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第143話 第4のハーレム編⑨ ヴェリアの真実

異世界人のハーレム要員(?)ヴェリアが人質に取られ、仕方なく魔族のアジトへ付いて行く転移勇者一行。

涙を流しながら謝罪するヴェリアに対し、勇者はこう問い掛けた。





「君は一体、何者なんだい?」





と。


「あの、テンイさん?

 急に何を・・・。」


「・・・だってさ、ヴェリア。

 君は人間と魔族のハーフなんだろ?」


「「「「「「「「!!!!????」」」」」」」」


「「「「「「えっ・・・?」」」」」」


勇者にそう告げられ、周りの魔族が驚愕を露わにしてるわ。

何も知らない子供達もただただ戸惑うばかり。


「・・・。」


けれど肝心のヴェリアは感情の読めない顔で勇者をじっと見つめている。


「何故、そう思われるのです・・・?

 ひょっとしてあの時、クロちゃんが妙な質問をしたからですか?」


「・・・そうだね。

 それが不審に思ったきっかけの1つかな?」


ヴェリアが魔族の子供を助けて欲しいと依頼した際、何の前触れもなくクロがこう聞いてきたの。

『魔族は人間に姿を変えられるのか?』と。

不思議そうな表情でヴェリアを眺めながら。


「他にも不審な点はいくつもあったよ。

 町を襲った魔族が『人間』である君に争いを止めるよう、言われた程度で引き下がった事。

 ほとんどの町人やマサヨシ達も知らなかったのに、子供達が攫われてる事実に気付いてた事。

 清楚な見た目に反し、過激な態度がちらほら見られた事・・・。」


こうして整理するとヴェリアってば、怪しい所だらけね。

私も突っ込みを我慢するのが大変だったわ。


「・・・不審に思いながら、あたくしの頼みを引き受けたのですか?

 あたくしが子供達に害を成すかもと思わなかったのですか?」


「それは思わなかったかな。

 だって子供達に危害を加えたいならさ。

 黙って放置するか、マサヨシ達を嗾けた方が効率的じゃん?

 わざわざ俺達に助けを求めるような、無駄な真似なんてしないさ。」


「・・・。」


それは勇者の言う通りね。

少なくとも私達に助けを求めた時点で、理由はどうあれ子供達を助けたい気持ちに嘘偽りはなかったはずよ。

だから共に子供達を救出する事に関しては、特に異論がなかったのだけど。


「ヴェリア・・・。

 君からすれば、俺達なんて味方でもなんでもないかもしれない。

 だけどそれでも俺は、君が本当は優しい子だって信じてる。

 ・・・だから。」





「気色わりぃ事言うんじゃね~よ。

 つまんねぇハーレム野郎が。」





仮に騙していたとしても、ヴェリアの善性を信じたい勇者を嘲るような声が響く。

それと同時に彼女の姿が見る見る内に変貌していったわ!!

角や翼を生やし、その身を漆黒に染めた姿は正に・・・。


「・・・魔族。」


「・・・ってかその胸、でかすぎでしょ~が!!

 な~んか気に入らないわね~・・・。」


「いや、そこはどうでも良いでしょ!?」


「?~。」


平常運転の闇聖女はさておき、魔法も魔道具も使わず、ヴェリアは人から魔族へ姿を変えたの。

・・・ハーフは『特性』の力でどちらの種族にも自在に姿を変えられるって話、本当だったんだ。


「ヴェリア様!?

 何故、自ら正体を明かしたりなど・・・。」


「ハッ。ど~せ俺の正体はばればれなんだ。

 だったらくだらねぇぶりっ子なんぞ、やるだけ無駄だ。」


更に魔族へ姿を変えた途端、ヴェリアは女性にも関わらず一人称を『俺』に変え、その口調も荒々しいものへ変わる。

あまりの豹変ぶりに、怯え出す子まで現れる始末。


「だがテンイ、てめぇ。

 クロの唐突な質問1つで、全ての真実を見抜いたってかぁ?」


「・・・・・・・・・・・・そうだね。

 君の正体を見破るくらい、転移勇者の俺なら訳ないさ。」


恐ろしい表情で威圧するように問い掛けるヴェリアに対し、勇者は不敵な笑みを浮かべながら、切り返す。

だけど・・・。


「・・・嘘はよくね~なぁ、テンイ。

 ホントはてめぇが俺の正体を見破ったんじゃなくてよぉ。

 デルマやクロから入れ知恵されただけだろ?」


・・・・・・。


「そんなまさか・・・。

 彼女達はただの無力な女の子さ。

 転移勇者や魔族が警戒するような存在じゃない。」


それでも勇者は誤魔化そうとするのだけどね。


「しらばっくれるのも大概にしろっ!!

 素直に白状しやがれっ!!」


「!!??

 やめろっ!!

 王女やクロに手を出すなっ!!」


そんな勇者に業を煮やしたヴェリアが怒鳴り散らしたの。

彼はヴェリアから私達を守るかのように前へ出る。


「ええ、そうよ。ヴェリア。

 私が勇者に入れ知恵したの。」


「ちょっと、王女!?

 ダメだよ、そんな事バラしちゃ・・・。

 だって・・・。」


「・・・仕方ありませんよ。

 ヴェリアは私達がどこまで知っているか・・・。

 気になって、気になって、しょうがないみたいですから。」


「・・・・・・。」


ま~そうは言ってもね。


「でもね、ヴェリア。

 私も勇者が話した内容以上の事は知らないわよ。

 クロもあなたが何者なのか、よくわからなかったみたいだし・・・ね?」


「うん・・・。

 ヴェリアさんの気配、なんだかよくわかんなかったの~。

 だってすっごくごちゃごちゃしてるんだもんっ。」


「でもクロなりに色々考えた結果『人に姿を変えた魔族』ってのがさ。

 一番しっくりきたのよね。」


「うんっ。」


だからあの時、クロは唐突にあんな質問をしたの。

それ以前に最初から彼女はヴェリアの事を不思議そうに見つめていたわ。

きっと彼女が何者なのかわからず、気になってたのね。


「・・・・・・。

 てめえらが知ってる事はそれだけか?」


???


「ヴェリアったら、何をそんなに警戒してるのよ?

 実は人と魔族のハーフでした~、以外に何か秘密でもあるの?」


何故か他の魔族から『様』付けされてるしさぁ。

考えれば考える程、怪しい女の子ね。


「・・・ど~やら本当に気付いたのはそこまでのよ~だな。

 なら、口封じをする程でもね~か。」


ど~にも得体が知れないわ。


「だがこれ以上、余計な詮索はすんじゃね~ぞ?

 命が惜しかったらなあっ!!」


「わわっ!?」


「・・・まるでやましい事を隠してるチンピラのよ~ね。

 面倒臭いったら、ありゃしない・・・。」


ヴェリアの恫喝に驚くクロと、平然な顔で茶々を入れるエミリー。

そして私達を庇うように静かに前へ出る勇者。


「ったくテンイの野郎。

 女の前だからって、しょ~もない嘘付いてまで良いカッコしやがってよぉ。

 あ~、くっだらねぇ。」


「カッコ良いどころか、寧ろ無様ですがね。

 連れの気付いた事をさも自分が見抜いたかのように振る舞うなぞ。」


「所詮は転移勇者、いや、人間か。

 自分を良く魅せる事しか頭にない愚か者の群れよ。」


勇者は嘘を貶す魔族達に対し、弁明どころか、顔色一つ変えない。

ひたすら真剣な表情で彼らを見据えるばかり。


「ま、こいつらの事はもうど~でもい~や。

 それよりてめえら・・・。」


「・・・な、なんでしょう?

 ヴェリア様・・・。」


けれどヴェリアはもう私達に興味を失ったようで、魔族へ向かって話し掛ける。

彼女ってば、いくら取り繕う必要が無くなったからって、態度を変えすぎでしょ?





「俺のおかげでガキ共は助かったんだ・・・。

 だったら俺の言い分くらい、聞いてくれても良いよなぁ?」


「「「「「「「「なっ!??」」」」」」」」


今回のテンイに関しては、なろう系主人公への好感度次第で解釈が変わると思います。

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読んで頂き、ありがとうございました。

少しでも「続きが気になる!」「面白い!」と思って頂けたら、評価★★★★★と、ブックマークを頂ければと思います。

どうぞよろしくお願いします。
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