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裁縫メイド伝記  作者: 神無月 雪華
一章・メイドさんになりました編
4/14

メイドになりました(後編)

・・・料理。

何作ろう。

食材も調味料の価値とかもだいぶ違う物もあるから地球料理そのままは如何なものかと。

いや、まぁ、昔半分ネタで中世の料理を再現した時期があったんですが・・・。


「どうしたのですか?アリスさん。」

「ああ、サラさん。何を作ろうかなっと思いまして。」

「異世界の料理ではダメなのですか?」

「それでもいいかもしれませんけど、こっちの料理を作った方が、こっちじゃ使えない食材とかもあるかも知れませんし、もしかしたら見た目と名前は同じだけど味が違う食材とかも有りかねませんし。」


アレルギーとかもあるかもしれないし、気につけるに越したことは無いと思う。


「そうですか。」

「あ、でもこの食材ならシチューならいけるかな?」

「異世界でもシチューはあるんですか。驚きです。」

「まぁ、食材が似ていれば可能性はありますし。これなら結構な量を楽に作れますし。」


サラさんからこの世界のシチューのレシピを聞き、地球と違いが無いことが分かったので早速作る事に。


「これは、直火式!なら、火加減を気につけなければ!」


お肉は干し肉があったので、これを鍋で煮る。少し柔らかくなったら煮たお肉入りのお湯をに軽く炒めたジャガイモ、人参、玉葱を入れ煮る。

煮ている間にルーを作る。

出来たルーを加えコトコト煮る。


「ふぅ、結構な量を作ったから大変だったけど、上手く出来てよかった。」


自分では満足のいくシチューが出来た。


「かなり手際が良かったですね。」

「あっちじゃいつも自分で作ってましたから。」

「いえ、普通、干し肉を出汁として使うことをしませんよ?」

「え?塩味つきますし、干し肉のエキス出るしで使いません?」


僕は普通に干し肉とか作って使ってたんですけど。


「いえ、基本干し肉は非常食としての扱いですから。」

「ガーンです。で、でも他にお肉が無かった代用ですから!」

「他に、無かった?」


僕の言葉にサラさんは目を大きく見開く。


「え?はい。執事長とサラさんに聞いた貯蔵庫のお肉の場所には干し肉が八切れしかありませんでしたよ?」

「・・・という事は、昨日まであった鳥肉はカナレイが食べたのですか。何でわざわざ鳥肉を焼いて食べる元気があるんですかね、あの子は。」


溜息をつくサラさん。

ご苦労様です。


「まぁ、いいでしょう。どうせ執事長にお仕置きをくらってますし。では、夕食はこれで宜しいということで?」

「これからこの世界の料理も調べたりしてもう少し手の込んだものを作りたいですね。」

「アリスさんの腕前なら安心できます。楽しみにしていますね。味はまだ確認してませんが。」

「味見します?」


自分では結構美味しく出来たつもりですし。


「いえ、楽しみにとっておくとします。後は、旦那様が帰ってこられるまで他のことをお教えします。」


という訳で台所からでて他のところに向かうことに。







「メイド長ぉぉぉぉ!!」


廊下を歩いていると執事服を着たイケメンが布を抱えて走ってきた。


「何ですか、ツェルニ。」


この執事服を着たイケメンの人はツェルニさん。

どこからどう見てもイケメンだけれど、女性であり、男装の麗人というタイプの人であり、女性が好きと宣言した人です。

僕は本人曰く『残念ながら』好みだが無理との事。

寧ろ有難いと思ったのは女性と聞いたのがその後だからである。


「ランディが裁縫が壊滅的に下手で私は軽い刺繍くらいしか出来ないのでこのメイド服は直せない。」

「期待はしていませんでしたから構いませんよ。」

「流石にひどくないかい?」


ランディさんはツェルニさんの双子の弟でツェルニさんそっくりのイケメンだ。

挨拶した時に、僕が男と知って何故か安心してたけど、その理由は使用人全員に挨拶し終わった時に気づいた。

このお屋敷には女性使用人が五人、男性は執事長とランディさんしか居なかったので、男としては居づらかったんだなぁ、としみじみ分かった。


「裁縫なら僕出来ますよ?」

「・・・料理も出来て裁縫もですか、思わぬ拾い物とはこの事ですね。試しにお願いできますか?作り方は・・・。」


渡されたメイド服を使わないと思っていた武器扱いの裁縫具で縫い直す。

メイド服は昔縫わされたから楽チンでした。


「出来ましたよ。」


メイド服をサラさんに渡すとサラさんとツェルニさんはぽかんとした後、


「あの、渡してから二秒とかかってないのですが。」

「この私ですら目で腕の動きを追うことが出来ない速度の裁縫とは、控え目に言って裁縫の化け物だね。」

「しかも、縫い目が一切見当たらない完璧な修繕ですよ。」


ヒソヒソと二人で話しているけれど、よく聞こえない。


「あの、何かおかしいところありました?」

「えっと、(あなたの裁縫技術と言いたいですが、)問題ありません。もういっそ、家事全般をやらせてみましょう。」


サラさんが僕の手を掴み引きづるように連れていく。


「え?いきなりどうしたんですか!?」
















「まさか、規格外の家事スキル、或いはオカンスキルとでも言えばいいというのですか。」


連れてこられた先で掃除をやらされたので、自分に出来る限り綺麗にしたら何故かそんな感想を言われた。


「部屋の掃除をして貰ったら清潔感を出しつつそれでいて部屋の装飾を際立たせる配置。それでいて使いやすい椅子、入口にはスリッパ、本棚は読んでいる傾向の高い本を多少の埃から推測し取りやすいようにしている。あのガサツで汚いカナレイの部屋がこんなにキレイになるとは。」


この部屋カナレイさんの部屋だったんですか。

一言でいうと汚部屋という単語がぴったりな部屋でしたよ。


「掃除スキルは高い。なら次は裁縫をしてください。布と糸は渡すので好きなものを作ってください。」


また、いきなりですね。

渡された布は30センチ×30センチ位の白い布。

材質はハンカチなどに使われる薄目の布。

・・・作るとしたらハンカチかな?

という訳でハンカチを作成しました。

はい、します、では無くしました、です。

裁縫はかれこれ数年ずっと毎日やっていたら最終的に服なら一時間程度で設計製作ができるようになりました。

作ったハンカチは白い布に白いレースを施した物です。


「あの、普通に高級品みたいな出来しているんですが。レース縫いを容易く出来るとかどうなっているんですか?」

「趣味で身に付けました。」

「趣味の範疇からは超えた速度と精度と出来ですよ?もう売り物として貴族に売り出せるレベルです。」


なんか遠い目をし出したサラさん。


「サラ、ここにいたのね。カナレイの部屋は相変わらずの・・・部屋間違えたかしら?」


そこにお嬢様が入ってくる。


「いえ、残念ながらカナレイの部屋です。」

「あの汚い部屋は何処に行ったのよ。」

「アリスさんが僅か一時間で片付けました。更に料理もかなりの腕前みたいですし、裁縫に至っては王族御用達レベルの腕前です。お嬢様、アリスさんは家事に関しては執事長も越えると思います。作法も一時間そこらで覚えましたし。」


お嬢様は僕を見る。


「アリス、貴方を使用人序列No.1とするわ。」

「使用人序列って何ですか?」

「どれだけ使えるかの序列よ。No.1は執事長のバーリカル、No.2はサラで、その後順に他の使用人よ。ちなみに序列が高い程給金が上がるわ。」

「あの、僕はお嬢様専属ですよね?他の人は旦那様と奥様、フィナシュ様が雇い主ですよね?」


お嬢様が専属使用人をとることは今まで無かったそうです。


「そうよ?」

「なら僕は序列無くていいです。と言うか、序列とかはトラウマを呼び起こすので。」


常にカースト最下位であったせいでそう言うのにトラウマが。

ある様な、無いような?

高校入る当たりからもうどうでも良くなってた様な?


「そう、ならそうしましょう。ご飯にしましょ?そろそろお父様が帰ってくるわ。」


その言葉の後に玄関の方で扉の開く音がする。

なんでこの部屋まで音がするんですか?


「この屋敷は玄関と、窓とかからの入ったりする音は各使用人室に均等に聞こえるように魔法がかかっているそうよ。」


なるほど、とんでもファンタジーですか。

ステータス最弱だろう僕はどうなるんでしょうか。

魔法は使ってみたいです。







旦那様は騎士団長でした。

・・・騎士団長がお嬢様のお父様だったんです。

僕の姿を見て苦笑いをした後に


「言ったろ?またなっ、てな。」


と言われた時は流石に言葉が出ませんでした。

あ、あと、シチューは皆さんに好評で夕食は僕が作ることが基本になりました。

作ったハンカチはお嬢様にプレゼントしました。

気に入って貰えたらいいなぁ。

アリスくんは家事がチートだった!

戦闘能力は今後明らかになる・・・といいな?

紹介していないメイド二人については理由があります。

あと数話、あるいは次の章で登場する予定です。

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