騎士団へ その2
遅くなりました…!
遅筆…!
気がついた時、私は見知らぬところにいた。
「ここは…?」
「目を覚ましたか、嬢ちゃん。」
横から聞こえた声にびくっとして振り向くと、そこには熊のような体躯をした男がいた。
薄暗くて顔立ちはよく見えないが、怖い。
とにかく怖い。
「そんなに怯えんなって。ただちょっくら身代金を頂戴するだけだからよ。」
(いやいや、一つも安心できる要素がないのだけれど…。ちがう、そんなことより…!)
「エ、エリーはどこ⁉︎」
「エリー?あぁ、あのもう一人の嬢ちゃんのことか?あの嬢ちゃんなら伝言を頼んだぜ。」
「そう…」
おそらくエリーは身代金を要求するための伝達係にされたのだろう。私を人質にとって…。
(油断した…っ!)
どんな城下町だとしても、町には必ずそういう人たちがいる。
マントを身につけフードを被っていても、この身長と声は変えられない。
(きっと私たちはこいつらにとって格好の餌だったのね…)
この町の人たちは、ずっと守ってくれていたのだろう。私とエリーが怖い目に遭わないように。
思えば私たちがあの境を通る時、必ず誰かが一緒にいてくれた。
ちょうどあっちに買うものがある、なんて言いながら。
でも、今日は3年に一度の商人の祭典だ。この特別な市には、他国の商人や観光客も大勢来る。
みんな、今日は多忙なのだ。
私たちを見ている余裕があるはずがない。
(まさか、今日を狙って…?)
怖い。初めて感じた悪意と得体の知れない恐怖に私はぶるりと震えた。
まだまだ続きます。