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裁縫メイド伝記  作者: 神無月 雪華
一章・メイドさんになりました編
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初めての戦闘をしました

王都の門から出て少しの草原にて、私とミーリアスの二人で四匹のスライムを追い詰めていた。

このスライムは魔物と呼ばれる生物の中で一番下のランクに位置する青色の全てのスライムの基礎となるものだ。

派生系がいっぱい居ることでも有名だ。

そもそも魔物とは大気中に存在する魔素を過剰に吸収したが故に急変した生物の果て、らしい。

詳しい事は未だ不明である。


「ミーリアス!私が牽制をするから貴方は、魔法でトドメを!」


私はがケースから取り出したあるものを取り出す。

それは、真紅のマスケット銃。

細部に金色の装飾を施してあるそれは魔導銃と呼ばれる物。

火薬を使わない代わりに持ち主の魔力を使用するソレは魔力と鉛、魔物の素材などによって作られた弾丸を射出すると言う破格な代物。

この異世界において、最も担い手が居ないとされる武器であり、天性の才能を必要とする人、エルフ、ドワーフ、獣人と言ったいくつかの種族の研究者達が手を組み作った物だが研究は成果を出せず打ち切り。

しかし、使い勝手が私に適しているので使っている。


「『射撃(シュート)』!!」


問題点があるとすれば一撃一撃の威力が低く、使いこなせるもの少ないので弓を使った方が数で勝てると言われていることか。

急所に当てれば一撃死となるが、まだ私の腕前は動き回る敵の急所に当てれるほど卓越はしていない。

故の牽制。

無理に倒そうとするのは悪手なのだから。

現にスライムも当たった部分に穴が開くが仕留めるには威力が足りないのだ。



そして、ミーリアス。

頭からスッポリと白色のローブを被った姿ではある彼女は魔法使いである。

顔を隠しているのは純粋に人見知りで恥ずかしがっているから。

この世界の魔法は火、水、地、風、光、闇の属性とその他の異例の無属性、空間、時間魔法などがある。

魔法はスキルによって使用が可能になるとされていてレベル1〜2は初級、3〜5は中級、6〜8は上級、9〜10は最上級と部類されている。

中級が使えれば一般的な魔法使いと言われており、最上級に至っては国に一人居るか居ないかと言われているほど。

さて、彼女は中級までの火、水、風属性魔法を使える。

彼女はスライムをいっぺんに倒せる火属性魔法でスライムを狩る係である。


「『火炎よ!』」


ミーリアスの詠唱によりスライム四匹が纏まっている中心地に炎があがる。

炎は瞬く間にスライムを焼ききる。


私とミーリアスはいい。

普通の戦い方なのだから。


問題は・・・そう。

アリスである。

私のミーリアスで四匹のスライムを倒し、残り一匹をアリスが対処できる限りする。

そういう作戦だった。


「お嬢様〜。この子凄くポヨポヨしてますよ!」

「・・・ねぇ、アリス。そのスライムは?」


四匹を、倒した私とミーリアスがアリスの方に行くとそこには銀色のスライムと戯れるアリスの姿があった。


「いえ、スライムを相手していたらいきなり影から飛びかかってきてスライムを倒してくれて、その後何故か懐かれました。」

「・・・え?」

「・・・ねぇ、アリス。知らないだろうから教えてあげるわ。そのスライムはね、スレッドスライムと言って滅多に見ないし滅多に人に懐かない希少種なのよ?」

「へぇ、そうだったんですか。」

「・・・よく分かってないでしょ。」


アリスはウッ、と顔を少し歪めたあと、


「はい。」

「スレッドスライムは魔物の素材を食べてその素材を糸へと変える能力を持っているのよ。その糸は魔物の素材加工の時にその素材と同じ強度をもっているから防具や武具を作る時に役立つの。滅多に手に入らない高級品よ?」


そんなに凄いものだったんですか。

使い勝手良さそうだなぁ。

魔物の素材か、使ってみたい。

みたいな事思ってそうな顔ね。

ミーリアスが魔法の書とか魔法陣の研究してる時と同じような顔してるわ。


「あ、あの、エリス。」

「何かしら?」

「噂なんだけど、スレッドスライムは裁縫スキルが高いと懐かれやすくなるって。」

「・・・原因が掴めたわね。」


アリスの裁縫スキルはレベル10。

噂が本当ならこれが原因。

その事を伝えようとした瞬間・・・

全身に身の毛もよだつ寒気がした。

これは、一度知っている。

これは、死に近づいている時の寒気。

子供の頃、お父様について言った時に魔物に襲われかけた時に感じた恐怖に近い死の恐怖。


「ミーリアス!アリス!」

「お嬢様!」


逃げるわよ、そういうより早く、アリスが何処からか鋏を取り出し、私を押し退ける。

そこに、

銀色の毛並みをした、狼が、爪を振るって来て・・・。



「アリス!?」

「ぐぁ!?」


甲高い金属音と共にアリスが吹き飛ばされる。


「シルバーウルフ!?」

「エリス!逃げるです!?」


油断していた!

こんな所でCランクの魔物に遭遇するなんて!

まずい、前衛二人、後衛二人のDランクの冒険者パーティーが勝てるかどうか。

私の魔導銃では威力が足りない。

それより何より、今は吹き飛ばされたアリスだ。

あの子はステータスが低い。

そう、一般人のレベル1よりもずっと。

少なくとも皆全部のステータスが50より上だ。

あの子は異常なまでにステータスが低い。


そして、前衛が居ない今、この魔物の相手は、私では動きが止められない。

ミーリアスは詠唱に隙が出来る。

まずい!

どうにかして逃げなければ・・・


「エリス!」


いつの間にか、目の前にシルバーウルフが・・・迫っていた。











吹き飛ばされた僕の視界の先で、お嬢様に銀色の毛並みの狼が迫る。


―――それは許されない事だ。


――――それは、許してはいけない事だ。


決めたはずだ。

お嬢様の側にいると。


〘―――貴方の願いは何ですか?〙


頭の中に声が響く。

それはどうでもいい事だ。


〘――――貴方が命を懸けてでも成し遂げたいことはなんですか?〙


決まっている。

僕は、お嬢様を守りたい。

あの人の隣でずっと一緒に居たい。


〘―――では、右手に鋏を。左手に針と糸を。今のあなたの出来ることは裁縫です。では、それを、それだけを全力で。〙


何を言っているのか理解出来ていない。

でも、感覚としてならわかる。

要は、この手にある裁縫具で、お嬢様を守れと。


視界がスローになる。


お嬢様に迫る牙が酷く遅く見える。


それを止めるには走っていては遅い。

だから、僕は・・・。










死を覚悟し、目を瞑ったエリスの耳に、ジャキン!という音がする。

その直後、獣の咆哮が谺響する。

威嚇でない、痛みによる叫びの様な咆哮。

エリスが目を開いたとき、


「え?ア、アリス?」


シルバーウルフの左の犬歯を鋏で切断したアリスが映る。


「はぁ!」


アリスはシルバーウルフの下顎を蹴り上げ、さらに鋏と縫い針でシルバーウルフの目を潰す。


「お嬢様!今の内に逃げます!ミーリアス様も!」


アリスはミーリアスとエリスの手を取り走り出す。


シルバーウルフが動くより前にアリス達は草原から走って逃げていった。







〘―――失われた能力(ミッシング・アビリティ)・『不可能な裁縫(インポッシブル・ソーイング)』が解放されました。〙


戦闘描写難しいのぉ。

と言っても本格的戦闘♂は数話後の予定ですから(震え声)

シルバーウルフの解説は次回



修正

最期が解放されたましたになっていたので直しました

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