その様はまるで悍ましい魔女のよう・・・。





「この感じはやっぱり・・・。

 私の睨んだ通りだわ。

 ミロ、どうやらあんたには強大な呪いの力があるようね!!」





呪いの力!?


「呪いの力?

 知らないわよ、そんなもの。

 カジリじゃあるまいし、聖女の癖にアホらしい・・・。」


「・・・自覚が無いのかしら?

 けど私にはミロの内にあるどす黒いオーラがわかるの。

 意図的かはさておき、カジリが不幸になったのは本当にあなたが原因かも・・・。」


「そ、そんな事を言っても、騙されないわよ!!」


カジリのあれって、自業自得じゃなかったの!?

でも魔物に襲われたとか、バレないはずの浮気がバレたとか、想定外の不幸に見舞われてたのは事実。


婚約破棄した人間を不幸にする能力・・・。

!!!!

ま、まさか!?





「『ハキ』!?

 ミ、ミロ・・・。

 あなた、まさか『ハキ』だったの!?」





それ以外に考えられないわ!!


「嘘!?

 『ハキ』って、あの・・・。」


「ええ、聖女。

 あなたの想像通りよ。」


聖女も『ハキ』の存在は知っていたようね。


「私が・・・『ハキ』ですって?」


ミロが呆然としながら呟いている。

自覚が全然無かったのかしら?


「あの~、王女。

 その『ハキ』ってのはなんだい?」


勇者は『ハキ』が何か知らないようで、私に向かって問い掛ける。


「そうですね。

 順を追って説明しますと・・・。」


私達の世界には様々な理由で凄い力を秘めた異世界人がやってくるわ。

勇者召喚によって拉致されたり、異世界人の魂が死人に乗り移ったりしてね。


世界そのものが滅亡の危機に瀕している場合は、神々の手で異世界人が送り込まれる・・・。

な~んて眉唾な話も残されているのだけど。


そして異世界人を招き入れるために開けられた時空の穴から、しばしば正体不明のエネルギーが流れ込むのよ。

溜まりに溜まったエネルギーはいずれ、巨大な力の源へと変貌する。

その名は『異世界パワー』!!


「いせかいパゥワァ?」


運良く・・・いえ、運悪くかしらね。

稀にこの世界の住人が『異世界パワー』に触れてしまうケースがあってね。

その結果、転移勇者に匹敵する戦闘力やチート能力に目覚めてしまうの!!


なお、どんな力に目覚めるかは、ある程度ながら法則性があるわ。

その中でも身分の高い女性が目覚めやすい能力が『ハキ』。


『ハキ』には裏切り者を不幸に陥れるチート特性『ざまぁmq(V^ω^V)』の力があるの。

その力を使い、裏切り者・・・特に婚約破棄した人間に不幸をもたらすと伝えられているわ!!


「・・・あの~、王女?

 話の途中で悪いんだけどさ・・・。」



「こんな場面でふざけないでよ!!

 なんだよ!?

 特性『ざまぁmq(V^ω^V)』って・・・。」


「ええっと・・・。

 私、別にふざけてなどいませんよ?

 今までだって、ふざけた事など一度もないですのに。」


「・・・ああ、そうだったね。

 君はどんな時でも大真面目だもんね。

 単にギャグとシリアスの区別が付いていないだけで・・・。


 で、ま~た例の本とやらに書かれた事を鵜呑みにでもしたの?」


私をジト目で睨みながら呟く勇者。

やっぱり私と異世界出身の勇者では、価値観にギャップでもあるのかしら?


「テンイ。

 今回ばっかは王女、何もボケていないわよ。

 事実、『ハキ』の逸話はこの世界でも結構有名だからね。」


「嘘!?

 マジで!!


 でもシリアスな場面じゃ、割と常識人なエミリーがそう言うんだし・・・。

 ・・・本当にミロは『ハキ』の力を秘めて。」


勇者が私より聖女を信用するのは仕方ないかもしれないけどさ。

聖女の方が常識人、なんて意見には納得しかねる。


けれど聖女の言う通り、『ハキ』の逸話は決して絵空事ではない。

『ハキ』の呪いにより一国が滅亡してしまった・・・なんて事さえあるくらいだもの。


「でもだとしても、どうしてそんな意味不明な力に目覚めるんだ!?」


「『異世界パワー』を浴びた人間がどのような能力に目覚めるかは、本人の資質や願望に依存します。

 つまりそれだけ『ハキ』の力を望む女性が多いと言う事ですが・・・。」


そういう所は異世界人が何のチート能力に目覚めるかと、同じ仕組みね。


「だったら、増々おかしいって!!

 『良い相手と結ばれて幸せになる能力』とかならわかるよ。

 そんな能力なら俺だって欲しいよ・・・。


 けど『裏切り者を不幸にする能力』なんかに目覚めてど~するの!?

 何の得にもならないじゃない!!」


「・・・言われてみれば、その通りですけど。」


あまりに勇者の言い分が正論すぎて、思わず納得してしまう。

だけど実際、『ハキ』の力に目覚める人間が決して少なくないのも事実。

どうしてかしら?





「ったく、テンイも王女も考えが甘いわねぇ。

 嫌いな奴の不幸を望む心なんて、誰だって持ってるわよ!!」





ええええっ!??


「そ・・・そりゃまあ、あなたは闇聖女だからね。

 そういう気持ちがあるのかもしれないけど。」


「誰が闇聖女よ!?

 テンイだって、王女だって、強引に魔王討伐を命じたあのクソ王にイラついたでしょ!!

 くたばれとかって思わなかったの?」


「「うっ!?」」


・・・さすがにくたばれとまでは思ってないけどさ。

天罰が下れば良いのに、程度の気持ちは今でも抱いている。


心の闇を自覚するのも恐ろしいものね。





「エミリーの言う通りよ!!」





ミロ!?


「・・・思い当たる節があるわ。

 何年か前、得体の知れない何かに巻き込まれて、何日間も目覚めなかった事があるの。


 その日からよ。


 私を裏切った人間が次々と不幸に見舞われたのは・・・。

 今まで全く気付かなかったけど、『ハキ』の力を身に付けたせいなのね。」


そんな軽々しく話されても・・・。


「だから周りの皆が知らずと私を恐れ、避け始めたのかもしれない。

 けれど、そんな事はもう良いわ。

 だって『ハキ』の力のおかげで、彼を私のものに出来るのだから。


 テンイ様・・・もう私から逃げられませんよ?」


「そんなっ!?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ