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第167話 全力編② 転生者と神竜の傭兵

「やれやれ・・・。

 一体、何の騒ぎだ?」





たまたま訪れた村の住民達がエミリーと知り合いだった。

しかも結構な因縁があったせいで、ちょっとした騒動になったの。


そんなところに2人の青年が各々のハーレムを侍らせながらやって来たわ。


「ヒ、ヒデヨシさんっ。

 アウザーさんっ。」


・・・アウザー?


「!!??

 アウザーって、あの『神竜の傭兵』と名高い・・・。」


「へ?

 あのアウザーって人、有名人なの??」


「はい。

 この世界ではかなりの有名人ですよ!!

 彼はですね・・・。」


数多の戦争で華々しい活躍を残した伝説の傭兵よ。

話によると『異世界パワー』を浴びた事で、その体を竜の姿に変える力を身に付けたんだって。

そういう経緯もあって、彼は『神竜の傭兵』と呼ばれ、怖れられていたの。


だけどある日突然、行方知らずとなり以降、その姿を見た者はいないと噂されてたのだけど。


「マジでっ!?

 ・・・なるほど。

 凄く強い人なんだね。」


って、勇者ったらなんでわくわくしてるのよ?


「もう傭兵として生きていくのに疲れたのでな。

 今はヒデヨシに雇われ、この村の用心棒としてのんびり過ごしているところだ。」


「用心棒って、のんびりしながら出来るお仕事かしら・・・?」


「出来るに決まってるじゃない!!

 アウザー様のお力があれば、ね♪」


彼に変わってそのハーレム要員が自信たっぷりに答える。


確かに彼が噂に名高い神竜の傭兵なら、こんな辺境の村の用心棒なんて些事に過ぎないのでしょう。

異世界人や異世界パワーを浴びた人の中にはスローライフに固執する人達が一定数存在すると、例の本に書いてあったけれど。

多分、彼もその内の一人なのね。


・・・ただその手の人達がスローライフを望んでも、大概は無駄な足掻きで終わっちゃうよ~だけどさ。

だって彼らって本当にトラブルから愛されてるもの。

ひょっとしたら彼らのハーレム要員からよりも、深く愛されてるのかもしれない。


そ~でなくても無神経に目立ちまくった挙句、不要な注目を浴びすぎちゃったせいでね・・・。

どう足掻いてもスローライフなんて無理な状態に陥っちゃう事も少なくないんだって。


「でもそんなとんでもない傭兵を雇っているヒデヨシも凄い人なのかな?」


「当たり前じゃな~い。

 ヒデヨシは神に選ばれし存在だもん♪」


「ハハハ。

 大袈裟だなぁ。

 オネは。」


ハーレム要員からヨイショされ、満更でもないヒデヨシだけどさぁ。

さすがにその表現は大袈裟すぎやしないかしら。





「?・・・。

 変。

 あの人、なんか変!!」





なんて話をしていると、急にクロがヒデヨシを変な人扱いし始めた!?


「こらっ、クロ!!

 失礼じゃないか。

 ・・・大体、彼の何が変なんだい?

 どこにでもいる、ごくふつ~のイケメンだと思うけど。」


「なんかムカつくな・・・。」


・・・やたらと美形な勇者からそんな風に言われたら、嫌味に聞こえちゃっても無理ないかも。

でも勇者の言う通り、特に変な人には見えないわ。


「ん~ん、そ~じゃなくてね。

 あの人の体の中にテンイお兄ちゃん達と同じ世界の人が・・・。

 『日本人』がいるみたいなの~。」


「「「「「「「「!!!!」」」」」」」」


「体の中に日本人がいる?

 小人じゃないんだから・・・。」


・・・・・・。

も・・・もしや!?


「あの・・・。

 ヒデヨシって、もしかして・・・。

 『転生者』なの・・・?」


「・・・まさか一目で見抜かれるとは。」


そんなっ。


「嘘でしょ!!

 『転生者』なんてオカルトじみた人達が本当にいただなんて。」


「オカルトじみた人達って。

 ・・・。

 うん、よく考えたら何も間違ってないな。」


「納得すんな!!」


『転生者』という存在はね。

死んでしまった日本人の魂が、同じく死んでしまったこちらの世界の住人に乗り移る事で誕生するの。

他にも赤子として生まれ変わるパターンもあるみたい。


例の本以外にも『転生者』について記されている書物は多い。

故にオカルトじみながらも、その存在を信じる人は少なくないわ。


「携帯小説なんかだとさぁ。

 神様から世界を救え的な事を言われて、転生しました~。

 ってパターンが多いけど、ヒデヨシもそ~だったりするのかな?」


転生者がどういう経緯でこの世界へやってくるかははっきりしていない。

例の本曰く、たまたまこの世界の住人として転生する事もあればね。

勇者が言った通り、神様的な存在から世界を救え的な使命を託され、転生するケースもあるそうだけど・・・。





「んなまさか。

 億に一つ、ヒデヨシが『神様から世界を救え的な使命を授かって』この世界へ転生していたらですよ?

 それはこの世界が滅亡する前触れなのですから。」


「「「「「「「「なっ!!??」」」」」」」」





あれ・・・?

ど~して彼らは例え話にそこまで驚いてるのかしら?


「どういう意味だ?

 俺を悪者扱いする気か!?」


「えっ?」


「そうだよ、王女。

 失礼だよ。

 ど~せ、例の本に『転生者には悪人しかいない』みたいな偏見でも書いてあったんだろ~けど~?」


「別にそ~いう訳じゃありませんが。

 能力や人格に関しては、転移者も転生者も大差ないと記されていましたしね。」


むしろ人格に関しては、勇者召喚された転移者の方が歪みやすいくらいよ。

・・・勇者召喚なんてしでかす極悪人達に人生を翻弄されちゃったら、ねぇ。


「じゃ~なんで、転生者さんがいたらこの世界が危ないの~?

 デルマお姉ちゃん。

 悪い事、しちゃうから~?」


「転生者だからって、必ずしも悪い事をしでかすとは限らないわ。

 良い人もいれば悪い人もいる・・・。

 それは私達も、転移者も、転生者も皆、同じよ。」


「なら、ど~してヒデヨシがいたら世界は危ない!!

 ・・・みたいな言い方したのさ?」


ああ・・・。

それはね。


「ヒデヨシがいるから、世界が危ない訳じゃありません。

 この世界が滅亡するかもしれないから、ヒデヨシがいる・・・。

 ただそれだけの話です。」


「「「「「「「「!!!!????」」」」」」」」


「あ・・・。」


・・・いや。

ヒデヨシ達ってば、何もそこまで驚いた反応をしなくても。


「言い換えただけで、同じ意味じゃないかな?

 なんだかよくわかんないよ。」


「仮にそういう経緯があれば・・・の話ですから、そんなに真面目に考えなくても平気です。

 そもそもそんな事情があって転生しただなんて、与太話もい~とこですしね。」


「ま~そ~だね。

 もしも日本で『俺は転生者だ。世界を救うよう、神様から使命を授かったんだ』なんて言う人がいたらさ。

 詐欺師か、危ない人のどっちかだもんね。」


そういう事かしら。

そしてもちろん偶然、この世界へ転生しただけの人なら、見かけたところで特に心配する必要ないわ。

世界滅亡の象徴となるのは、あくまで『特別な存在から使命を授かった転生者』に限るもの。





「そこまで考えを巡らせておきながら、随分と能天気だな。

 お前達ときたら・・・。」


「「へ?」」


「?~。」





?・・・。

ヒデヨシったら、たかが例え話でムキになりすぎよ。


「しっかしヒデヨシが転生者って事はさぁ。

 やっぱりなんか凄いチート能力とか持ってたりするのかなぁ?」


「・・・ね~、ヒデヨシ~。

 この舐め腐った人達にあなたの力、見せてあげたら~。」


「そうだな。

 じゃあさっそく、俺の力を見せるとするか。」


えっ!??





「スキル『実りの種』!!」


今回の王女は至ってシンプルな考え方から物事を語っています。

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