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裁縫メイド伝記  作者: 神無月 雪華
一章・メイドさんになりました編
3/14

メイドになりました(前編)

お嬢様からメイド服を渡されました。

いや、着ませんよ?

着方わかりませんし、何より女物の服ですし・・・。


「何ボケっとしているの?アリス。はやく着替えなさい。」

「えっと、無理です。着方がわかりませんし、プライドが、」

「それなら大丈夫よ。拒否権は無いし、着方は私が手取り足取り無理矢理教えて揚げる。」


無理矢理って!

拒否権は無いって!

もう駄目だ!

おしまいだ!


「というわけでこっちに来なさい。」


もう希望を無くした僕の手をとり、お嬢様が一つの部屋に入れる。


「・・・ここは?」


どこからどう見ても女性が使用している部屋ですね。

壁に服かけてありますし。

ベットは大きくて二人分かな?


「貴方と私の部屋よ。」

「そうですか、僕とお嬢様の・・・へ・や・・・?」

「そうよ?サラを説得するのに苦労したわ。」

「いやあの、何でです?」


混乱している僕を見てお嬢様はニッコリという効果音が似合いそうな笑顔で言う。


「貴方は私に惚れているし、私は貴方を婚約者にしようと思っているの。」


婚、約者・・・?


「え、えぇぇぇぇぇぇえええ!!」

「という訳で着替えなさい。いえ、私が脱がすわ。そして私が着せるわ。」

「どういう訳です!?」


え!

ちょ、まっ!


「ていっ♪」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!?」


僕の口から出た悲鳴は女の子の悲鳴その物でした。











「お嬢様!今の悲鳴・・・は。」

「何ですか!?早々にエリスがアリスくんを襲ったのですか?」


僕の悲鳴を聞いてサラさんとお嬢様のお母様であるフィナシュ様が駆けつけてきた。

しかし、今の僕にはそんなことを気にする余裕は無かった。


「ふぇぇぇぇえ。元の服を返してください、お嬢様ぁぁぁ!!」

「駄目よ、メイド服の方が似合っているもの。可愛いわよ、アリス。」

「嬉しくないですぅぅぅぅ!」


お嬢様に下着すら引っぺがされ、下着も女性用、さらにフリフリのメイド服を着せられているのだから喜べないです。


「・・・これは。」

「普通に可愛いメイドさんね。」


そんな嬉しくもない感想を述べるお二人を涙目でチラ見してからお嬢様に抗議する。

流石に女性物の下着を履かされてブラジャーも着けられるとか男としては酷く辛いんです。


「せめて下着は男物で許してください!それか妥協してドロワーズでもいいですから!」

「・・・駄目♪」

「うぁぁぁぁぁぁぁん!?」

「だってメイド服を着ていて男物の下着なんて似合わないじゃない。」

「そもそもメイド服という選択を変えればいいと思います!」

「じゃあ、その格好を認めたらデートしてあげるわ。」


なん、だと・・・?


「そこで迷うんですか、アリスさん。」

「好きな子とデート出来るなら服装なんて些細な事よね。」


いや、まぁ、お嬢様とデートなら、良いかも?


「割とベタ惚れしてますね、アリスさんは。」

「エリスもエリスでアリスくんの事好きみたいね。あの子好きな子には最初は意地悪する子だから。」

「寧ろそれで我々はお嬢様の交友関係を判断しますしね。」

「もう付き合えばいいのにエリスも恥ずかしがってアリスくんに頑張れとか言うのね。若いっていいわね。」


お二人の話に耳を傾けながら、お嬢様とのデートとメイド服と下着を優先するかを考える。


「・・・メイドとして頑張ります。」


デートが勝ちました。


「なら、メイドとしての作法をサラに教えてもらいなさい。完璧にメイドとして働けたら恋人になってあげるわ。」

「デレたわね。」

「デレましたね。」

「お母様とサラ、うるさい。」


少し顔を赤らめて逸らすお嬢様。

・・・メイドとして頑張ってお嬢様に認めてもらおう。










「では、アリスさん。メイドの作法やお仕事をお教えいたしましょう。」

「と言うか、サラさんはいつの間にか警戒解いてますけどなんでですか?」


お嬢様と僕の部屋から出てサラさんの後を着いていくなか気になっていたことを聞く事に。


「ああ、その事ですか。お嬢様は人の悪意などの感情に敏感です。そんなお嬢様が専属使用人として雇った。更にお嬢様が貴方に好意を抱いている。でしたら、警戒する必要はありません。」

「・・・お嬢様の事、信頼されているんですね。」

「まぁ、生まれながらの親友ですし。ミーリアス王女も同じですが。と、では作法の指導を始めましょう。お屋敷に仕えているメイド五人のうち三人はこれに苦戦しました。」


え、そんな難しい事するんですか?

と聞くより前に体を後ろから抑えられる。


「え?何事です!?」

「ふふん、男でありながらメイド服が似合うなんてやるじゃない。この第二メイド、カナレイちゃんがメイド長のサポートをしようじゃない!という訳で重り付けてっと。」


僕を抑えつけたメイドさんは僕に重りをつける。

このメイドさんは現在お屋敷にいるメイドさんの中で二番目に上の人で名前はカナレイ・タザリオンさんと言うらしい。

お嬢様曰く仕事は護衛メインの家事ができないポンコツメイドらしいけど獣人なので、耳と尻尾があるのが特徴。


「良し、これでメイドの作法を学ぼうか。メイドはかなり筋肉を必要とするからね。」

「説明くらいは欲しかったです。」

「それは決まりですので、ではそのままおじきをしてください。手は前で組んでそのまま・・・」


それから一時間位メイド作法を教わった所で執事服を着た初老の男性がやってきた。

執事長のバーリカルさん。

お嬢様のお母様のフィナシュ様と旦那様の時からずっと仕えている使用人でこのお屋敷の使用人の中ではトップとの事。

白髪を後ろでまとめており、顎ヒゲがイカしているイケメンなおじさんである。

僕もこんなふうな老い方をしたいものですが、まぁ、無理ですね。

メイド服を着ている時点で。


「どうですかな、アリス殿の作法の具合は。」

「執事長ですか、なかなかの物ですよ、彼、作法は完璧に覚えますし、重りを平然と耐えてます。」


言えない。

地球にいた時に重りを括りつけられてバケツを持たせられたりとかされて苛められてたなんて言えない。

先生が来るまで放置を毎日されて筋肉がついたのは確かなのに筋肉が全然見た目に影響を及ぼして無いし筋力ステータスが低いけど筋肉人並み以上はある筈なんですよ。

嬉しくないですね、本当に。

これぞ怪我の功名という奴でしょうか?


「ほうほう、では次は掃除か料理ですかな?」

「おっと、カナレイちゃんは急用を思い出したのでおさらばするのさ!」


カナレイさんはダッシュで逃げていく。


「誰も貴方に家事をやらそうとは思わないのに。アリスさんは何か家事は出来ますか?」

「家事ですか?一通りこなせますよ?」

「それは頼もしいですね。では、夕食を作ってください。それで執事長はどうされたんですか?」

「いや、カナレイが貯蔵庫の食品を摘み食いしていたらしいのでお仕置きをと。」


カナレイさんは本当にポンコツらしい。


「ああ、アリス殿。貯蔵庫の食品や調味料は好きに使ってくれて構いません。どうせ明日買い出しに行きますので。」

「あ、はい。分かりました。」

「では。」


そう言って執事長は姿を消した。

文字通り、消えましたよ?

もう、スッ、みたいな効果音と共に一瞬で。


『え!お、お祖父ちゃん!?あ!ゆ、許してください!まって!私が悪かったですからごめんなさい!?』


遠い所からカナレイさんらしき人の悲鳴が聞こえましたが怖いのでスルーしました。

あ、カナレイさんと執事長は祖父と孫らしいです。

似てないのはこの屋敷の皆の共通意見らしいです。


多少長くなりそうなので前編後編に分けることにしました。

後編は明日投稿するつもりではいます。

エリスお嬢様はアリスに惚れているけどアリスの反応を楽しんでいるのが四割、恥ずかしいのが一割、アリスが告白してこないからが五割の理由で恋人にはまだなりません。

つまり、アリスが告白すれば速攻恋人となります。

攻略がその気になれば次で可能なメインヒロインです。

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