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第26話 第3のハーレム編④ ハーレム要員の基本技術

なんやかんやあって、悪いヒドラから奴隷少女クロを救った勇者テンイ。

彼と彼女の意志もあり、クロが私達の旅に同行する事はほぼ確定となったわ。


けれど聖女曰く、クロにはやらないといけない事があるんだって。

それは・・・。



********



「見違えたわね・・・。」


「そうね。

 まさか、ここまで変わるとは。」


「・・・?」


元奴隷であるクロは生活環境が酷すぎたからか、はっきり言って凄く汚かった。

このままでは見た目的にも衛生的にも良くないので、お風呂に入って徹底的に洗ったの。


『黒猫』族だし、お風呂を嫌がるんじゃないかって思ったけど、その心配はいらなかったみたい。

聖女の話によると、大抵の亜人はお風呂に入る習慣があるようね。


ついでに服もボロボロすぎたので、聖女が持ってた猫系の亜人の子供服を着させたの。

どうやら昔、戦災孤児とかの世話をする際に用意した物が余っていたみたいね。


そんなこんなで体を洗って、服を新調しただけであら不思議。

少し痩せ気味ではあるけど、見違えるように綺麗な女の子になったわ。


逆に心配になるくらい・・・。


「クロ・・・本当は凄く可愛い女の子だったのね。

 逆に心配になるわ。

 こんなに可愛い奴隷少女だったら、理性の無い大人から酷いいたずらをされたのかも・・・。」


「あ~。それは多分、大丈夫じゃない?

 さっきまでが汚すぎたし、そういう対象としては見られなかったはずだわ。

 それにそんな経験があるなら、男が近づいただけで拒絶しそうだしねぇ。」


まあ、勇者に助けられた時も特に怯えていなかったし、男に対するトラウマは無さそうだけど。


「?・・・。

 よくわかんない。」


本当にわかってなさそうだわ。

じゃあ大丈夫かしらね。


それはともかく。





「クロ。よく聞きなさい。

 勇者様のお供として、あなたには立派なハーレム要員になる義務がある。


 けど子供で、奴隷だったあなたは知らない事が多すぎる。

 ・・・だから合間を見て、私がみっちり教育するからね!!」





早く一人前のハーレム要員となって、勇者の好感度を上げないといけないものね。

さっきは『転移勇者に気に入られる=逃げられなくなる』みたいな説明をしたけど、何も悪い事ばかりではないわ。

勇者に気に入られるほど、待遇が良くなりやすいもの。


例の本にも『転移勇者のお気に入りになれば、贅沢三昧も夢じゃない』って書かれてるしね。



「きょ、教育!?

 ・・・嫌、私、教育・・・絶対嫌!!」



ええっ?

何なの、その怯えよう??


「・・・どうしてそんなに震えるのよ?

 あなた、そこまで教育を受けたくないの??」


世の中、お勉強が嫌いな子は多いと聞くけど、震えるほど拒絶する子は早々いないはずよ。


「んー・・・?

 クロ。

 なんで教育、嫌なの?」


「あたし、叩かれるのは嫌。蹴られるのも嫌!!

 ご飯を食べさせてもらえないの・・・嫌!!!!」


・・・どうして『教育する』が、『叩く』とか『蹴る』とか『ご飯抜き』って話になるの?

武術の教育が苦手だったとか??

けど武術の教育で『ご飯抜き』はおかしいわよね。


「きっとこの子、奴隷時代に教育と言う名の虐待を受けていたのよ。

 ロクでもない主が奴隷に暴力を振るうなんて、珍しい話じゃないもの。」


そっちの意味だったの!!

クロったら、随分と酷い目に合ってきたのね。


「クロ。安心しなさい。

 別にあなたを叩いたり、蹴ったり、ご飯抜きにしたりしないから。

 教育ってそういうものじゃないのよ?」


「本当!?」


「教育を受けるとね、知らなかった事がたくさんわかるようになるの。

 得意な事が、もっと得意になる事もあるのよ。」


「・・・あたしの知ってる教育と全然違う。」


いや、まああなたの知ってる教育は、教育という名目の虐待だからね。





「じゃあさっそく、教育としてクロの知らない言葉を教えてあげる。

 あなた『ナデポ』って言葉は知ってる?」


「ナ・デ・ポ?」





やっぱり知らないようね。

もっともこれは異世界の単語であるため、クロに限らず、この世界で知っている人はそれほど多くない。


「何、その『ナデポ』って変な言葉?

 新種の果物かなんか??」


「違うわよ!!

 『ナデポ』は異世界の言葉の1つで、ハーレム要員にとっては基本となる技術よ。

 本に書いてあったわ。」


「あんた・・・。

 また、あのおかしな本を鵜呑みにして。」


どうして聖女は、名書『転移勇者との付き合い方 ~ハーレム編~』をおかしな本呼ばわりするのかしら?


「あのね、クロ。とついでに聖女。

 『ナデポ』って言うのは、男性に頭を撫でられた時、頬を(*´ェ`*)ポッとさせる女の子の事よ。

 『ナデポ』している女の子を見ると、転移勇者は凄く大喜びするらしいわ。」


「・・・よくわかんない。」


お子様には早かったかしら・・・?


「あ~・・・理解出来なくもないわね。

 『俺に撫でられるのが嬉しいんだ』とか『俺に惚れてるんだ』って、気分になるんでしょう。」


あと単純に『スキンシップを喜んでくれるのが嬉しい』とも書いてあったわね。

だから『ナデポ』はハーレム要員にとって大事な技術なんだって。


撫でられた男性に本気で惚れている場合は、自然と『ナデポ』出来ちゃうらしいけど。


「でね、クロ。

 もし、勇者に頭を撫でられたら『ナデポ』してくれない?

 きっと勇者、大喜びするはずだから。」


「・・・どうやったら『ポッ』って出来るの?

 あたしわかんない。」


う、う~ん。


別にクロ、勇者に嫌悪感は無いみたいだけど、惚れてもいないでしょうしね。

惚れてもいない相手に『ポッ』っとする演技をやれってのは、少し難しいかもしれない。

それを言ったら、私もクロと似たようなものだけど。


「『ポッ』っとする自信が無かったら、喜んだ振りでもしておきなさい。

 それでも勇者、喜んでくれると思うから。」


「あんたも大概、そう言う所、雑ねぇ。」


撫でた子供が嬉しそうにする、ってのも心が和むシチュエーションだものね。


「・・・。」


あ、あら。

なんだかあんまり気乗りしてないようね。

もしかして・・・。


「クロ。

 ひょっとして誰かに頭を撫でられるの・・・嫌?」


「えっ!?

 ううん・・・別に平気。」


・・・なら良いけど。





「き、君・・・えっ、えっ?

 嘘だろ!?

 まるで別人みたいだ。」





あっ!!


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