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第147話 第4のハーレム編⑬ ヴェリアの奮闘

今週は2話連続で投稿します。

異世界人VS魔族による激しい戦いは続く。

けれど勝負は完全に異世界人の優勢で、魔族が敗れるのも時間の問題よ。


・・・でも私はこの展開を予想してたわ。

戦える戦士の数こそ魔族が上回るけど、彼らが使える魔法・スキルのパワーはほぼ全員がランク2~3止まり。

一方、異世界人は最低でもランク4以上の魔法・スキルを扱える。

この差はあまりに大きいもの。


それでも重傷者多数ながら、未だ魔族から死傷者は出てなかったわ。

それは『彼女』の奮闘のおかげでしょうね。





「四の奥義・連続気弾拳!!」





ヴェリアの放ったランク4のスキルが、魔族にトドメを刺そうとするマシオ達の進撃を押し留める。

『四の奥義・連続気弾拳』は拳から複数のエネルギーの塊を放出する強力なスキルよ。


「ヴェ・・・ヴェリア様・・・。」


「ったく、足引っ張ってんじゃね~よ!!」


マシオ達が怯んだ隙に彼女は高速で飛び交い、殺されそうになっていた魔族を救出する。

彼女は異世界人VS魔族の戦いが始まってからね・・・。

ひたすらさっきのような守りの戦いに徹し、魔族が死なないよう、立ち回っていたの。


「おい、デルマ!!

 こいつらも引き取りやがれ!!」


「わ・・・わかったわ。

 コール!!」


「あっ!?

 デルマ・・・。

 お前、また魔族を避難させやがってっ!!」


あと私がクロと協力し、瀕死の魔族を『コール』で呼び寄せてるのを察し、それをフォローするような動きも取ってたわ。

クロの『索敵』と彼女のフォローのおかげで、『コール』による避難も大体は上手くいっている。

ただし私の『コール』は決して万能なんかじゃない。


「・・・お前ら人間なんか、信じられるかっ!!」


「あっ!?」


残念ながら『コール』は強者に強固な意志で拒絶されると、対象を呼び寄せる事が出来ない。

非力な私じゃ並の魔族1人にだって、到底敵わないからね。

だから相当な重傷者以外は呼び寄せられなかったの。


「ちっ!!

 足手纏いの分際で・・・。

 大人しく安全圏で震えてればい~ものをっ。」


「・・・そんな足手纏いなど、切り捨てれば良い。

 そして歯向かう人間なぞ、皆殺しにして下されば良い。」


「なっ・・・?」


魔族ってば。

いくら人間が憎いからって。


「ある意味、マサヨシ達と同類ね~。

 そんなヤケにならなくてもい~のに。」


「・・・貴様らに何がわかる!??

 限界なんだよ・・・。

 敵だらけの中、生きていくのも限界なんだよ!!」


「そう言われると、反論しづらいわ・・・。」


ま、彼らのようなはぐれ魔族は帰りたくても、帰れずにいるからね。

しかも周りは敵意剥き出しの人間ばっかだし・・・。


・・・だけど、それが彼らの抱える闇だとしたら。





「・・・・・・・・・・・・。

 マシオ、ノリアキ、ハルマ。

 まずは中途半端に弱っている魔族を狙え。

 もちろん3人共バラバラにだ・・・。」





な・・・なんですって!?


「マサヨシ!?

 てめえっ!!」


「「「死ねーーーー!!!!」」」


そしてマサヨシの指示通り、マシオ達は弱っている魔族へ攻撃を仕掛かる。


「くっ!!」


そうはさせまいとヴェリアがフォローに回るも、残念ながらそんな彼女の隙を作るのがマサヨシの目的だったの。


「五の奥義・電光斬撃波!!」


「なっ!?

 ぐわぁああああああああ!!!!????」


「ヴェリア!??」


『五の奥義・電光斬撃波』は『斬撃波』とよく似た性質を持つスキルで、斬撃の形を模した電撃を放つの。

でもその威力は『斬撃波』とは比べ物にならず、竜や魔族すら一撃で葬ると伝えられているわ。


マサヨシが『中途半端に弱ってる』なんて注文を付けたのも、私達が『コール』で魔族を避難させるのを防ぐためね。

重傷を負ってない限り、魔族は私の『コール』による避難を拒むもの・・・。

なんて悪辣なやり口かしら。


・・・ってか、ヴェリアは大丈夫なの?

だって・・・。


「う・・・ぐっ?

 マサヨシ。

 てめえっ!!」


・・・・・・・・・・・・。





あれ?





「ヴェリア・・・?

 ・・・まさか電撃に対する耐性が異様に高いのか?

 だがどちらにせよ、お前は相当なダメージを受けている。

 しばらくは動けまい。」


確かに『命に別状はない』ものの、ヴェリアはかなりのダメージを受けてしまい、思うように体を動かせずにいるわ。

でもどうして・・・。


些細な疑念が生じるも、目まぐるしく変わる戦況が、思考に耽る時間を許さない。


「・・・そうだ、良い案を思い付いた。

 ハルマ!!

 バリアの外の魔族を気絶する一歩手前まで痛めつけてくれ!!」


「随分とややこしい注文だな、マサヨシ。

 だがその要望なら、この魔法が丁度良いかなっ。

 サード・ロック・レイン!!」


あれは数多の岩を空中から落とし、敵を一掃するランク3の攻撃魔法!!


「「「「「「「「ぐわぁああああああああ!!!!????」」」」」」」」


既に結構なダメージを負ってた魔族は全員、ハルマの魔法で気絶する一歩手前まで痛めつけられたの。

あの魔族をこんな簡単に蹴散らすなんて、やっぱり異世界人はあまりにも強すぎる・・・。


「どういうつもりだ!?」


「な~に、テンイ・・・。

 あの魔族に引導を渡す前に、あいつらの目の前でお仲間やガキ共を始末しようと思ってなぁ。

 そうすればきっと奴らは己の無力さに涙するだろう。

 ・・・性根の腐り切った悪しき連中には良い罰よ。」


「なんだって!?」


そんな目的でハルマにあんな指示を出したなんて・・・。

どっちが悪党なのよ!?


「マサヨシ。いくらなんでもやりすぎだ!!

 大体、罪の無い魔族の子供達まで、悪扱いして殺しに掛かるなんて酷いよ・・・。

 ・・・お前の正義は歪み切っている!!」


マサヨシのあんまりなやり口にさすがの勇者も激怒し、彼の正義を否定する。

確かに例の本にも異様に正義感が強いタイプの異世界人は危険視すべきだと書かれていたわ。


だけどこんなに歪み切ってたなんて思わなかった!!

どうして彼はそこまで正義に執着するの!?





「俺の正義が歪んでいる、だと?

 だからどうした・・・そんな下らない事なんか知るか。

 誰が語ろうが正義なんてものは、最初から歪み切ってるんだよ!!」





えっ!?


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