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第22話 初クエスト編⑧ ヒドラとの決着

ヒドラに食べられそうな女の子を助けるため、勇者テンイは戦う覚悟を決める!!





「行くぞ・・・。

 巨大化!!」





スキルを発動させると同時に勇者の剣が大きく・・・大きく?

あ、あれれ??

大きく、大きく、大きく・・・って、どこまで大きくなるの???



「ぎっ!?

 ぎ・・・ぎ・・・。」



そして最終的にはヒドラでさえ、真っ二つに出来そうなほどのサイズになった!!

・・・あのヒドラ、そこいらの金持ちの屋敷よりも大きいんだけどねぇ。



「ぎゃ!!

 ぎゃ・・・ぎゃぎゃああああ!!??」



さすがのヒドラも驚愕しているわ。


確かに勇者の力ならヒドラをも倒すほどのパワーを出せる。

・・・って思ってたけど、それでも本当に出せちゃうとびっくりするわね。


なおこのスキルには、大きくなった武器のサイズに合わせて、筋力が強化される効果もある。

なので大きくなりすぎた武器に押し潰される心配は無い。


「・・・う、嘘だろ?

 あんなランク1のしょうもないスキルで、あれほどのデタラメなパワーが!?」


受付まで驚愕しているわ。

まあ、半分予想していた私でも内心、驚愕しているからね。



「ヒドラ!!

 もうこれ以上、お前に人を殺させはしない・・・。

 覚悟しろ!!」


「ぎゃああああああああ!!!!????」



ヒドラが目に涙を溜めながら背を向けた!?

逃げようとしているのかしら?

ペットは飼い主に似るものね。


けれどあの女の子を助けるため。

これ以上、犠牲者を増やさないため。


勇者はヒドラに向かい、容赦なく大剣を振り下ろす!!





「はぁああああああああああああああああ!!!!!!!!」


「ぐぎゃああああああああああああああああ!!!!????」





そして勇者の剣はヒドラを真っ二つに切り裂いた!!





「・・・す、凄い。

 あのお兄ちゃん、何者なの?」



********



ずずぅううううんんんん。





勇者の剣により、真っ二つにされたヒドラの胴体が倒れる。


「そうだ・・・。

 あの女の子!!」


ヒドラが倒れると同時に、真っ先に女の子の元へ向かう勇者。

あ、でも・・・。


「ヒドラって、首を全て斬り落とさないと死なないんじゃなかったっけ?

 大丈夫かしら・・・。」


「それはあくまで倒し方の一つでしょ。

 あの真っ二つにされたヒドラを見なさいよ。

 ・・・無事でいられると思う?」


「思わない・・・。」


聖女が目を向ける先には真っ二つにされ、血が諾々と流れ続ける憐れなヒドラの姿があった。

三つの首の一つは胴体と共に真っ二つとなっており、残りの首二つも表情が硬直したまま、変化が無い。

未だ胴体がわずかにぴくぴくしているが、命尽きるのも時間の問題ね。


・・・そりゃ特別なモンスターは、特定の条件以外では絶対に死なない。

ってのも、おかしな話だしねぇ。


人間の場合、死因なんて山のようにあるんだし。


「君、大丈夫かい!?」


勇者は縄を解きつつ、女の子の無事を確認する。



「あたし・・・。

 助かった、の?」


「ああ、大丈夫だ!!

 悪いヒドラは俺が倒したから。」


「・・・あっ。」



だが突如、女の子が意識を失う。

慌てて女の子を支える勇者。


「おいっ、しっかりするんだ!!

 死ぬんじゃない・・・。」


「・・・落ち着きなさい、テンイ。

 安心して、気を失っただけだから。」


あの女の子・・・いつヒドラに食べられるか、わからなかったわけだしね。

精神的に相当負担が大きかったのでしょう。


「けど、かなり衰弱してるようね。

 このままだとちょっと危ないわ。

 応急処置はしておきましょう。」


聖女は少女の状態を確認した後、真剣な表情をしながら魔力を集中させる。

・・・これはひょっとして!!



「オール・リフレッシュ!!

 と、ついでにヒール!!」



聖女が2種の魔法を女の子に使用する。

すると女の子の顔色がかなり良くなり、先ほどよりも生気に満ちた表情となった。

彼女は勇者に抱えられたまま、スヤスヤと寝息を立てている。


「さっきのエミリーの魔法・・・。

 もしかして回復魔法!?」


「そうよ、テンイ。

 『オール・リフレッシュ』は毒や病気、魔法による悪い効果などを治す超万能な魔法よ。

 『ヒール』は怪我を治したり、体力を回復させる効果があるわ。」


「回復魔法かぁ・・・やっぱり凄いなぁ。

 異世界にはこんな便利な魔法があるんだね。」


私も話には聞いていたけど、実際に見るのは初めてよ。

本当に凄い効果ね。

・・・でも。


「けれど、勇者様。

 回復魔法は確かに凄い魔法ですが、使い手は世界中を探しても数える程しかいません。

 特別な才能と、何より人を救いたいと願う純真な気持ちが無ければ、覚えられないからです・・・。」


実際、聖女と呼ばれる人達以外で、回復魔法が使えたと言う話は聞かない。

回復魔法は才能も大事だけど、それ以上に人を慈しむ清らかな心が必要となる。


特別な才能と、回復魔法を使うに相応しい博愛の精神、その両方を持ち合わせている人間はとても少ないわ。

だから回復魔法が扱える聖女は世界の宝だと言われているの。


・・・ただ聖女と出会って、この説が真実なのか疑問に感じ始めたけど。

だって『才能』はともかく・・・。


「これでもう、この子は大丈夫。

 あとは目を覚ました後、水や食料を与えれば元気になるはずよ。


 ・・・じゃ、応急処置も終わった事だし。

 さっそくヒドラの解体よ~♪」


「って、聖女。

 こら!!」


この聖女に『清らかな心』なんて、あるのかしら?

応急処置を済ませた途端、意識が完全にヒドラの素材に向いているじゃない!!

ヒドラもドラゴンに匹敵する超高級素材だから、解体したい気持ちはわかるけど。


「何よ、王女。」


「あのねぁ、あなた。

 普段なら別に良いけど、今は気を失っている女の子がいるのよ?

 まずは彼女を安全な所まで連れてって休ませるのが先でしょ!!」


「もう応急処置は終わったから平気だって。

 ここで目を覚まそうが、町で目を覚まそうがやる事は変わらないわ。

 アイテム・ボックスの中に水や携帯食料、あったでしょ?」


いや、確かにあったけど。

でもそういう問題じゃなくて、ね。


「そりゃ、あなたの言う通りかもしれないけどさ。

 こんな所で目を覚ますより、安全な町の中で目を覚ます方が、この子だってほっとするじゃない?」


「そ~んな心配、いらないってば。

 だってこの子は奴隷として、曲がりなりにも生き延びてきたのよ。

 そこまでヤワなメンタルじゃないから。へ~き、へ~き。」


・・・実際の所、心の弱い人が奴隷になったら、そう長くは持たないと思う。

だから奴隷として生き抜いてきたこの子のメンタルはそんなに弱くないだろう。

って、聖女の意見もわからなくはない。


わからなくはないけど、薄情極まりないような気が・・・。

本当にこの闇聖女、回復魔法を使うに相応しい精神なんて持ってるのかしら?

応急処置は最優先で行うだけ、マシだけどさぁ。





「エミリー!!」


勇者?


「・・・お金が大事だって気持ちもわかるけどさ。

 今回だけはこの子を町まで連れて行く事を優先してくれないかな?

 頼むよ・・・。」


「うっ!?」





勇者に真意な眼差しを向けられ、たじろぐ聖女。

一応、少しは後ろめたかったのかしら?


「うーーーー、あーーもう!!

 わかった、わかったわよ。

 ・・・だからテンイ、そんな目で私を見ないで。」


真意な眼差しが苦手な聖女ってのもどうかと。


「エミリー!!

 ありがとう。」


「・・・でも、2~3分くらいは時間をくれないかしら?

 それくらいだったら、良いでしょ?」


「えっ!?

 それくらいなら、まあ・・・。

 けど一体、何をするつもりなの?」


聖女はたくさんの解体道具やマジックバックをアイテム・ボックスから取り出した後、召喚魔法を使用した。

ちなみにマジックバックとは、見た目以上にたくさんの道具を持ち運び出来る、便利なバックの事よ。



「フォース・ペーパー・サモン!!」



聖女が魔法を唱えると同時に人の形をした動く紙が8体、生み出される。

これって。


「式神?

 ・・・あっ、これ。

 ドラゴンを解体した時に使った奴じゃない?」


「ええ。

 『フォース・ペーパー・サモン』はランク4の召喚魔法・・・。

 紙で出来た式神を作り出し、意のままに操る事が出来ます。」


腕の良い使い手から生み出された式神は、本体とほぼ同じ身体能力を誇るの。

・・・元が紙だから、脆いし熱にも弱いけど。

おまけに聖女は元々肉弾戦に強いタイプじゃないから、戦闘ではあまり使えないでしょう。


だけど雑用や偵察等を任せる際は、非常に役立つ魔法よ。



「じゃ、ヒドラの解体、よろしくね。

 解体したものはしっかりマジックバックに入れるのよ。」



聖女の指示を受け、さっそく解体に向かう式神達。


「さっ、もう良いわよ。

 早く町に帰りましょう。」


ちなみに使い手と式神は離れていても意識が繋がっている。

だから命令変更だって可能だし、式神は主の元まで自力で帰れるの。


「・・・ちょっと引っ掛かるけど、ま、いっか。

 それより早く、この子を町まで連れて帰らないと!!」


「そうですね。

 勇者様。」


一応はあの子の事を優先してくれるだけ、良しとしましょう。

こうして私達はヒドラから助け出した黒猫族の女の子を連れて、この場を後にした。





「はひ・・・はひ・・・・・・なっ!?

 お、お前ら!??」





あっ。


「受付の事、完全に忘れてたわ。」


でもなぜに匍匐前進なんてしているのかしら?

おかしな人ね。


「テンイ、王女。

 こいつ、どうする?」


「・・・とりあえず、捕まえとこっか。」


勇者の一声により、受付が再び連れに加わった。


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読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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