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第105話 ハーレム失格編⑥ ハーレムとは何か?

「じゃあ、ユウナさんとリーラさん。

 カズキさんのハーレム要員なの~?」


「「(゜Д゜)ハァ?」」





町を襲う災厄の正体は、たった一人の女の子だった!?

女の子は大好きな男の子を他の女の子に取られたせいで、怒りのあまり、破壊の権化と成り果ててしまったの。


真実を知り、唖然とする私達を尻目に何もよくわかっていないクロが問い掛ける。

二人の女の子は大好きな男の子のハーレム要員なのか、と。


「?~。

 違うの~?

 二人とも、カズキさんが大好きなんでしょ~?」


「だからって、何で私がハーレム要員になるのよ!?

 大体、カズキが愛しているのは私だけよ!!」


「ふざけないでくれる!?

 カズキと真実の愛で結ばれてるのは、私の方なんだから!!」


「((((;´゜Д゜)))アワワワワ」


・・・どっちの意見が本当なんでしょうね。

あわわわしているカズキを見ているだけではよくわからない。


「ったく、何がハーレムよ?

 ・・・って、今更ながらテンイ。

 あなた、随分綺麗な女の子達と一緒なのね。


 もしかして彼女達を自分のハーレムとして、囲ってるつもり~?」


「え″。」


ユウナに問われ、何故か戸惑う勇者。


「うんっ!!

 あたし達はね、ご主人様のハーレム要員なんだ~♪」


「なっ!?

 王女(?)と聖女(?)を二人同時に侍らせてるだけでも、最低なのに・・・。

 あんな小さな女の子まで、ハーレムとして囲ってるなんて!!


 この変態、ケダモノ、犯罪者!!

 テンイ、あんたはどこまで落ちぶれたら気が済むの!?」


ど~してユウナは、勇者の生き方を貶しているのかしら?

元の世界と違って、この世界ではハーレムOKだって事を知らないせい??


などと考えを巡らせていると、急に勇者が生気の無い表情で私の肩を掴み・・・。





「王女ぉおおおおおおおお!!!!!!!

 君があんな小さな女の子にまで変な事ばかり吹き込むから!!!!

 俺は、俺はぁああああああああ!!!!!!!!」


「わーーーーーーーー!!!!????

 落ち着いて下さい、勇者様。

 どうかお辞めくださーーーーい!!!!」





ま~た私の肩を激しく揺らして、頭をカクカクさせてきたの!!

どどど、どうして勇者ったら、突然怒り出したのぉ?


「?~。

 ど~したんだろ~、ご主人様。

 あんなに取り乱しちゃって~。」


「あんたのせいよ。

 あんたの。」


クロのせいなら、私に当たるのはどうか止めて~。


「大体、クロっつったわね。

 あんた、子供の癖によく『ハーレム要員』なんかやってられるわね!!

 少しはおかしいって、思わないの!?」


「思わないよ~。

 だって、ハーレム要員は大切なお仕事だから~。

 元の世界に帰れず、悲しい思いをしているご主人様を幸せにするためのお仕事だから~♪」


「え。」


私の肩を絶好調に揺らしていた勇者の手が止まる。


「・・・もしかしてクロも君もさぁ。

 そんな理由でハーレム要員、のつもりだったの?」


「は、はい。

 そ~ですけど。」


勇者の前で話す気は無かったけどね。

けれど、バレても構わなかったので、素直に答える。


「・・・・・・。

 ・・・・・・。

 ・・・・・・。」


あら?


「ど、ど~したのです?

 勇者様。

 急に大人しくなって・・・。」


「いや、何でも無いよ。

 うん。

 今はそんな場合じゃないからね。」


無理して自然に振る舞ってるのが丸わかりの態度で返事をする勇者。

・・・怒りや悲しみを抑えている風には見えないけど。

ユウナの気持ちもよくわからないけど、勇者の気持ちもよくわからないわね。


「何よ・・・。

 そんな綺麗事なんかで、私は誤魔化されないわ!!

 そもそもクロ、あんた『ハーレム』の意味、本当にわかってるの!?」


クロの発言に複雑な態度を示しつつも、ユウナは更に問い掛ける。


「・・・・・・・・・・・・。」


ユウナの問いに対し、クロは子供ながらに一生懸命考えた挙句・・・。


「・・・ね~、王女様~。」


「クロ?」


私に問い掛ける。





「『ハーレム』って、な~に?」





と。

・・・・・・・・・・・・。

あ。


「あれ!?

 クロに『ハーレム』とは何か、まだ教えてなかったっけ?

 どうだったかしら・・・。」


それとも教えたけど、クロの方が忘れちゃったとか?

よく覚えてないわ。


「クロってば、意味もわからずに『ハーレム要員』のつもりだったの?

 ・・・あなたらしいっちゃ、らしいけどねぇ。」


聖女も今まで以上に呆れ果てている。


「もう・・・あんたらねぇ。

 下らないコントはいい加減に止してちょうだい!!

 気が削がれるでしょうが。」


「いいぞ、もっとやれ~。

 黒猫族の女の子~。

 このままユウナを脱力させ切ってしまえ~。」


「(ꐦ°᷄д°᷅)」


「ビャっ!?」


別に私もクロもふざけてなんかいないんだけどなぁ。

何故か周りがふざけてるって、決めつけてくるのよ。





「しょ~がない、私が教えてあげるわ。

 あのね、クロ。ハーレムってのはね。

 一人の男の子がたくさんの女の子とすっっっっごく仲良くなる事よ。」





やれやれ顔で聖女はクロにハーレムとは何か話す。

『すっっっっごく』の辺りに謎の悪意が見え隠れするけど、お子様に対する説明としては概ね正しいわね。


「そっか~。

 ハーレムって皆で仲良くする事だったんだ~・・・。

 つまりハーレムって、い~ことだったんだ~♪」


「良い事かなぁ?」


クロの反応に聖女は首を傾げているけど、良い事かはさておき、別に悪い事って訳じゃあ・・・。





「そんなはず、ないでしょうが!!」





え。

ユウ、ナ?


「・・・何が『皆、仲良しだから良い事♪』よ?

 ハーレムなんて、最低よ。

 最低のクズと、そんな男に群がる薄汚い女共の成れの果てよ!!」


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