第203話 故郷編⑦ 1つの可能性
・・・。
目を覚まし、周りを見渡すと殺風景な景色が延々と続くばかりだった。
何もない。
「ここはどこ?
皆はどこ!?」
誰もいない。
「エミリー!!
クロ!!
ヴェリア!!
アビス様!!」
仲間達を呼んでも、虚しくこだまするばかり。
「勇者っ。
勇者っ。」
「『様』が抜けてるんだよ。
いい加減にしろ。」
後ろ!?
「勇者っ。
・・・様?」
勇者を見つけ、安心したのも束の間・・・。
何故か彼は泣き笑いを浮かべ続けていたの。
その有様に思わずゾッとする。
「み~んな壊しちゃった。
み~んな殺しちゃった。
俺、世界を滅ぼしちゃった。
そんな事、ちっとも望んでなかったんだけどなぁ。
・・・アハ、アハハ。」
えっ!?
そう言えば意識を失う前、クロが重傷を負ったのをきっかけに彼は魔力を暴走させてしまった。
・・・まさか、そのせいで!?
「お前のせいだ。」
「へ?」
「お前が父親の勇者召喚を止めなかったからこうなったんだ。
・・・俺達のような危険人物を召喚するんなら、万一に備えて帰す手段くらい用意するはずだって?
バッカだなぁ。どれだけ権力を持とうが幼児以下の知能の持ち主なんて、世の中腐る程いるってのにさぁ。」
勇・・・者・・・。
これまで見たこともないような、恐ろしい形相で睨み続ける彼に私は声を発する事も出来ない。
彼はただただ立ちすくむばかりの私へ近づいて、首元を握り・・・。
「あっ!??
勇、者・・・様っ。」
「お前のせいだ!!
俺が異世界へ誘拐され、こんな思いをしたのもお前のせいだ!!
お前のせいだ!!」
「あ・・・。
ごめん、な・・・さ、い。」
「・・・もう全部お終いなんだ。
だからお前だけは俺の手で殺すっ。
殺してやる!!」
・・・こんな結末になってしまったのも全て、私のせい。
私の・・・せい、で。
「ごめん・・・な、さ・・・い。」
「寂しくなんかないよ・・・。
お前を殺した後、すぐ俺も後を追うから。
何もない、誰もいない世界で苦しみながら生き続けるなんて、絶対に嫌だもの。」
涙を流しながら、勇者が私の首を絞め続ける。
ごめん・・・な、さ・・・い。
「・・・やれやれ。
いつまでそ~やって苦しみ続ける気かしら・・・。」




