第57話 婚約破棄編① 貴族Aの災難?
Side ~貴族A~
「ミロ!!
俺はお前との婚約を破棄する!!」
「(゜Д゜)ハァ?」
俺はとある大貴族の息子、カジリ。
そして目の前にいるのは、俺の家程ではないが、それなりに位の高い貴族の娘、ミロ。
顔立ちこそ悪くないが、全く可愛げの無い女だ。
今までは親の言いつけで、仕方なく婚約を結んでいたのだが・・・。
「聞けばお前はエーリに嫉妬し、様々な嫌がらせを繰り返していたそうではないか?」
「エーリ?
・・・ああ、確か大商人の一人娘でしたっけ?
って、なんで私が彼女に嫌がらせなんかするのですか!?
そもそもまともに関わった事さえない・・・。」
「言い訳など聞きたくない!!」
俺は一括し、ミロの反論を封じ込める。
「だから俺はお前との婚約を破棄し、エーリと共に生きる!!
俺は彼女と出会い、真実の愛に目覚めたのだ・・・。」
「・・・・・・。
要は女を乗り換えたいから、難癖付けて別れよう、と。
しかしもっとマシな言い訳は出来なかったのですか?」
「黙れぃ!!」
・・・それは仕方あるまい。
言い訳を考えるのが面倒になって、適当な三文小説から理由を引用したのだからな。
だが俺は大貴族の息子なのだ。
権力で押し通してしまえば、婚約破棄の理由なんぞ、支離滅裂でも全く問題ない。
「はぁ・・・わかりました。
あなたとの婚約破棄を受け入れます。
ではさようなら。」
ミロは心底蔑んだ瞳で俺を睨んだ後、屋敷から出て行った。
さてと。
ようやく邪魔者との縁は切れた。
あとはエーリと・・・フヒヒ。
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「ワァオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!」
「ど、どうしてダークウルフがこんな所にーーーー!!??」
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パンッ!!!!
「あなたの事・・・本気で愛してたのに。
最低!!
二度と私の前に現れないで!!」
「待て・・・。
待ってくれ、エーリ!!」
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「貴様のような愚か者など、息子でも何でもないわ!!
出てけ!!
そして二度と戻って来るな!!」
「父さん!?
父さ~~~~ん!!」
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なぜだ?
どうしてこうなった!?
全てが順調だったはずなのに・・・!!
ある時は漆黒の狼、ダークウルフに襲われた。
ダークウルフは強力で獰猛なモンスターだ。
並の戦士では歯が立たず、運悪く出会ってしまったら、命は無いと聞く。
しかしあのダークウルフは異常だ・・・。
泣き喚く俺をいたぶるだけいたぶった後、無様な姿を嘲笑うかのように去って行ったのだ。
どう考えても普通ではない。
まるで陰湿な人間の意識がダークウルフに乗り移ったかのような・・・。
そしてある時はエーリに彼女の友人や侍女に手を出した事がバレてしまった。
絶対にバレぬよう、細心の注意を払っていたのにどうして!?
何故バレてしまったのだ!??
しかも大商人の一人娘であるエーリを怒らせたせいで、俺の家はかなりの損害が出てしまった。
その事に激怒した父さんが俺を勘当し・・・。
・・・それでも慈悲のつもりか金貨1000枚は渡してくれた。
が、そんなはした金でこれからどうやって生きていけと言うのだ!??
なぜだ?
どうしてこうなった!?
・・・。
・・・そうだ。
ミロとの婚約を破棄したせいだ。
こんな都市伝説を聞いた事がある。
この世界には異界のエネルギーに触れ、恐るべき力に目覚めた人間が存在する、と。
そしてその中には婚約破棄を言い渡した者の人生を破滅させる能力を持つ魔女も存在する、と。
そうか。
ミロは恐るべき力に目覚めた魔女だったんだ。
婚約破棄を言い渡した者を不幸にする、魔女だったんだ!!
あいつのせいだ。
あいつのせいで俺は全てを失ったんだ。
絶対に許せない。
いたずらに不幸をまき散らす魔女め・・・。
俺が必ず、必ず殺してやる!!




