OP前 その1
ピチチチ…と小鳥が鳴いている。
「ああ、朝か…。」
起き上がって窓に目を向ければ、雲ひとつない青空が見える。今日は快晴のようだ。
「んーーっ、んん?」
伸びをしようと広げかけた両手を止め、窓の外、青空を一直線に飛んでくる何かをじっと見つめる。
「あっ、あれは…」
急いでベッドから飛び降り、窓を開け放つ。
案の定、それ…青い鳥が窓の縁に止まる。
青い鳥は騎士団で緊急連絡用に飼われている、特別な鳥だ。
「青い鳥って…一体何をやらかしたんだ、ウチの殿下は」
呟きながら、鳥の足にくくりつけられていた紙を開く。
「……。」
ヤバイ。非常にヤバイ。
やったことを咎めるのはもう諦めた。
だが、今回は場所が悪い!
私はすぐに向かうべく、急いで身支度を始めた。
眠気覚ましに冷水で顔を洗い、出来る限り早く騎士団の制服を着て、マントを羽織る。
「今日は非番だったのに…」
髪は櫛で整え、高く結い上げる。
鏡の前に立ち、おかしいところがないか確認。
「よし!」
準備ができたら、テーブルの上にある呼び鈴を鳴ら…「お早う御座います、お嬢様。何か御用でしょうか?」
「エ、エリー…。早いね、まだ鳴らしてないのに…」
「御用は?」
少々食い気味だが、エリーは私専属の、とても有能な侍女である。
「今朝青い鳥が来て、急いで出向くことになった。だからリトヤに、“ごめん、また今度ね”って伝えて欲しいんだ。」
リトヤは、私の可愛い弟である。
今日は、リトヤに魔法を教える約束をしていた。
くっ…リトヤとの大切な時間が……
「お嬢様、お時間大丈夫ですか?」
私が怒りに身を震わせていると、エリーに呆れたような目で見られていた。
「えっ、時間?」
「青い鳥が来たのでしょう?」
そうだった…。急がないと収拾がつかなくなる…!
「それじゃあ、よろしくね!」
「はい。承知しました。」
と言う声を後ろに聞き、私は窓から飛び出した。