バスルーム
怒涛のような土曜日のスケジュールをこなして花の家のソファーに二人並んで座り込む。
花も陸も充実した心地よい疲れを感じていた。
「今日は色々あって疲れたなー!!」
ぐーっと伸びをして陸は眠そうに目を擦る。
「そうですね。今お風呂入れてきますから今日は早めに寝ましょう。」
スッと立ち上がる花。
「ありがとな。花。」
陸は改めて花にお礼を言う。
「陸さんほど私疲れてないですし、大丈夫ですよ。」
ニコッと微笑む。
「なぁ、一緒に入ろうよ。」
陸は将来の妻になる予定の花に声をかける。
「えっ!?そんな、恥ずかしい!!」
顔から火が出そうな花に陸は可愛くてまた抱きしめたくなる。
「冗談だよ!先にゆっくり入っておいで。」
ふふと笑いを堪えながらバスルームに向かう花を見送る。
目に入ったオルゴールを手に取り、そっと蓋をあける。
流れてくる『トロイメライ』の音色を聴きながら、自分の母を思い出しては『花と一緒になる事を決めたよ』と報告するかのようにオルゴールを眺めた。
「きっと母さんも彼女の事気にいるさ。」
そう呟いて蓋を閉める。
奥の方から
「りくさーん!」
そう呼ぶ声が聞こえる。
「どうした?」
バスルームに向かうと、
「やっぱり一緒に入りましょう…!」
恥ずかそうに微笑む花。
逆に陸の方が先に入っていた花を直視できずに、
「いいのか…?」
花から目線を外して確認する。
「だって一緒に入りたかったんですよね?」
従順に確認してくる花の様子が愛おしくて陸は、
「じゃあ、お言葉に甘えて…。」
とシャツを脱ぐ。
その姿をじっと見つめる花の目線に気づき、
「ちょっと、花。あんまりみんなよっ!」
恥ずかしそうにする陸。
「ご、ごめんなさい!!」
湯船の中で手で顔を覆い隠し後ろを向く。
陸の広い背中を花は改めてマジマジと見た。
あの大きな背中にいつも護られていたのだと思うと愛おしさが募る。
中に入ってきた陸の背中を感謝と精一杯の『愛してる』の気持ちで流していく。
その花の気持ちが伝わったかの様に陸は振り向き彼女を見つめた。
生まれたままの姿に、白い泡がまるでドレスのように身体に纏う花の唇を優しく包み、ずっと一緒に居られる喜びをお互い分かち合って行くのだった…。




