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77 大事な家族のため身を売る覚悟で、今日も私は蜜をたくさん搾り出します

 私、植物モンスター幼女のアルラウネ。

 肥料を貰ったおかげで元気になりました。



 魔女っこが私の蜜を売ったお金で肥料を買ってくれたの。

 その肥料のおかげか私、ちょっとだけ成長したのです。


 スイカと同じくらいの大きさだった球根も、今やちょっと巨大なスイカくらいになっています。



 まだ幼女のままだけどね。

 この調子で栄養と水分、そして太陽光を得ることができれば、大きくなることも夢ではない!



 やっぱり肥料は凄いよ!

 土がこんなにも(ゆたか)だと感じたのはこれが初めて。

 モンスターを食べたわけじゃないのに、根を通して土から栄養が吸い上げられてくる気分だよ。



 でも、元気だったのはそれまで。

 肥料を与えられた代わりに、私はまた対価を差し出さなければならないの。



「アルラウネ、もっと頑張って」

「む、無理。これ以上、出ないよぉ」

「大丈夫、まだいけるよ」

「だ、だめぇ……」


 私の口から蜜が溢れてきました。

 ぽとぽととバケツの底へと蜜が落ちていきます。



「辛いのはわかるけど、まだ足りないよ?」

「うぅ……もう限界ぃ」

「もう少しだけだから」



 口の中に魔女っこの指が突っ込まれます。

 カラカラになった私の口内を、魔女っこの細い指が蹂躙(じゅうりん)します。

 指が舌に絡まり、転がされていく。

  

 飴玉を舐めたときのように、じわじわと喉の奥から新しい蜜が湧いてきました。

 魔女っこの指で絡めとられ、バケツへと入れられていく。



 そう、私は蜜の採取をされているのです。


 こんなに蜜を分泌したのは、クマパパに舐められた時以来。

 でも、今の私はあの時と違って幼女。

 この小さい体では、蜜を出す絶対量が少ないの。

 そのせいか、魔女っこに無理やり蜜を絞り出されている。


 かなり大変です……。

 もう辛くて泣いちゃいそう。



「あ、目からも蜜が出てきた」


 涙を採取される私。

 私から出る水分は全て売り物として魔女っこに収穫されてしまうの。


 これも全てはお金のため。

 妹である魔女っこのためなら、姉である私は身を売る覚悟なのです。


 でもね、この蜜搾りはいったいいつまでやれば良いのでしょうか。

 バケツ一杯分の蜜が全て売れたとしても、お鍋を買うことすらできない。

 子どもによる蜜の歩き売りでは、たいした額にはならないのだ。



 頑張らないといけないのはわかるけど、そろそろ私も限界です。

 栄養、欲しいよう。



「肥料、ほしいの」

「こないだので全部。だから我慢してね」

「……うん」

「また買ってきてあげるから」

「だめ。それじゃ、いつになっても、道具が買えない」



 今の蜜の値段では、肥料と生活用品を同時に購入することは不可能だ。

 もっと高値で売れれば良いんだけど、それではきっと誰も蜜を買ってくれない。

 だから肥料は我慢しないとね。



「じゃあ行ってくるね」

「お気を、つけて」



 街へ蜜を売りに行く魔女っこを見送ります。


 これも全ては魔女っこの生活のため。

 辛いけど、お姉さんとして我慢しないとね。


 でも、蜜を売るのは毎日じゃなくて三日に一回とかに変えてもらおう。

 これじゃいくら栄養と水分があっても、体が持たないよ。

 このままだと数日後には枯れちゃいそう。

 戻ったら魔女っこに相談しなくちゃ。




 魔女っこと入れ替わりになるように、枯れ木トレントの姿が見えました。

 驚くことに、トレントは木を数本担いで現れたの。


 どうやら私の妹分として、植物を集めていたみたい。


 どれどれ、どんな植物があるかな。

 うーん、普通の植物がほとんどだね。

 中には珍しいものも混じっているけど、大半は雑草かな。

 もう少し変わっている植物を探すよう、妖精さんに通訳を頼まないと。



 お、これはなんだろう。

 三角形のヤシの木だね。

 まだ成長途中の木みたいだけど、一本まるごと持ってくるとはトレントはかなり力持ちみたい。


 

 あ、これタヒナだ!

 このピラミッドみたいなヤシの木を、私は知っていた。

 女子高生時代、植物図鑑で見たことあるよ。


 タヒナは別名、自殺ヤシと言われている。



 タヒナはある日突然、栄養の全てを使い切って綺麗な花を咲かせます。

 そうして己の生命力を全て使い果たして種を飛ばすと、その後自殺するように幹ごと枯れてなくなってしまうの。



 このヤシの木は、たしかマダガスカル島に分布されていたはずだ。

 でも、タヒナは前の世界では絶滅が心配されていたような気がするよ。

 野生のタヒナの木は30本くらいしか発見されていないと読んだ記憶がある。

 とはいえこの世界ではその辺に生えていたわけだし、きっとたくさん生息しているのだろうね。



 とにかく、私はこのタヒナを食べれば、いつでも命を散らすことができるわけだよ!

 

 なるほどねって。

 ──いや、これ使えないよ!



 私はまだ死にたくはないの。

 とはいえ、タヒナは種を飛ばしてから枯れるわけだし、私も種として新たに転生すれば問題はないのかな。

 そう考えると、死んだふりをしたいときとかに使えそう。



 ──あ、それだ!

 良いこと思いついちゃったよ。


 私は下の口でタヒナを捕食します。

 これで私は自力で枯れることができるようになりました。



 この能力があれば、あの実験のときに役に立つかもしれない。


 タヒナとは全く関係ないんだけど、私はずっと思っていたの。

 火事のとき、受粉することによって私は幼女アルラウネになることができた。



 あのときに使用したのは、アルラウネの遺伝子を持った()しべの花と、()しべである私自身。

 なら、アルラウネの遺伝子を持った雄しべの花と、アルラウネの遺伝子を持った雌しべの花、それらを蔓に咲かせて受粉させたらどうなるのか。



 ずっと気になっていたの。

 この方法なら、もしかしたら私は子どもを作ることができるのではないかと。

 いや、子どもというよりは私のクローンだね。


 

 私は、再び自家受粉をすることに決めました。

 ただし、私の雌しべである人間の体は使わないよ。

 蔓にアルラウネの雄しべと雌しべの花を生成して、それを受粉させるわけ。



 とはいえ、自家受粉だとしても私の人間の体の雌しべを通さなければ、全く同じ個体はできないと思う。

 普通の花は自家受粉しても、全く同じ遺伝子であるクローンの花は作れないからね。



 でも、私はただの植物ではなく自分で品種改良ができるモンスター。

 同一(どういつ)の遺伝子を持った雄しべと雌しべの生成くらい、お安いものなの。

 能力で手を加えて受粉すれば、私の分身である子アルラウネを生み出すことができるはず。



 植物である私なら、この方法で繁殖ができる。

 こうやって一人でも子孫を作り続けることができるのだ。

 花としては当たり前の行動だよね。



 とはいえ、むやみに繁殖してしまうと、あとが大変。

 そこでタヒナの能力があれば、増えた私を再び種に戻すことができると思うの。

 少し怖いけど、一度試してみたい。

 

 植物である私がどこまでできるのか、知っておいたほうが良いと思うから。



 覚悟を決めて、蔓を構えます。


 私は自分自身を生み出すため、受粉してアルラウネの種子を作ることにしました。


お読みいただきありがとうございます。


次回、アルラウネの種子、産みますです。

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― 新着の感想 ―
またえっちな回です。 潜性遺伝子や突然変異などもありますから、全く同じ遺伝子同士で受粉しても同じ子はできないかもしれませんよ。 できたらそれはもう現代をも超える遺伝子操作技術になります。 むしろ…
[一言] 割とこーゆー命がけの実験もサクッとやっちゃうよねこの娘……メンタルバケモノかな?(バケモノでした)
[良い点] 実験、やってみよう!! [気になる点]  花が咲いて実がなると枯れるという植物は、割とありふれていると思うの 1年草とかそのものだし、生育に時間かかるものに限定してもタケ、アガベ、ぷやらい…
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