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第29話 お勉強編② ハーレム要員の定型文 「さ」編

少し話が横道に逸れちゃったけど、改めて・・・。



「クロ。

 今日はもう遅いけど、少しだけハーレムのお勉強をしましょうね。」


「は~い。」


「ハーレムのお勉強って何よ・・・。

 相変わらず、変な王女ね。」



今度こそハーレム要員としてのお勉強を開始したの。


「まずはハーレム要員の定型文からお勉強しましょうね。

 最初は『さ』・・・『さすが○○様~』からよ。」


「?~。

 ハーレム要員の定型文?

 な~に、それ~?」


「ハーレム要員が必ず覚えるべき定型文・・・褒め言葉の事よ。

 この定型文を使って転移勇者を褒めるとね、自尊心がくすぐられて、とっても大喜びするんだから。」


って、例の本に書いてあったわ。


「よくわかんないけど、ご主人様が大喜びするんだ~。

 すご~い!!」


クロ。

まだ、定型文の『す』は教えてないわよ。


ハーレム要員の定型文には、


『さ』:『さすが○○様~』

『し』:『しらなかった~』

『す』:『すご~い』

『せ』:『センスある~』

『そ』:『そ~なんですね~』


の、5つがあるようなの。

これらの定型文を上手に使えば、転移勇者は大喜びし、ハーレム要員の評価も鰻上りらしいわ。


「わかった~。

 じゃあさっそくあたし、ご主人様に『さすがご主人様~』って褒めてくる~♪」


って!!


「ちょっと待ちなさい、クロ!!

 今、褒めてどうするのよ!?」


「え~・・・?

 だってご主人様に『さすがご主人様~』って褒めたら、大喜びするんでしょ~?」


いや、違うから。

そうだけど、違うから!!


「あのね、クロ。

 いきなり褒めたって勇者、困るだけだからね。

 喜んでくれないからね!!」


「?~。

 そうなの~?」


『そうなの~?』・・・って。


「クロ・・・。

 あなただったら、何にもしてないのに突然、褒められたらどう思う?」


「う~ん・・・とね~。

 なんで褒めるの~って思うっちゃうし、なんか困る~・・・あっ!!

 そういう事なんだ~。」


「そういう事よ。」


何でもかんでも褒めればそれでOK、と言うわけじゃない。

褒めるってのはタイミングがとても大切なのよ。


「じゃあどんな時に『さすがご主人様~』って、言えば良いの~?」


・・・う、う~ん。

改めて問われると、結構答えにくいわねぇ。

お子様にもわかりやすく説明するとしたら・・・。


「そうね・・・。

 もし、勇者が周りをびっくりさせるような事をしたら『さすが○○様~』って、褒めてあげて。

 きっと大喜びするから。」


「うん、わかった~♪

 ご主人様が皆をびっくりさせたら、あたし『さすがご主人様~』って言うの~。」


ふぅ。

褒め方を口で説明するのは難しいわね。


「・・・ねえ、王女。

 こんな褒め方さえ理解していないお子様に、ハーレム要員なんて勤まるの?」


そこは私も不安だけど・・・。

けどクロには絶対、ハーレム要員としての才能があるの!!

だってね。


「例の本に書いてあったもの。

 『奴隷少女』はハーレム要員として、最高級の逸材だって。」


「なんで『奴隷少女』が最高級のハーレム要員なの?

 クロに限らず、奴隷になってた子供なんて、褒め方どころか一般常識すら学べてないのよ!!


 ・・・でもあっ、奴隷と言っても性奴隷の事かしら?

 性奴隷なら最高のハーレム要員だって意見も納得出来るかも・・・。」


「こらっ、聖女!!

 おかしな事を言わないで。

 そもそもクロは性奴隷じゃないでしょ!?」


話を聞く限り、クロは単純な肉体労働がメインの奴隷みたいだったからね。

性に関する経験なんて無いはずよ。

・・・それ以前にその手の知識さえ、無さそうだけど。


「?~。」


「確かにこの様子じゃ、性奴隷ではなさそうね。」


それに性奴隷が転移勇者のハーレム要員として活躍したと言う話は聞かないわ。

むしろそういう経験が無い奴隷の方が、ハーレム要員として受け入れられやすいみたいなの。


理由はまあ、うん。

色々あると思うけど・・・。


「でも正直、ハーレムのお勉強なんかさせるよりさぁ。

 一般常識を優先した方が良いんじゃない?」


「もちろん、一般常識も勉強させるわよ?

 でもやっぱり英才教育は大事よ。

 子供の頃からしっかりハーレムのお勉強をすれば、立派なハーレム要員になれるはずだし。」


「・・・ハーレム要員って、立派なのかしら?」


あと幸いながら、クロは相当な美少女の上、ハーレムに関する偏見も無いわ。

元々この世界は普通に一夫多妻が認められてるけど、そういうのを嫌がる女性も決して珍しくないって聞くしね。


「お話、難しくてよくわかんないけど。

 でもあたし、ご主人様のために立派なハーレム要員になるの~♪」


「うんうん。その意気よ、クロ。

 でも、焦らなくても大丈夫だからね。

 今日はさっきの定型文だけしっかり覚えておきなさい。」


「は~い。」


「さて、今日はこれくらいにして、もう寝ましょう。」


今のクロは褒め方すらきちんと理解出来ていないわ。

けどこうやって少しずつでも勉強を積み重ねれば、最終的には立派なハーレム要員になれるはずよ!!


「・・・なんだかクロの将来が不安だわ。

 王女みたいな変な女に育たなければ良いけど。」


「変な女って、どういう意味よ!?

 失礼ね・・・。」


聖女だって、十分変な女じゃない。

もう!!





まあ正直、クロが将来どういう女性に育つかはわからないわ。

でも私なりに立派な大人に育つよう、力を尽くそうと思う。


勇者のためにも、そしてクロ自身のためにも・・・。



そんな感じで夜のお勉強は終わり、私達は明日に備え、眠りについた。


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