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第149話 第4のハーレム編⑮ 全てを滅ぼし魔族

異世界人の襲撃により、窮地に追い込まれる魔族。

更に彼らは罪無き子供達すら、惨殺しようと迫る。


その光景を見、1人の少女が絶叫を上げると同時に・・・。









世界が揺れた。









「うわぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」


「な・・・なんて凄まじい絶叫だ!?」


「み、見ろ!!

 ヴェリアの姿が・・・。

 姿、が?」


果てなく続くかに思われた絶叫が終わった後、ヴェリアの姿は人間とも魔族とも異なるものへ変わっていたの。





「・・・。」





魔族の時と同じく、その角も翼も残したままよ。

だけどその色は肌共々白く染まり、さながら人間と魔族を足して2で割ったような容姿ね。


でもそんな事以上に、彼女からは世界すらも容易く滅ぼしてしまう・・・。

そう錯覚を抱かせる程の凄まじいオーラが放たれている。

それが何より恐ろしい。

怖気すら感じる冷酷な瞳も合わさり、口を開く事さえ憚れる。


これが・・・。

これがあの、ヴェリアなの!?


「・・・。」


「「あ・・・。」」


彼女に瞳を向けられた。

たったそれだけで、ノリアキとハルマが蛇に睨まれた蛙のように動けなくなる。


「く・・・来るな、ヴェリア!!

 これ以上近づいたら、ガキ共の命は無いと思え!!」


「そうですっ。

 子供達の命が惜しくないのですか!?」


しかもヴェリアに恐怖する余り、マシオとユキに至っては子供達を盾にし始める始末。

もうどちらが悪党かわかったものじゃないけれど、今回ばかりは仕方ないかもしれない。

見ているだけの私ですら、今のヴェリアは震えるくらい怖いもの。


これほど恐怖を抱いたのは、出会ったばかりの勇者に次いで2人目ね。


「そんなものに興味はない。」


「「えっ!?」」


「わらわの望みは殺戮のみ故に。」


へ?

・・・それってもしかして、私達も含まれてる!?


「い・・・いい加減にしやがれっ!!

 お前如きに殺されてたまるかーーーー!!!!

 四の奥義・爆炎拳!!」


恐怖のあまり、猫に追い詰められたネズミが捨て身の反撃に出るかの如く、マシオがランク4のスキルでヴェリアへ攻撃を仕掛けたの。

だけどヴェリアは微動だにせず、マシオの炎の拳は炸裂する。


「やったか!??

 ・・・なっ?」


「下らぬ。」


しかしヴェリアには全くダメージが無かった。

その事実に唖然としていたマシオを彼女は壁を向かって無造作に放り投げる。


「ぎゃああああああああ!!!!????」


・・・たったそれだけでマシオがぶつかった壁は崩壊し、あまりの衝撃に彼は体を痙攣させたまま、動かなくなったわ。

数多の魔族を蹴散らしたマシオを、赤子の手を捻るかの如く倒しちゃったって訳!??


「フォース・アイス・ブロック!!」


「フォース・ロック・バレット!!」


その光景を目の当たりにし、ノリアキとハルマがランク4の魔法で攻撃。

それらもヴェリアへ直撃したわ。

でもやっぱり彼女には一切効いておらず、ただただ無表情に佇むばかり。


「嘘・・・だろ?」


「ランク4の魔法が・・・。

 ドラゴンすら一撃で倒す魔法が効かない、のか!?」


驚愕する彼らに歯牙も掛けず、ヴェリアはバリアの近くにいるマサヨシへ標的を定め、何やら風のエネルギーらしきものを集める。

・・・って、それがマサヨシに向かって放たれたら、私達も巻き込まるじゃない!!


「ひっ!?」


「ダ、ダメだ・・・ヴェリア。

 もう止めるんだ!!」


「い、いけません。

 勇者様!!

 心を乱してはバリアの強化が弱く・・・。」


だけどいくら私達が動揺しようが、ヴェリアの動きは止まらない。


「五の奥義・風烈爆裂弾!!」


「マサヨシ様!!」


ヴェリアがエネルギーを放出すると同時に、ユキがマサヨシを掴み、思いっきり放り投げたのが見えた。

と、同時に凄まじいエネルギーが辺り一帯を支配したの!!



********



「・・・エミリーのバリアが!?」


ヴェリアが放った一撃により、なんとエミリーのバリアはあっけなく崩壊。

勇者の動揺により、さっきよりもバリアの強度が落ちていたとは言え、なんて破壊力かしら?


それでも幸いバリアが壊れるだけに留まり、私達や魔族の子供達は無傷で済んだけれど。


「ユキ!?」


「こりゃひっどい重傷ねぇ・・・。

 あのさ、テンイ。

 可哀想だから、せめて死なない程度の回復はしてあげても良い?」


「お願い、エミリー!!

 ユキを助けてあげてっ。」


「・・・助かる保証はないけど、やるだけやってみるわ。」


マサヨシの代わりにヴェリアの一撃を受けたユキが瀕死の重傷を負ってしまったわ。

その様は敵であるにも関わらず、エミリーが自ら回復を申し出るくらい酷い有様よ。


しかも直撃してないにも関わらず、ノリアキとハルマまで戦えない程の大怪我を負ってしまう。

ついでとばかりにバリア外の魔族すら巻き込まれてしまい、生きてるかどうかも疑わしい状態よ。


「やめて!!

 もうやめてよ!!」


「ダメよっ・・・。

 ヴェリアを刺激しちゃ!!」


離れた場所にいたマシオ達のハーレム要員は大丈夫だったけど、彼女達の叫びが煩わしかったのかしら。

ヴェリアが彼女達へ視線を向ける。


「「「「「「「「ひっ!?」」」」」」」」


・・・もしも彼女達がヴェリアに攻撃されたら、絶対に助からない!!


「やめろ、彼女達に手を出すな・・・。

 この悪魔めっ!!」


「・・・。」


けれどユキが身を張って助けたおかげで、軽傷で済んでたマサヨシが声を上げる。





「これ以上、お前ら魔族に誰も殺させるものかーーーーーーーー!!!!!!!!

 五の奥義・秘剣・タケミカヅチ!!」





恐怖を怒りでねじ伏せたマサヨシがランク5最強クラスの両手剣スキルを発動。

凄まじい雷のエネルギーを乗せた剣でヴェリアを突き刺そうとしたの!!

ヴェリアはかわす素振りも見せず結果、剣は彼女の胴体を貫いた・・・。


かに見えた。


「えっ・・・?」


けれど、ヴェリアの胴体には傷一つなく、逆にマサヨシの剣が粉々になってしまう有様。

文字通り、彼女には全然刃が立たなかったわ。

って、ランク5のスキルが直撃したのに無傷!?





「ガハッ!?

 そ、そんな・・・。」





むしろヴェリアの手刀がマサヨシの胴体を貫く始末。


「所詮はチート能力に胡坐を掻いてるだけの愚物、か。

 何の重みもない剣よ。」


ヴェリアはマサヨシの体から手を抜き取り、ゴミ同然に放り投げる。


「あ・・・が・・・。」


「魔族が人を憎み、人が魔族を憎む・・・。

 人と魔族は永遠に分かりえない。

 ならば全てが滅ぶまで、互いに殺し合おうではないか。」


既にいつ死ぬかわからない状態だけど、それでもマサヨシにトドメを刺そうと、ヴェリアが迫る。


「マサヨシ様!?

 お願いします、皆様。

 私の事はどうなっても良いから、マサヨシ様を助けてあげてっ!!」


「いや・・・。

 あんな風に貫かれたんじゃあ、どの道もう彼は・・・。」


「彼は魔族に故郷を滅ぼされ、一人ぼっちになった私へ手を差し伸べてくれたのです。

 あの方がいなくなってしまっては、私は・・・私はっ!!」


ユキの懇願する姿に胸が痛くなる。

でもエミリーの言う通り、彼はもう・・・。





「あ~~~~!!!!

 ど~しよ、ど~しよ~!!??

 あそこ、あそこ!!」





そんな中、あまりの出来事に呆然としていたクロが突如、大声を上げる。

何事かと思い、彼女が指差した方を見ると・・・。


「父さん!!

 しっかりしてっ。

 父さん!!」


ヴェリアとマサヨシの近くで倒れていた魔族に向かって、シファが声を掛けていたの!!

あれはシファのお父さん・・・。

シファったら、私達が呆然としてる間にあんな所まで・・・。


「・・・。」


その叫び声に刺激されたのか、ヴェリアの関心がマサヨシからシファへ移る。


「!!??

 あ・・・あ・・・。」


「・・・。」


マズイわ!!





「ま・・・まるで魔王・・・。」





へ?


「何、言ってるのよ。ユキ。

 今の時代の魔王は男よ。

 だからヴェリアは魔王なんかじゃないって!!」


「でもそう言いたくなる気持ちもわかるわ~。

 ・・・だって今のヴェリア、魔王並に怖ろしいもの。」


確かにそうね。

ただ例え彼女が魔王じゃなかったとしてもさ・・・。


このままじゃ、シファがヴェリアに殺されちゃうわ!!


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読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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