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裁縫メイド伝記  作者: 神無月 雪華
一章・メイドさんになりました編
5/14

道すがらで決めました

今回短めです。

丁度いいところで切るとここになった訳で。

人間は、感情が高ぶると眠れなくなる。

その感情を抑えようとしてもまた同様に。


・・・何が言いたいかと言いますと、お嬢様に抱き着かれて眠るとか僕には無理です!


夜になって寝る事になったのですが一緒に寝ると言われ固まっていた所にいきなりお嬢様が服を脱ぎたして下着姿になり、服を着てくれと頼んだらネグリジェみたいな服を着て僕をベットにつれこみ抱き枕みたいに扱い寝てしまいました。

ちなみに僕も寝間着を渡されたのですがバスローブみたいな布1枚のタイプの女性物でした。

そんな事より僕は見た目こそ女の子に見えますが中身は男なのでどうしてもそう言うこのにも興味がある訳で。

と言うか、お嬢様ネグリジェ来たあとこっそりと下着を脱いでいたような記憶が。

お嬢様の下着姿とその後のネグリジェのせいで記憶が曖昧ですけど。

絶賛僕の背中に布越しのやわらかいかんしょくががががががが。


「(色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 ・・・。)」


そのまま僕は異世界最初の夜を美人でスタイルもいいお嬢様に抱き枕にされて過ごした。


「(これ、徹夜不可避と言うか、無理、寝れるわけがないです。)」













結局一睡も出来ないまま、朝になりました。


「おはよう、エリス、アリスさん。」

「おはよう、お母様。」

「子ぞ、坊主は良く眠れ、無かったみたいだな、うん。」


食堂に行くとフィナシュ様とラデルドさん(様付で呼んだら何故か様は辞めろと言われた。)

に挨拶をされる。


「おはようございます。フィナシュ様、ラデルドさん。寝不足は大したことありませんから大丈夫です。」

「あら、寝不足なの?眠れなかった原因は分かってるの?」


・・・お嬢様です。

とは口が裂けても言えませんね、使用人の身では。


「ちょっとした慣れない事の連続ですかね?」

「まぁ、異世界に召喚されて、そこで勇者と別れエリスの使用人になり、家の使用人達からは尊敬の眼差しを受けている上でエリスと名目上は婚約者。そりゃ混乱もするよな。しかし、恋人には、早ければ今日、おそくても1ヶ月ってところだろ?まぁ、エリスの婚約者は他貴族連中からの婚約を避けるためでもある

が。頑張れよ、エリスも坊主もな。」


昨日から思っていたことですけどこの世界は使用人の平民とか異世界人とかが貴族のお嬢様と結婚なんて出来るんでしょうか?

その事を聞くと皆さんああ、と声をあげました。


「この王国はな、双方の同意の元なら身分は気にせず結婚出来るんだよ。国王、つまり、フィレンツェが、まぁ、フィナシュの兄なんだが。あいつが即位した時に『恋愛は自由であるべきだ!』って言ってな。国民の大半と貴族の4割が同意しこの国は恋愛は双方の同意の上でなら自由に結婚できるんだ。重婚も認められているぞ。まぁ、滅多にいないがな。フィレンツェも妾いないし。」

「思ってた以上に世間は狭いといいますか、昨日知り合った人がほとんど身内同士って。」


王族だったんですかフィナシュ様。


「私の場合は王族と言うよりただの貴族よ。国王の妹だからって畏まらなくても・・・最初からかしこまってたわね、アリスくんは。」

「メイドですから。」

「半日そこらでもう慣れている適応能力に驚きですね。アリスさんはなんと言いますか、規格外ですね。」


地球の生活で覚えたことの一つに状況には直ぐに慣れろ、適応しろ、がありますから。

そうでないとやっていけませんでしたし。


「さて、朝食を頂きましょうか。カナレイとバーリカルはもう買い出しに行ったからいないけれど。」

「え?もう行ったんですか?」


昨日買い出しに行くっていってたけど、昼頃だと。


「今日はカナレイの母親、私の親友でバーリカルの娘なんだけど、その子のお見舞いの日なのよ。だから、昼に私と一緒にお見舞いに行くの。カナレイが着いて行ったのは昨日のお仕置きらしいわ。」

「鳥肉を焼いてこっそり食べていたし、果物も幾つか。あの子、獣人だから、食事量も人より多くなるのですが、最近は摘み食いが多く、いえ、昔からですけど。」


濃い人だなぁ、あの人も。


「ああ、そうだ。アリス、今日、予定ある?」

「・・・そもそも予定を組めるほどこの世界を知らないですし、メイドの仕事も・・・。あの?サラさん?なんで苦虫を噛み潰した様な顔を?」

「いえ、気にしないでください。(完璧にメイドの仕事してたじゃないですか。今だってお嬢様にタイミングよく紅茶をお入れしていますし!)」


サラさんがなにか言いたそうだけど気にしなくてもいいのだろうか。

あ、このパン美味しい。

パンよりご飯派だったからなぁ。


「ねぇ、アリス?何で貴方、ブラジャーして無いの?」

「ゴフッ!?」


パ、パンが!

パンが喉に!

み、水!或いはお茶を!!


「何やってるのよ。ほら、飲みなさい。」


お嬢様に、紅茶を貰ってパンを急遽流し込む。


「あら、関節キス。」

「ブフォ!?」

「・・・お嬢様。アリスさんをからかうのはそこまでにしておいてあげて下さい。流石に見てるこっちが不憫になってきます。」


雑巾を借りてきて噴いた紅茶を掃除する。


「それで、なんでブラジャーして無いのよ。」

「流石に、パンツは覚悟を決めましたが、上は無理です。勘弁してください。」

「仕方ないわね。代わりに今日は私と一緒に外に行くわよ。」

「わかりました。」


なんだろう、嵌められた気がする。

まぁ、お嬢様だからいいけれど。


「完璧に尻に引かれ始めて無いか?」

「初々しいわね。私の見立てではあと一週間かしら。」

「いえ、或いはそれ以内の可能性も。」













「さて、行ってくるわ。サラはどうするの?」

「裁縫に関してはアリスさんにお任せしたいと思いますのでお嬢様とアリスさんが帰ってくるまで掃除などをしています。昼には奥様を護衛しますが。」


なんで僕のお仕事増えていくんだろう。

本来のお仕事ってお嬢様のお世話の筈なんだけれど。

任されたものはしっかりやりますが。


「じゃあ、行ってくるわ。」

「い、行ってきます。」


その一言が何故だか、とても恥ずかしかった。

行ってきます、なんて彼此数年誰かに言った記憶が無いからだろう。


「それでは、行ってらっしゃいませ。お嬢様、アリスさん。」


お辞儀をするサラさんに手を振りながらお嬢様とお屋敷を出て外へ行く。


「それで、何処に行くんですか?」

「何処だと思う?」

「いえ、あの、どんな物があるかも分かってないから何処と言われても何も出てこないんですが。」

「正解は、冒険者ギルドよ。」


冒険者ギルド?


「アリス、貴方は、この世界の事を何も知らないでしょ?」

「はい、全く持って、邪神が復活するとしか。」

「お金の事、この国の状況、魔物について、色々知っていた方がいいことがあるわ。だから、その幾つかを満たせるのが、冒険者ギルド。お金を稼いで使い方を学び、この国の些細な事情を他の冒険者から聞く。実際に魔物を狩りその脅威を少しでも他の人から遠ざける。」


「必要でしょ?」


お嬢様は手に持っていた直径60センチ弱のケースを叩きながら言う。


「このケースの中身はもう少し後にわかるから待ってなさい。」


そう言ってお嬢様は歩き出す。

確かに、僕はなにも知らない。

でも、お嬢様の言う通り、知らなければいけない。


「ほら、行くわよ。貴方は、私の使用人なんだからちゃんと着いてきなさい。」

「はい、お嬢様。」


この人のそばに居るために。

次回!

冒険者ギルド編。

今回は繋ぎみたいな物と思ってていただけると良いかと。


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