第1話 VR世界へ!
私は、正月の朝から困惑していた。新年一発目に合う人が軍服をきた幼女で、なおかつVRアイドルなんぞのわけのわからないものになれと命令されているのだから。もしかしたらここは最近はやっている異世界なのか?はたまた新手の詐欺なのかなどの思考がまだ脳内をぐるぐるぐるぐるしている。
「とりあえず、一服して落ち着こうかな」
タバコに手を伸ばそうとすると軍服幼女にたばこの箱を蹴飛ばされた。
「私の前でそんな下種なものを吸うな。いいからさっさと支度しろ、東京に行くぞ。」
「へ?」
「たぶんここからだと2分で転送できるだろう」
「は?転送?ここ地方なんで東京まで3時間以上かかるとおもうけど・・」
そう言うと軍服幼女はノートパソコンとVBTと書かれている見たことのない腕章のような装置を取り出した。
「VBT装置を腕につけろ」
「まだ行くかどうかすらきめてないんだけどー・・」
「つべこべいうな!」
無理やり装置をつけられた。
「VBT起動」
「なんだこ・・」
キュィイインという甲高い機械音が聞こえた瞬間私と軍服幼女の姿は部屋から消えた。
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私の目の前には、大量の連なった箱のようなものが右往左往している空間だった。
「ここは?」
「L3の世界だ。最も移動するときくらいにしか使わんけどな」
この幼女がなにを言っているのかがわからない・・・けど箱をよく見てみるとパソコンでネットをするときなどにたまに見かけるipアドレスが記入されているではないか!
初めて見たけどこんな白い箱があのパソコンでやり取りされていたのか、としみじみ思った。
「そろそろつくぞ」
まぶしいとおもったその瞬間私は画面の向こうにいる白衣を着た人たちが目に入った。
「もしかして本当にパソコンの内側に入ってしまったの?」
「我々はこの電脳世界のことをVR世界と呼んでいる。」
「VRってあのゲームのやつでしょ、こんなのとはちがうじゃん。」
「VRヘッドセットをつけてやるタイプのゲームは疑似的に人体をVR世界に送り込むための実験だ。」
「そんな・・」
「腕章から延びるケーブルをここに刺せ」
そういうと軍服幼女は空中に青く光る四角いモジュールを指さした。幼女曰く現実世界で言うVR世界のUSBポートみたいなものらしい。腕章から延びるケーブルをモジュールにつないだ瞬間、私は見知らぬ研究所のど真ん中に幼女と二人で棒立ちしていた。
「ようこそハルモニア本部へ、官長の広瀬 桃だ。」