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第30話 お勉強編③ 迷走系ハーレム

私はジャクショウ国の王女デルマ。

今は父である王の命令を受け、勇者テンイ達と共に魔王討伐の旅を続けている。


・・・のだけど、そんな命令に真面目に従うつもりなんて、最初から無いわ。

今は王から余計な干渉を受けないために、故郷から遠く離れたチュウオウ国と言う場所へ向かってるの。

チュウオウ国で生活を安定させた後、勇者を元の世界へ帰すための方法を探す予定よ。


ここ最近はヒドラ騒動のあれこれで大変だったけど、なんとか解決したしね。

なので今は目的地に向かって足を進めていたの。



********



「ねえねえ、王女様~。

 あたし、ハーレム要員として普段、何したら良いの~?」


チュウオウ国を目指している途中、新しい仲間である黒猫族のクロが問い掛ける。


「え!?

 え~と・・・ね。」


大人のハーレム要員であれば、男に胸でもくっつけながら、愛想を振り撒くのが正解なのかしら?

今、正に聖女が勇者にそうしてるからね。

・・・勇者ったら、あわあわしながらも結構嬉しそう。


けどお子様のクロに、そんな事をやらせるのはねぇ。

もっと成長するまでは、やらせないでおきましょう。


だとすれば。


「ヨイショして持ち上げる・・・とかかしら?」


「わかった~。」


クロは元気良く返事した後、意気揚々と勇者の傍へと駆け寄った。


「ご主人様~。」


「あら、クロ。」


「どうしたんだい?

 ・・・って、うわわ!?」


そして突然、彼の体を両手で持ち上げる!!

クロは彼を持ち上げたまま、荷物でも運ぶかの如く、歩き始めた。


「えっ!?

 ええええええええ!??」


「ヨイショ、ヨイショ!!」


ちょちょちょ・・・クロ!?


「こら~~~~!!

 何やってんのよ、クロ!?」


「?~。

 ご主人様をヨイショって、持ち上げてる~♪」


違う、違う。

そうじゃない!!


「違うって、クロ。

 『ヨイショして持ち上げる』って、そう言う意味じゃないから!!


 とにかく早く勇者を降ろしなさい!!

 ・・・そ~っと、そ~っとよ。」


「???

 は~い。」


とても不思議そうな表情で、勇者をそ~っと降ろすクロ。

急に小さな女の子に持ち上げられた勇者は、ただただ戸惑うばかり。


「クロったら、案外力持ちね。

 黒猫族だからかしら・・・?」


聖女が妙な所で感心してるけど、それは今、どうでも良いから。


「あのね、クロ。

 よく聞きなさい。

 『ヨイショして持ち上げる』ってのは、人を物のように持ち上げるって意味じゃないの!!」


「?~。

 じゃあ、どういう意味なの~?。」


「え、え~と・・・ね。あっ!!

 『太鼓持ち』よ。

 『ヨイショして持ち上げる』ってのは、『太鼓持ち』の事よ!!」


「『太鼓持ち』があたしのお仕事・・・。

 わかった~♪」


だ、大丈夫かしら?


「ご主人様~♪」


「こ・・・今度はなんだい?

 クロ。」


「太鼓出して~♪」


Σ(゜Д゜)エエー。


「た、太鼓ぉ?

 なんで急に・・・?」


「あのね、王女様が言ってたの。

 『太鼓持ち』があたしのお仕事だって。

 だからあたし、ご主人様の太鼓、持つの~♪」


「だからそうじゃないってば!!」


・・・私、そんなに説明が下手くそなのかしら?


「もう・・・。

 王女!!」


「も、申し訳ありません。

 クロは奴隷だったせいか、言葉の勉強が全然足りてないみたいで。

 どうかお許しを・・・。」


「そこじゃないよ!!

 ・・・なんで『ヨイショ』とか『太鼓持ち』とか、そんな変な言葉から教えようとするの?

 もっと先に教えるべきこと、たくさんあるでしょ!?」


嘘でしょ!?


「そ・・・そんな?

 勇者様の世界では『ヨイショ』や『太鼓持ち』などを何よりも尊ぶって。

 そう伝えられていたのですが、間違っていたのでしょうか!?」


「・・・それはどこ情報なんだい?」


勇者達の世界は割と変わっていて、表向きには『ヨイショ』や『太鼓持ち』を嫌悪してるんだって。

だけど実際には『ヨイショ』や『太鼓持ち』が得意な人間の方が、お得で幸せな人生を送れる事が多い・・・。

例の本にそう記されていたわ。


もっとも私達の世界でも、似たような傾向にあるけどね。

偉い人や権力のある人達って、自分にとってお得な人間や、自分を気持ち良くしてくれる人間が大好きみたいだから。

もちろん全員がそうって訳じゃないけど、そんな人達が目立つのも事実よ。


「どうせ、例の変な本の内容を鵜呑みにしたんでしょ。

 ・・・けどさ、人間社会なんてそんなものじゃない?」


「エミリー・・・冷めすぎでしょ。

 別に俺達の世界は『ヨイショ』や『太鼓持ち』を大事になんか・・・。

 大事になんか・・・してないのかなぁ?」


勇者ったら、いやに悩んでいるわ。

どうも思い当たる節があるみたいね。


なるほど!!


「やっぱり勇者様の世界でも『ヨイショ』や『太鼓持ち』は尊重されているのですね!!

 わかりました。

 クロが立派に『ヨイショ』や『太鼓持ち』を行えるよう、私も頑張って教育しますので。」


「?~。

 よくわかんないけどあたし、ご主人様のために頑張るの~♪」


「いやいや、頑張らなくて良いから。

 王女も子供相手にそんな夢の無い教育なんかやめて!!」


「そう遠慮しなくても良いのですよ。

 勇者様♪」


彼だって、上手に『ヨイショ』や『太鼓持ち』されたら嬉しいはずだしね。


「ねえ、エミリー・・・。

 なんとかならないの?」


「・・・諦めなさい、テンイ。

 まっ、大した実害はないでしょ。」


「そんな~・・・。

 うぅ、クロの将来が不安だよぅ(TдT)」





呆れ果てる聖女と、何故か泣きそうになっている勇者を尻目に、私はクロを立派なハーレム要員に育てようと、改めて決意した。


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