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第142話 第4のハーレム編⑧ 捕らわれたヴェリア?

「何を言っている・・・。

 この子達と無事、再会出来たからこそ何の遠慮もいらない。

 何の遠慮もせずに、あの町を破壊出来るのだ!!」


「なんだって!!??」





転移勇者一行は町の小悪党に攫われた魔族の子供達を救出。

そして親元へ無事、返せたの。


これで魔族が町を襲う理由は無くなった。

・・・そう勇者は思ってたのだけど。


「だが今すぐと言う訳にもいかぬ。

 一旦アジトへ戻り、準備を整えてから、総攻撃を仕掛けるとしよう。」


「ちょっと待ってよ!!

 なんでそうなるの・・・。

 もう君達にあの町を襲う理由なんか、ないだろ!?」


そうなの。

客観的に考えれば、魔族がこれ以上、あの町に執着する理由はないの。


「ふざけるなっ!!

 薄汚い私欲で我らの子供を攫っておきながら、抜け抜けと・・・。」


「で・・・でもっ。

 あの町のほとんどの人は今回の誘拐事件に一切、関わってないんだよ?

 なのに無関係な人にまで危害を加えるなんておかしいよ!!」


「つ~かあの町、チートじみた強さを持つ異世界人がた~っくさんいるのよ?

 何の得もないなら、もう近づかない方が余計な被害、出さずに済むんじゃな~い?」


「そんな理由で引けるものかっ!!」


だけど怒りで我を見失ってる魔族に勇者やエミリーの正論は届かない。

ただただ我が子を誘拐した愚か者への制裁だけを考えている。

・・・愚か者でもない者の巻き添えすら厭わずに。


「お父さん・・・。」


「しかし貴様らの存在は様々な意味で報復の邪魔でしかない。

 だからしばらくの間、我らのアジトで大人しくしてもらうとしよう。

 ・・・な~に、余計な真似をしなければ危害は加えん。」


「なっ!?」


まさか私達が邪魔だからって、監禁する気!?





「断るのなら、この女の命は無いと思え!!」





・・・なんなの、その人質でも取ったかのよ~な台詞は。

って!?


「ヴェリア!?」


なんとヴェリアが魔族の手で羽交い絞めにされている。

これは・・・。


「・・・申し訳ありません。

 テンイさん。

 あたくしが不甲斐ないばかりに。」


「さあどうする、テンイよ。

 大人しく我らに付いて来るか?」


「あら~・・・。

 ど~しよ~かしら~?」


まさかヴェリアを使って、私達を脅してくるなんて。


「・・・わかったよ。

 君達に付いてく。」


「勇者様!?

 そんな簡単に決められては・・・。」


「でも万が一もあるかもしれないじゃないか。

 ・・・だから、さ。」


「そこを突かれると、痛いですが。」


勇者の言う通り『万が一』のケースもあり得なくはないわ。

だから慎重を期すなら魔族の言う通りにする方が無難かもしれない。


「賢明な判断だ。」


「ごめんなさいっ!!

 あたくしが不甲斐ないせいで・・・。」


「・・・。」


状況を見守っていたヴェリアが涙を流しながら謝罪を続ける。


「さあ、付いて来るんだ!!」


そして付いて来るよう、魔族に命令されたの。

それに私、勇者、エミリーは従ったわ。

でもクロだけは何に困惑しているのか、顔をキョロキョロさせるばかり。


「あれ~?

 あれれ~?」


「ど~したのよ、クロ。

 ほら、キョロキョロしてないで、付いて来なさい。」


そうエミリーに促されると、クロは困惑したように口を開く。





「あのね。誰かがあたし達の事をね。

 じ~っと見てる・・・よ~な気がするの。」





へ?


「でもよくわかんないの。

 上手く気配が掴めないの。

 こんな感覚、初めてで・・・。」


「そ~言われてもねぇ。

 反応に困るわ。」


確かにどう反応したら、い~のやら。


「しかもあたしの知ってる気配なの。

 ・・・だけどお名前、わかんないの。」


「う~ん・・・。

 それはいつからの話?」


「魔族がいっぱい来てから~。」


なるほどね。


つまり顔見知り程度の誰かの気配がするよ~な、しないよ~な・・・。

って感覚に囚われて、キョロキョロしてたよ~ね。


「いや、それって大丈夫なのかい?」


「あまり大丈夫じゃない気がします。

 誰かが魔族の後を付けてたのかもしれません。」


そしてその誰かも大雑把には想像付くわ。

このまま何も対策せずにいたら、魔族のアジトが割れて大事になっちゃうかも。


「いい加減にしろっ!!

 そんなガキの戯言で、あ~だこ~だと・・・。」


いくら子供の言い分だとしても、クロの索敵能力は大人顔負けよ。

決して軽視出来ないわ。

何より私自身の勘が彼女の言い分を無視すべきではないと、囁き続けてるもの。


「いえ。クロちゃんの索敵能力を侮ってはいけません。

 囚われた魔族の子供達を探し当てたのも彼女の力あってですから。」


「ななっ!!

 ・・・。」


「・・・仕方あるまい。

 何人かをネズミの探索・警戒に回すとしよう。」


ヴェリアの話を聞いて、魔族も警戒すべきと判断したようね。

何人かを謎の追跡者の探索に回したの。


「これで気が済んだだろう・・・。

 さっさと付いて来い!!」


こうして私達は魔族のアジトまで連れて行かれたわ。



********



「・・・ここが魔族のアジト、か。」


「ただ廃墟に住み着いてるだけじゃない。」


大勢の魔族に睨まれる中、転移勇者一行は身を寄せ合いながらコソコソと話す。

なんか肩身が狭いわ~。


「ごめんなさいっ、テンイさん!!

 本当にごめんなさい・・・。

 あたくしのせいで、こんな事にっ。」


そんな中、ヴェリアが涙を流しながら私達へ謝罪した。

勇者は彼女を責める事も励ます事もせず、じっと見つめ続けた後、こう問い掛ける。





「ねえ、ヴェリア。

 君は誰の味方なのかな?」


「えっ!?

 テンイ・・・さん?」





ヴェリアからしたら予想外の反応だったのでしょう。

少なからず戸惑ってるわ。





「君は一体、何者なんだい?」


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