84 悪い子にはお仕置きですわ
私、元聖女の植物モンスター幼女のアルラウネ。
光合成をして光回復魔法を使用することによって、枯れた植物の体を再生することができたの。
どうやら太陽光の力を光回復魔法に還元することができるみたい。
つまり私は光を受ければ受けるほど、植物の体を成長させて回復させることができるということ。
やっていることはいままでと変わらないのだけどね。
光回復魔法を加速させます。
有り余った力を、植物生成へと還元しました。
急成長を繰り返したことによって、除草液の成分は完全に無効化できたの。
その成果もあって、数十本もの毒茨を生成しました。
茨を伸ばして、毒の妖精に威嚇します。
さあ、わたくしが礼儀作法というものをお教えいたしましょう。
悪い子にはお仕置きですわ。
「あ、あたいを殺したら、後悔することになるよ」
「なん、で?」
「あたい、魔王軍の一員なの。アルラウネなんて、魔王軍にかかればすぐに燃やしてやるんだから」
この毒の妖精、妖精なのに魔王軍の一員なの?
驚いた、悪の道に落ちてしまう妖精もいるんだね。
でもね、魔王軍だとしてもこの妖精はお仕置き対象です。
全ての茨を使って、毒の妖精を攻撃だよ。
「ひぃっ!」
「にが、さない」
毒茨での妖精を捕まえようとします。
けれどもこの妖精は逃げるのが得意だったみたい。
煙幕代わりに、精霊魔法で毒霧を発生させたの。
毒霧によって姿をくらましてしまいました。
なんだか墨を吐いて逃げるイカみたいなことをする妖精だね。
毒の妖精は的が小さいうえに、煙幕を撒きながら飛んで逃げようとしている。
まずいね、このままだとお仕置きをする前に逃亡されてしまうよ!
姿が見えないこの状況だと、毒茨で妖精を掴むことはできない。
それなら、叩き倒せばよいよね。
ハエ叩きをするように、数十本の毒茨を毒霧めがけて振り下ろします。
わたくし、心を込めて振らせていただきますの。
すると、「グギャア」という毒の妖精の声が聞こえました。
どうやら茨にぶつかったみたいだね。
ついでに毒の棘がグサリと刺さった感触もしたの。
いい気味だね。
これで少しは溜飲が下がるというものだよ。
地面へと叩きつけられた毒の妖精がピクピクと痙攣している。
かなりダメージを受けているみたい。
でも、まだお仕置きは足りませんことよ。
わたくし、さきほどは殺される寸前だったの。
「た、食べられるっ……!」
毒の妖精が飛び上がりました。
まだ逃げる体力があったみたい。けっこうしぶといね。
でも、失礼してしまいます。
妖精を食べるなんて、わたくし考えもしていませんでしたわ。
あくまでわたくしが行っているのは悪い子へのお仕置きです。
妖精をパクリとしちゃうなんて野蛮な行動、わたくしにはできません。
毒の妖精がわたくしの口の中に入りたいと泡を吹きながら懇願するようなことがあれば、話は別ですけどね。
私から距離を取ることに成功した毒の妖精が、勝ち誇ったように指をさしてきました。
「ここまでは離れれば蔓も届かないでしょ。残念でしたねー! 」
「でしたら、これは、いかが、かしら」
蔓にテッポウウリマシンガンを生成します。
狙うは逃走中の空飛ぶ妖精。
さきほどムチを与えたので、今度は飴という名の種をプレゼントです。
たまには優しくしないと、お仕置きされるほうも可哀そうだもんね。
では、ごめんあそばせ。
スポポポポンッ!
棘のように鋭利な種が、毒の妖精の羽を貫きました。
妖精はそのまま近くの木に磔状態になったの。
左の羽が種によって木に刺さって、動けないみたい。
怯える毒の妖精へ、茨を伸ばします。
こわくないよー。
ただ捕まえるだけだよー。
それでちょっと毒を流し込むだけだよー。
「こ、こんなところで……!」
毒の妖精が再び毒霧を吐き出しました。
本当にしぶとい妖精だよ。
でも、羽が木に刺さっているから、逃げることはできないはず。
毒霧が晴れるのを待ちましょう。
けれど霧がなくなると、毒の妖精の姿はありませんでした。
木には種によって刺さった羽が一枚残されたまま。
どうやら羽を犠牲にして、逃亡を図ったみたい。
敵ながらその根性は感服してしまうね。
羽を一枚失ったということは、上手く飛べないはず。
もしかしたら歩いて逃げているのかも。
でも、困ったね。
私は植物。
だから歩いて毒の妖精にトドメを刺しにいけないの。
仕方ないので魔女っこを起こすことにしました。
この騒動のなかでまだ寝ているなんて、どれだけ熟睡していたのやら。
「なんでわたしを起こしてくれなかったの!」
「だって、危ない、から」
「今度からピンチのときは一番にわたしを頼ってね!」
「わかった」
毒の妖精に襲われたことを話したら、なぜか魔女っこに怒られてしまいました。
だって危ないことには巻き込みたくなかったの。
でも、次からはもう少しだけ頼るようにするね。
それで魔女っこに妖精がいた場所付近を探しに行ってもらったんだけど、どこにも見つからなかったの。
どうやら毒の妖精に逃げられたみたい。
まあ、良いでしょう。
私を枯らした代償に、羽を一枚貰うことができた。
これでおあいこということにしておきましょう。
それに、お仕置きの続きができるときが来るかもしれないしね。
そのときを楽しみにしておくよ。
除草液の効果で枯れて死にかけたことを告げると、魔女っこは大急ぎで街へと飛んでいきました。
肥料を買ってきてくれるみたい。
実はね、いまの私の体力はかなりギリギリのところなの。
一度最後まで枯れかけたこともあって、体力が底をつく寸前だったからね。
正直、あと一撃でも除草液を浴びていたら、再生できなかったかもしれない。
本当に危なかったよ。
とにかくエネルギーを消費しすぎてしまいました。
栄養不足です。
ついでにお水もほしい。
だから肥料は待ち遠しいのだけど、あまり期待はできないかも。
だって野菜を買った代金の余りを使うと言っていたのだけど、そんな大した額は残っていなかったからね。多分、肥料は買えないと思う。
あぁ、それにしても本当に疲れた。
枯れて死にそうになったからね。
ここまで命の危機を感じたのは、炎龍様以来。
あの時は受粉をして新芽になったから平気だった。
だから、死ぬほどのダメージを負ってしまったのに、そのままの身体というのはこれが初めてかも。
だから、今は休むことにします。
蕾を閉じて、お昼寝です。
日向ぼっこをしながら寝るのは最高なの。
それでは、おやすみなさい。
今度は良い夢が見られると良いな……。
お読みいただきありがとうございます。
次回、蜜風呂でおもてなしです。







