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第181話 日の女神編⑤ アビスファミリー

「コントラクト・1・サモン!!」


「「ウォオオオオオオオオンンンンンンンン!!!!!!!!」」





神話をヒントに封印術を解き、日の女神様(仮)を救うため、勇者は伝説の竜を2体、呼び寄せる。

1体目はもちろん、金色の体を持つエンシェントドラゴン、アビス様。

そして2体目は赤く輝く体を持つ・・・。


「先代エンシェントドラゴンであるアーク・・・様?」


「・・・ほう。

 わしの名を知っておったか。

 小娘よ・・・。」


「デルマよ。

 アークは我の父上だぞ。」


う、嘘ぉ。


「しかし日の女神アイア様のコスプレ信者を救いたいと、な。

 話によると、かなりのクオリティーだそうではないか。

 一目見るのが楽しみだ。」


「・・・テンイ、貴様っ。

 いくら我らを疑ってるからと、コスプレ信者はないだろう!?

 少しは伝え方を考えたらどうなんだ!!」


「ちょっ!?

 謝る、謝るからさあ・・・。

 そう詰め寄らないでよっ。」


怒り狂うセインに詰め寄られ、ドン引きしながら後ろへ下がる勇者。


「あれがアビスが契約した転移勇者か?

 ・・・ふむ、確かにその力こそ計り知れぬものを感じる。

 が、なんとも頼りなき小僧よ。

 とても救世主の器とは思えぬ。」


「何を言うか、父上。

 未完の大器というのも浪漫あふれるではないか。」


「まったく、我が子ながら物好きな。」


地味に勇者をdisりつつも、2竜は日の女神様(仮)が封印されているクリスタルへと目を向ける。


「!!!!????」


「おおっ!!

 実に見事にアイア様を体現されているではない・・・か・・・?

 ???・・・・・・・・・・・・。」


どういう訳か驚き固まるアーク様と、はしゃいだかと思えばすぐに疑問たっぷりな表情でクリスタルを見つめるアビス様。


「ど~したんだろ~?

 アビス様。」


「・・・・・・・・・・・・。

 テンイよ。

 こやつ・・・いや、この方は本当にただのコスプレ信者なのか?」


「えっ!?

 違うの?」


一体、何をそんなに疑っているのやら。





「アビスーーーーーーーー!!!!!!!!」





なんてやり取りも束の間。

突然、上空に佇んでいた銀竜が叫び始めたの。


「むっ・・・。

 ダースか。」


「・・・あ~。

 そ~いやダースって、アビスの弟なんだっけ?」


「そうだ、ヴェリア。

 不肖の弟よ。」


と言うか、本当にアビス様の弟だったのねぇ。


「偉そうにしてんじゃねぇ・・・。

 おいっ、アビス。

 この俺と戦えーーーー!!!!」


「・・・つ~かなんでダースはあんなに喧嘩腰なのよ?」


「下らぬ嫉妬心からだ、エミリー。

 仕方あるまい。

 テンイよ、まずは場を弁えぬ愚か者を黙らせに行く。

 少し待っておれ・・・。」


「へっ?

 って、ちょっと!?」


しかも急に金竜と銀竜の戦いが始まろうとしてるんだけどぉ。


「おい、タケル!!

 これは俺の戦いだ。

 手を出すんじゃね~ぞっ。」


「出さね~よ。

 家族との決着はてめ~自身で付けな。」


「・・・タケルと言ったか。

 力こそ秀でているようだが、品性に欠ける。

 ふむ、類は友を呼ぶとはよく言ったものだ。」


「いつまで上から目線でいるつもりだ?

 アビスーーーーーーーー!!!!!!!!」


あら~・・・。





「「フィフス・ドラゴン・ブレス!!」」





こうして金竜と銀竜が竜の吐息をぶつけ合う。

凄まじいエネルギーを撒き散らしながらも、そのパワーはほぼ互角。

その後、2竜は目にも止まらぬ早さで飛び回りながら、己の爪を相手へ向ける。


「・・・あらま~。

 なんか家族喧嘩が始まっちゃったわ~。」


「わぁ~・・・。

 アビス様達、すご~い。」


「・・・だなぁ。

 やるじゃん、あいつら。」


「「「「「「「「「あわわ、あわわわ・・・。」」」」」」」」


タケル、セツナだけでなく、エミリー、クロ、ヴェリアもすっかり観戦モードな一方、マイケルの部下達は激しすぎる戦いに慌てふためいている。

3人の魔族達もどこか呆然と戦いを眺めている。


「ど~します?

 勇者様。」


「ど~しよっか?

 王女。」


私も勇者も唐突な争いにどう対応すべきか困り果てた挙句、一周回って能天気に呟き合ってたの。

そんな中、アビス様の爪による一撃がダースへ命中。


「ぐっ!?」


「少しは強くなったようだが、まだまだ未熟だな。

 ダースよ。」


「う、うるせぇ!!」


パワーやスピードこそさほど差がないものの、どうやらアビス様の方が実力は高いようね。

技術や立ち回りでダースを上回っているわ。


「・・・マイケル様やテンイには悪いが、俺はあの銀竜を応援したいですね。

 少しばかり先に生まれ、少しばかり力が強いからと、なんて偉そうな態度なんだ?

 伝説竜でさえ、そういった愚かで傲慢な振る舞いをするなんて本当にがっかりです。」

 

「それは俺への当てつけか?

 ユウ!!」


「異世界パワーで我らより強くなったからと、この愚か者めっ。

 強さを手にした途端、傲慢な振る舞いをするようになったのは貴様の方だろうが!!」


ってか、アビス様達だけじゃなくて、こっちでも家族喧嘩が始まっちゃってるわ。


「これまで延々と弱き立場の者を虐げ続けていた事をもうお忘れで?

 思うような結果を出せぬからと、悩み苦しむ俺に追い打ちを掛けるような真似ばかりしておきながら!!」


「あ、なんかちょっとわかるかも。

 高校の剣道部の先輩がそんな感じだったからさぁ。


 ・・・いくら努力しても伸び悩んじゃう時だってあるんだ。

 なのにあの先輩ったら罵声ばかり浴びせて、俺の事を追い詰めて・・・。」


「そ~だろっ、そ~だろっ。

 テンイ。俺はお前を誤解していた・・・。

 お前がこんなに話のわかる奴だったなんて!!」


例の本曰く、ユウのようなタイプは勇者みたいな人を蹴落としたがるとあるわ。

なんか苦労を知らない勝ち組のように思えて、叩きのめしたくなるみたい。


「・・・なんか仲良くなってますね。」


「そうね・・・。」


・・・でも似たような苦い過去があるからか、むしろ意気投合してるんだけど。

勇者にもエミリーにもしょっちゅう指摘されてるけど、例の本に書かれている事ってあんまりあてにならないのかしら?





「アビス!! ダース!!

 いい加減にせんかぁああああああああ!!!!!!!!

 日の女神アイア様の御前だぞっ。」


「「父上っ!!??」」





混沌とした状況になりつつあったものの、アース様の一喝により、場が静まり返る。

アビス様とダースもしばし互いを見つめ合った後、矛を収め、各々の主の元へ戻っていく。


「ど~したの、アーク?

 この女性は本物の日の女神様じゃなくて、ただのコスプレ・・・。

 ・・・って、怖い怖い怖い!!

 そんな目で睨まないでくれよ。」


「コスプレな訳、なかろう。

 美しき容姿、眩いばかりのオーラ、そして忌まわしき封印・・・。

 この方は紛れもなく、本物の日の女神様だ。」


・・・え~っと。

本気で言ってるのかしら?


「あなただけはわかってくださるのですね?

 アーク様・・・。」


「・・・小僧、マイケルと言ったか。

 なるほど、確かにかの者の面影がある。

 これまで日の女神様を守り続けた事、感謝する。」


「!!

 め、滅相もございません!!

 私達がこうして今を生きられるのは、全て日の女神アイア様のおかげなのですからっ。」


謎に意味深な会話を続けるアーク様とマイケル。

そんな彼らに対し、頭を垂れるマイケルの部下達。


ひとしきり会話が終わった後、アーク様はクリスタルへ鋭い視線を向ける。



「先代日の神様は万一に備え、託された。

 己の封印術を解くための魔法を。」



そして魔力を籠める。



「・・・しかしあまりに強固な封印術。

 わしの魔力さえ通じるかもしれぬ。

 だが日の女神様を救うため、忌まわしき神喰いの封印を解いて見せようぞ!!」



そう叫んだ後、溜め切った魔力を解放し、魔法を発動させる。





「フィフス・クリスタル・リリース!!

 ・・・156!!」


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