第31話 お勉強編④ チンピラへのリベンジ
チュウオウ国を目指して、旅を続ける転移勇者とそのハーレム達。
その最中、小さな町を見かけたため、一息入れるべく立ち寄った。
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「え~っと・・・。
宿屋はどこにあるのかしら?」
宿屋くらいなら、ほとんどの町や村にある。
とは言え、知らない場所で目的の施設を探すのも案外、手間取るのよねぇ。
「きゃ~~!!
誰か助けて~~~~!!!!」
!??
「!!!!
・・・女の子が助けを求めてる!?」
悲鳴を聞くや否や、声のした方向へと勇者は走り出した!!
ちょっと!?
「何があったのかしら?」
「聖女、クロ!!
私達も早く追いかけましょう。
(勇者一人にさせると何をしでかすかわからないから)心配だわ・・・。」
「わかった~。」
勇者が走り出した方へと向かう事、しばし・・・。
「なんだよ、連れねえなぁ。
ちょっとくらい、俺達に付き合ってくれよ~。」
「こ、来ないでください。
・・・これ以上近づくと、お役人を呼びますよ!!」
路地裏で一人の女の子が、如何にもなチンピラ三人に絡まれているのを見かけた。
あら。
結構、可愛い娘ね。
これが噂の『嫌がる女の子を強引にナンパしようとしているチンピラ達』って奴かしら?
「止めるんだ、お前達!!
その娘は嫌がってるじゃないか・・・。」
「ああっ!?
・・・なんだ、てめぇ。」
「邪魔すんじゃねぇよ!!
ぶっ殺されてぇのか!?」
随分とガラが悪いわね。
けどまあ、幼気な女の子を魔物の餌にするような連中と比べたら、それほど悪人って感じがしないわ。
「な~んだ。
ただのナンパじゃない。
やけに大きな悲鳴だったから、何事かと思ったわ。」
「・・・強引に迫るのは、あんまり好ましくないけどね。
でも無関係な私達が強引に止めるほどかしら?」
女の子の方も余裕ありそうだし。
「ん・・・おおおおおおおお!!!!
あそこにいる姉ちゃん達、すっげぇ可愛いじゃん!!」
「あのイケメン野郎の連れかぁ?
なぁなぁ、そこの姉ちゃん達よぅ。
そんなナンパ師みたいな男とつるんでないで、俺達と付き合ってくれよ~。」
・・・さすがに今、絡んでいる女の子を無視して私達を誘うのは如何なものかと。
心無しかあの女の子、私達を睨んでいるような感じがするしさぁ。
チンピラ達を睨みなさいよ・・・。
「この人達、もしかして山賊!?
助けて、ご主人様・・・。
あたし、もう攫われたくない!!」
確かに人相は山賊並に悪いけど、山賊は路地裏で呑気に女の子をナンパしたりしないと思うわ。
・・・有無を言わさず誘拐しそう。
「おい、待てよ。
このクソガキ!!
誰が山賊だ!?」
「きゃあ!?」
「そうよ、クロ。
この人達は山賊じゃないから安心なさい。
・・・そこまでの悪党には見えないもの。」
傍迷惑な人達には違いないけど。
「クロ!?
こんな小さな女の子を怖がらせるなんて、許せない!!」
「カッコつけてんじゃねぇ!!
このヒーロー気取りのクソガキがぁ・・・。
どうやら痛い目に合いたいらしいなぁ、おお?」
そして拳を鳴らしながら、勇者を睨みつける三人のチンピラ。
だ、大丈夫なのかしら?
いや・・・見る限り、私や聖女が一人で戦っても余裕で勝てる程度の強さでしょう。
勇者もチート能力を使わずとも、彼らに勝つくらいは容易いはず。
・・・ビビりさえしなければ。
この前もチンピラに絡まれて怯え切った挙句、力を暴発させて、大騒動になってたからねぇ。
このまま勇者を戦わせるのはとっても不安だわ。
「ゆ、勇者様・・・。
あの程度の相手、あなたの手を煩わせるまでもありません!!
私一人で十分ですわ。」
例の本によるとこう言う風に言えば、転移勇者はハーレム達に事を任せようとする事が多い。
と、ある。
現に私一人でも十分な相手だし、勇者の暴走を防ぐためにもここは・・・。
「・・・ありがとう。
王女。
だけど、大丈夫だよ。」
「そんな・・・。
私は勇者様が(力を暴走させないか)心配なのです!!」
「・・・王女、あんた。
絶対、違う意味で心配してるでしょ?」
こら、聖女!!
余計な茶々を入れないで。
「あはは、心配しなくても平気さ。
俺はヒドラとの戦いで強くなったんだ・・・。
だからもう二度とあんなチンピラ達に怯えたりなんかしない!!」
「はっ、何がヒドラとの戦いだ?
嘘付くんじゃねぇ、この見掛け倒し野郎が!!」
勇者ったら、前にチンピラ達に半べそかかされた事が相当悔しかったみたいね。
気持ちはわからなくもないけど・・・。
そして勇者はチンピラ達を睨みつつ、剣を引き抜いた!!
って、ちょっと!?
「・・・お前。
剣を抜くとか正気かぁ!?」
「さすがに殺す気は無かったんだがなぁ・・・。
だがお前がそのつもりなら、俺達も容赦しない!!
・・・死んでも恨むんじゃねえぞ。」
剣を引き抜いた勇者を見、チンピラ達もそれぞれに武器を構える。
護身用かしら?
それとも実はこのチンピラ達、冒険者か傭兵くずれ?
「勇者様!!
さすがに剣を抜くのはちょっと・・・。」
いくら何でもナンパを止める程度で剣を抜くのはやり過ぎよ!!
「・・・安心して、王女。
すぐに終わらせるから。」
『安心して』って、言われても・・・。
私から目を離した勇者は神経を集中させ、スキルを発動させる。
ゑ?
スキルの発動!?
・・・まさか!!
「行くぞ・・・。
巨大化!!」
巨大化!?




