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第136話 第4のハーレム編② 謎の白き少女

さすがに前話だけだと短すぎるので今週は2話分投稿しますw

私は元ジャクショウ国の第四王女、デルマ。

勇者のハーレム要員として、旅を続ける最中、とある小さな町へ立ち寄ったの。


でもね・・・。


「「「・・・。」」」


「皆、みょ~にビクビクしてるわねぇ。」


「うん。」


「魔物にでも襲われたのかな?」


ちっとも活気が無くて、道行く人々もオドオドしてばかり。

・・・これは妙な事に巻き込まれる前に、急いで退散した方が良いのかしら?


「魔物に襲われただと?

 違う。

 そんな可愛いもんじゃない。」


「えっ?」


どうしたものかと考えてると、私達の会話を聞いてた通行人の1人が錯乱した様子で話に割って入る。

ちょっと怖いんだけど。


ただそんな感情も次の彼の言葉で吹き飛んでしまったわ。





「魔族だ・・・。

 今、この町は恐ろしい魔族の群れに襲われてるんだ!!」


「「「「魔族!??」」」」





なんとこの町は魔族の襲撃に合ってるみたいなの。

・・・って。


「あんたらさぁ。

 魔族に喧嘩売るなんて、命を投げ捨てたいの?」


「な、何の話だ!?

 俺は何もしてないぞ!!」


「でも魔族って基本、手を出さない限り無害だから。」


そ~なのよねぇ。


彼の話を信じるならば今、この町は多分、はぐれ魔族にでも襲われてるのでしょう。

だけど彼らはこちらから危害を加えない限り、暴れ出す事はほとんど無いの。

これは魔族について記された本にも書かれてるわ。


ただ彼自身が魔族に手を出した風には見えない。

だとすれば・・・。


「この町の誰かが魔族へ危害を加えたのかしら?」


可能性としてはそれくらいしか考えられない。


「そ・・・そんなはずは・・・。」


「だけどそ~でもなきゃ、魔族がこんな小さな町に固執したりしないって。」


「だがっ!!」


どちらにせよ、嫌な予感しかしないんだけど。





「あっ!?

 来たよ、魔族がやって来たよ!!

 ・・・凄く怒ってるみたい。」





そして残念ながら、嫌な予感は的中しちゃったようね。

クロが『索敵』で魔族の襲撃を察知したの。


「「「返せーーーー!!!!」」」


「・・・あらまぁ。

 事情はさておき、町へ入り込まれたら厄介ねっ。

 フォース・バリア!!」


「「なっ!??」」


クロの忠告を聞いて、エミリーが条件反射でランク4の防御魔法を発動。

魔族の侵入を防いだ。

・・・かに思われたけど。


「皆!!

 1人、中へ入っちゃってる。

 あっち、あっち!!」


「なんだってぇ?

 『あいつら』はまだか!?」


どうやら魔族の1人がバリアの内側へ入っちゃってるようなの。

なのでクロが指差す方へ急ぐと・・・。


「返せ・・・。

 返せーーーー!!!!」


「ぎゃああああああああ!!!!????

 誰か、助けてくれーーーー・・・・・・。」


なんと魔族が町の人を引き裂こうとしていたわ!!


「やめろーーーー!!!!」


「!!??

 誰だ、お前は・・・。

 俺達の邪魔をするなぁああああ!!!!」


勇者の制止に反応し、魔族が矛先を彼に変える。

しかし勇者は冷静に相手の攻撃を見切り、不殺の剣で魔族の頭と胴体を打ち抜いた!!


「ガハッ!??

 う・・・ぐ・・・。」


不殺の剣は偽りの痛みで相手の心のみを斬る武器。

その効果は魔族にもしっかりあるようね。


そして今こそ、この魔族を追い払うチャンスよ。


「強化!!」


私はランク1のスキルを使用。


「女っ!?

 一体、何をする気だ?」


「エミリー。

 今からこの魔族を上空へ放り投げるわ。

 だからタイミングを合わせて・・・ね。」


「あ、そゆこと。

 りょ~かい。」


偽りの痛みで動きが止まった魔族を掴み、ボールを投げるかのようなノリで空高く放り投げた。


「うわぁああああああああ!!!!????」


もちろんこのままだとあの魔族はバリアと激突してしまう。

でも魔族がバリアにぶつかる直前、一瞬だけエミリーにバリアを解除してもらったの。

こうする事でバリアの内側に入った魔族を外側へ追い出す事に成功したわ。


「「なんだとっ!!??」」


「・・・。

 もう町の人を襲う魔族はいないみた~い。」


「クロがそう言うなら安心だね。

 ・・・にしても王女にこんな馬鹿力があったなんて。

 俺よりパワーあるじゃん。」


「違いますって・・・。

 さっきのはランク1のスキル『強化』の効果によるものです。

 素の私は勇者様よりずっと非力ですよ。」


「あ、そなんだ。

 多分、肉体を強化するとかそんなスキルだろうけどさぁ。

 凄い効果だね。」


勇者の言う通り、『強化』は自分の肉体を強化するスキルよ。

多くのスキルの基礎となる存在なの。


初歩的なスキルである『巨大化』も、本来であれば『強化』を修得してからじゃないと、上手く使いこなせないわ。

あのスキルを使うためには大きくなった武器に押し潰されないよう、肉体を強化する効果も混ぜる必要があるからね。


・・・天才肌の勇者は一足飛びに『巨大化』を修得しちゃったけどさ。

あれは例外中の例外だから。


私達がのほほんと話を続ける最中も魔族は執拗にバリアへ攻撃を続けている。

でもエミリーのバリアは壊せない。

さすが聖女の防御魔法ね。


「「「返せーーーー!!!!」」」


それでも3人の魔族は諦めない。

バリアを壊そうと一心不乱になってるわ。


「なんて凄まじい執念かしら・・・。

 あんた達さぁ。

 一体、あの魔族達に何をしたのよ?」


「確か『返せ』って、叫んでたわね。」


「し・・・知らない!!

 本当に何も知らないんだ・・・。」


いくら彼が何も知らなかったとしても、なんらかの事情があるのは確実よ。

・・・ど~したものかしら。





「お止めくださいっ!!」





私達が困り果てていると、1人の白い肌の女性が魔族へ戦いを辞めるよう、訴えたの。

勇者の世界で例えるなら『大和撫子のような女性』といった感じでしょうか?

同じ女性の私でさえ、思わず見惚れてしまうような、とても清楚で美しい女性ね。


「・・・なんて綺麗な女の子なんだ。」


彼女の美貌には勇者も、更にはひたすら怯えていた町人達すら見惚れる程よ。


「「「!!??」」」


「・・・これ以上の戦いは無意味です。

 お願いします。

 どうかここは引いて下さい。」


「・・・・・・・・・・・・。

 ちっ!!」


「「・・・。」」


彼女の真意な態度に何を思ったのか、魔族が退散していく。


「あらま~・・・。

 随分と聞き分けの良い魔族だこと。」


「きっと彼女の言葉が響いたんだよ!!

 ・・・こんなに綺麗な女の子が誠意をもって説得したんだ。

 そりゃ魔族だって戦いを辞めるに決まってるさっ。」


「テンイってば。

 いくらあの子が可愛いからって、熱くなりすぎよ。

 これだから男は・・・。」


・・・けどそんな理由であんなにムキになってた魔族が撤退するかしら?

とは言え、世の中には人間にべた惚れする魔族もいるからねぇ。


「・・・先ほどの戦いを見ていました。

 テンイさん、でしたか。

 あなたはとてもお強い方なのですね。」


「い、いやぁ。

 えへへ・・・。」


「テンイ。

 でれでれしすぎ。」


謎の少女に褒められ、女好きの勇者はひたすら浮かれてたわ。

そんな彼をエミリーは呆れた様子で突っ込む。


「・・・。

 ?~。」


「こらっ、クロ。

 あんまりジロジロみちゃ、ダ~メ。」


「は~い。

 ・・・。」


一方、クロは何故か彼女をず~っと不思議そうに眺めてたわ。

何が気になってるのかしら?





「確かに中々の強さじゃないか。

 でもさ、君達・・・。

 悪しき魔族にその対応は手緩すぎだと思うよ?」





えっ!?


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