プロローグ
突然だが、
君は異世界転生モノというものを知っているだろうか。
そう、最近、小説家になろうとか言うサイトではやっているらしいジャンルだ。
俺は基本的に流行りものにすべてケチをつけるタイプで、例によって異世界転生モノをSNSサイトでこき下ろし、アニメ化されている作品に片っ端から低評価と荒らしコメントを書き込んでいた。
こんなことあるわけねーじゃんとか主人公の頭おかしいとか言っていた気がする。
まぁ、そんなわけで異世界転生ものことをいっさいわかっていなかった。
そんな俺はいますごく後悔している。
まさか、自分が異世界転生するなんて夢にも思っていなかったからな。
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俺は城崎 昌嗣、17歳高校生だ。
趣味はアニメとアンチ叩き、嫌いなものは流行りものとアンチ。
日夜、SNSや掲示板でアンチたちと討論している。
そんな、高尚な趣味のせいか凡人どもからはあまり好かれてはいない。
突然だが最近、俺の周りでは不可思議なことばかり起こっている。
たとえば、上履きの中に上履きがはじけ飛びそうになるほどのブロッコリーが詰め込まれていたり、引き出しやロッカーの中にまたしてもはじけ飛びそうなぐらいブロッコリーが入っていたり、ブロッコリー農家の息子の田中君が最近俺の顔がついたわら人形に釘を刺していたりしている。
やはり、俺は特別な人間らしく特別なことが起こっているようだ。
しかし、今日はなぜかブロッコリーではなくなめこがきちきちに詰まっていた。
なにがあったのだろうか、もしかして田中君の転校と何か関係があるのだろうか?
なめこ工場の息子の柴田君が田中君と同じわら人形を携えているのを横目に自分引き出しの中のなめこを掻き出しながらそんなことを考えていた。
「あの・・・」
突然、後ろから声をかけられた。
あぁ、また俺と付き合いたい女子か。
一声でそうわかった。
やはりというかなんというか、特別な俺には自然と女たちが寄ってくる。
しかし、俺には彼女はいない。俺には彼女を作るよりアンチどもと戦うことのほうがよっぽど重要なのだ。
今回も、俺はいつものように俺に話しかけてきた女子にこういってやった
「すまないが、俺は女には興味はない、このまま帰ってくれ」
決まった! まさにハードボイルドな回答だったな。
「え?」
どうやら俺の言ったことが衝撃的過ぎてうまく伝わらなかったようだ。
「だから、俺は女には興味はない」
「え?」
なんだこいつは。まさかとは思うが日本語を理解していないのか?
よく見ると彼女は、制服はこの学園のものではなかったし、高校生かと疑うほどの身長の低さ。
極め付けは背中からハネが生えてるときた。
こいつはヤベー奴だ、俺の直感がそういってる。
「本当にあってるのかなぁ?」
「何か、言ったか?」
「え・・・な・何も言ってませんよー。それよりですね、この手紙を受け取ってと欲しいのですヨ」
見るからに怪しい女子はポケットの中からいかにもな一通のラブレターらしき封筒をごそごそとポッケらしき場所から取り出し俺に手渡した。
俺は、手紙を受け取り少しの間眺めていると、いつの間にかあのおかしな女子は消えていた。
そこまで、長い間眺めているつもりはなかったのだがおかしな女子の姿は完全に消えていた。
そんなこんなで封筒から手紙を取り出し読んで見ると女子らしからぬ達筆で、
『放課後 屋上来たれ』
と書かれていた。
いかにも、怪しい。こんな手紙を見ていく奴などいないだろう、心の中であざ笑った。
放課後
来てしまった。
きずいたら屋上の扉の前まで来てしまっていた。
何で来てしまったんだ、何だこの胸の高鳴りは、何だこの動機は。
もしかして、俺は期待しているのか?
いや、そんなはずはない俺には女に興味なんかはないはずだ。
そもそも、こんなイベントはだいたい勘違いでおわる。
童貞まるだしじゃないか。
いったん、落ち着こう。
落ち着かない!!
やはり俺はどこか期待しているようだ。
ならば、もう付き合うしかないっ。
俺は覚悟を決め屋上のドアノブをひねり戸を開け放った。
しかし、屋上にはだれもいなかった。
まぁ、そうだろう。
俺を羨んだ凡人どもが仕掛けたいたずらだったのだ。
俺も心のどこかでわかっていた気がする。
やはり、女なんかに興味をもつものではないな、そんな感傷に浸りながら屋上のフェンスにもたれかかり、
買っておいた缶コーヒーを飲んでいた。
ガコォ
その瞬間、俺が背もたれにしていたフェンスが折れた。
たぶん、錆びかかっていたのだろう。
そんな、ことを考えてる場合じゃねぇ。
このままでは、死んでしまう。早く、何かにつかまらなくては。
俺は、とっさに屋上の縁に掴まり事なきをえた。
助かった、俺は安堵し上に上がった。
上がれない。
まさか、日ごろの運動不足がこんなところで発揮されるとは思わなかった。
自分の体重を支えている腕からどんどん力が抜けていく。
俺はこんなこんなところでしにたくない。
だれか、助けてくれないか。
そのとき
そのとき!
誰も来なかった。
やはり、アニメのような都合のいい展開は俺のような男にはないらしい。
徐々に手から力が抜けていく。
もういいか。
俺は手をはなした。
そして、見えるのは玄関前の花壇がこっちに近づいてきただけであった。
いや、俺が近づいてるのか。
こんなに冗談染みたことを考えた。
そして、俺の意識は鈍い音とともに暗くなっていった。
人気でたらいいな