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第194話 日の女神編⑱ 月の女神

ア” ー ー ー ー ー ー ー ー ! ! ! ! ? ? ? ?



人間が、竜が、魔族が。

全ての力を集結させ、神喰いを打ち砕かんした正にその時。





「・・・ほんの一瞬。

 ・・・ほんの一瞬、神喰いのお腹らへんから気配を感じたの!!」





クロが訳わかんない事を言い出したの。

へ?


「気配って・・・。

 誰のよ?」


訝し気に問うエミリーに、クロは何故か一瞬だけ日の女神様へ目を向ける。


「・・・わかんない。

 でも神喰いじゃない、誰かの気配がしたの。」


だけど本人にも何を察知したのか、よくわかってないみたい。


「つまり丸呑みされた誰かがまだ生きてたのかしら?」


「怖い事、言わないでくれる!?

 エミリー!!

 そもそもあの神喰いはまだ誰も食べてなかったはずよっ。」


だってあの辺りには私達以外、誰もいなかった。

しかもあの神喰いが目覚めたのはつい先ほど。

そしてその後、私達の中で神喰いに食べられた人はいない。


つまりね。


「あの神喰いが最後に誰か食べたのってさぁ・・・。

 2神達との戦争の時のはずよ。

 ・・・あれ?」


そ~言えば・・・。


「あのさぁ、エミリー、クロ。

 あの神喰い、さっきから炎による攻撃ばっかよね。

 月属性・・・闇の力による攻撃、してきたっけ?」


「!!??」


「闇の力による攻撃~?

 そんなの、知らないよ~。」


「そ~ねぇ。

 私の知る限りでは月属性による攻撃なんて・・・。

 ・・・って、まさか!?」


クロはピンときてないようだけど、エミリーはなんとなく私の言わんとする事がわかったみたいね。

火の神様を喰らい、強大な炎の力を操れるようになった神喰い。


だけど奴は月の神様も喰らっている。

ならば強大な闇の力も自在に操れるはずよ。

なのに月属性の攻撃を全くしてこなかった。


もちろん、偶然使わなかっただけの可能性もあるわ。

でも無意識ながら一瞬、日の女神様の方を向いたクロ。


それらが意味するところは・・・。


「で、クロ。

 今でも神喰いのお腹らへんから気配、感じる?」


「・・・あれ?

 ん~っと、わかんない。

 感じるよ~な、感じないよ~な・・・。」


「もう気配すら途切れ途切れになる程度には弱ってるって事かしら・・・。

 じゃなくて!!」


そんな突拍子もない発想よりも。


「クロには悪いけど、きっとあなたの勘違いだったのよ。

 いくら『あの方』でも気が遠くなる程の長い時間、神喰いの体内にいて無事な訳・・・。」





「どうしてあなたはそう、可能性を信じようとしないのです!!??」





「「「へっ!?」」」


今回の1件はクロの勘違いだと結論付けようとした矢先、横から話を聞いてたのでしょう。

日の女神様が怒りに満ちた形相で私を睨み付けていたの。


「デルマ。あなたはこう考えたのでしょう?

 姉様、いえ・・・月の女神ルーナが神喰いの中で生きているかもしれない、と。」


「月の女神様・・・。

 神様・・・。

 あ、そっか~。

 あの時、感じたのは女神様の気配だったんだ~♪」


「って、クロぉ!?

 火に油を注ぐような発言は止めなさい!!

 ・・・でもあなたがそう感じたって事はやっぱり。」


「やっぱり勘付いていたのですね!!」


し・・・しまったわ。


「既に命を落としたのだと、ずっと悲しみに暮れてました・・・。

 けれど万に一つ、あの方は生きておられるかもしれない。

 その可能性を常識如きを理由に切り捨てるなんてっ、切り捨てるなんてっ!!」


「わかりました!!

 わかりましたから、そんな般若のような表情で迫らないでくれます!?」


もうやだ、この日の女神様・・・。

こわぁい。


「日の女神様ったら、そう興奮しないの。

 いくらあなたが熱弁したところでさぁ。

 ちゃ~んと月の神様が生きてる事を証明しなきゃ、誰も受け入れてくれないわ。」


「・・・そりゃ、そ~よねぇ。

 最低でも生存を証明出来ない事には皆、神喰いへの攻撃を止めないわよね。

 特にタケルなんかは・・・。」


「・・・・・・。」


そんな真顔で見つめられても、困るんだけど。


「じゃ、ど~すればい~の~?」


「神喰いのお腹らへんに誰かいるかど~かくらいは『テレパシー』の魔法で探れるわ。

 ・・・けれど私やエミリーで通信したところで、相手が月の神様かど~かわからないしねぇ。」


「・・・。」


もっとも月の神様じゃなきゃ、無視して良いのかって気もするけど。

・・・ただそもそも神喰いの体内でまだ誰か生きてるかも~なんて話自体、到底信じられない話だからね。


「それもそうかしら。

 月の神様の声を知ってそうなのと言えば・・・。」


「ここにいるメンバーの中じゃアビス様、アーク様、ダースの3竜と、あとは・・・。」





「姉様!!」





他でもない日の女神様くらい・・・って、えっ!?


「ルーナお姉様・・・。

 本当に生きていらしたのですね。」


えっ、えっ、えっ!!??


(・・・この者らがわらわの存在に気付いたのか。)


「「「えっ!??」」」


頭の中に声が聞こえる。

おそらく日の女神様の『テレパシー』によって。

つまりあなたが・・・。


(その通り。月の神、ルーナよ。)


嘘でしょ!!

お子様の発見と私の雑な分析がまさかまさかの現実だったの!?


「!!!!

 これは『テレパシー』による声!?

 しかも月の神様って、マジかっ。」


「・・・本当、だ。

 月の女神様がまだ生きておられたなんて。」


「信じられぬ・・・。

 デルマじゃないが、これは本当に現実なのか?」


日の女神様と月の女神様の『テレパシー』による通話が勇者達にも聞こえたのでしょう。

皆、神喰いに対する攻撃の手を止め、頭に響く声に耳を傾ける。


(・・・攻撃の手を緩めるでない。

 わらわはもう助からぬ。

 だからわらわごと、神喰いを滅ぼすが良い。

 それで世界が守られるなら、未練はない・・・)


「ほ~・・・良い覚悟じゃね~か!!

 ついうっかり攻撃の手を緩めちまったが、そ~いう事ならっ。」


「止めんか、タケル!!

 月の女神様ごと、神喰いを滅ぼす気か!?」


「なんだよアーク。

 じゃ、月の女神がかわいそ~だから、あの化物を見逃がせってかぁ?

 それとも仲良く喰われましょうとでもほざく気か~?」


「ぐっ!!」


月の女神様が神喰いの体内でまだ生きておられると知って。

月の女神様を死なせまいとする人達と、神喰いを殺める事を優先すべきだとする人達で意見が分かれてしまう。

・・・せっかく皆の心が一つになってたのに。


ひょっとして私が余計な事に気付いてしまったせい・・・?

でも勇者に何の非も無い月の女神様の命を奪わせ、罪を背負わせる訳にもいかなかったし。


どうしてこうなっちゃったのかしら。

・・・どうするのが最善の選択だったのかしら。





(何も心配いりません!!

 デルマならあなたを救い出し、かつ神喰いを滅する策を必ず思い付きますから。)





え・・・?

えーーーーーーーー!!!!????


(デルマには如何なる暗闇からも希望の光を見出す力があります。

 だから・・・。)


「希望の光を見出す力・・・。

 それが王女の力。」


「こら、勇者っ!!

 そんな胡散臭い妄言を真に受けちゃダメでしょ!!

 ・・・私にんな能力なんか、ないってば。」


ってか、勇者だけじゃなく、クロ、ヴェリア、アビス様、アーク様、マイケル達、魔族達・・・。

それどころかあのタケル達すら、日の女神様の妄言を真に受けちゃってるよ~な気が。


私に・・・。

ただの一般人である私に希望の光を見出す力なんて、あるはずないじゃない。

私は異世界人でも異世界パワーを浴びたチート能力者でもないんだから。


「・・・・・・・・・・・・。

 ま、デルマに希望の光を見出す力があるかはともかくさぁ。

 助けられるなら、助けた方がい~んじゃな~い?」


「そりゃ、そ~だけれど。」


「でも神喰いのお腹の中にいるんじゃ、『コール』の魔法で引っ張るとかは無理よねぇ。」


「『コール』じゃ、体内の中にある何かを取り出すなんて芸当は出来ないからね。

 ・・・現実的に考えるなら、神喰いの体を切り裂くか、吐き出させて救い出すくらいしか。」





こ~して偶然なのか、実は意図的だったのかまではわからないものの・・・。

エミリーに話を振られた事をきっかけに私達は月の女神様を救い出す方法について、相談を始めたの。


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