テンプレはおきない
門番はいなかった。
ラッキーだ。
こんなに簡単に町が見つかったのもそうだが、ついてる。
少し緊張が和らぐ。
このメインストリート?を取り敢えず進んでいこう。
小さいというほどでもない畑と家が左右に数軒続き、その先には西部劇で出てきそうな家がまばらにある。
家畜もいそうな雰囲気だ。
店や宿屋もありそうだな。
メインストリートを真っ直ぐに進む。
まばらな家が密集しだし、飲食店や雑貨屋らしき店が道の左右に軒をつらねている。歩いている人も、店の従業員もアジア系は見られない。異世界だからかもしれない。西洋風の顔立ちが多いようだ。服装は俺の粗末な格好とあまりかわらない気がする。
時折、騎士や魔法使い猟師の格好をしたグループが歩いていたのには驚いた。
「マジなんだな。」
と思わず呟いてしまった。
この世界で生きて行くことを再度考えた。
今までも脇にそれる道はいくつかあったが、ようやくメインストリートの交差点にたどり着いた。
左方向には教会らしき建物が、右にはこの町で一番大きそうな二階建ての木造建築物と西洋風の邸宅が見える。
真っ直ぐ進む先にも建物がいくつか見えるが、どこかの店に入ることに少し不安があったので、左に曲がることにした。
左へ曲がり教会へと着いた。
扉を開け声をかける。
「すいません。」
誰も返事をしない。中は薄暗いが、祭壇があったり長椅子が並べられている。教会に間違いないだろう。
もう一度、声をかける。
「すいません。どなたかいらっしゃいませんか?」
少しして、祭壇横のドアから聖職者らしき格好をした男性があらわれた。
「どうなさいましたか?」
さあ、これからだ。
「田舎から両親と行商に出てきましたが、降り悪くモンスターに襲われてしまい私だけが生き残りました。ようやくこの街にたどり着きましたが、行く宛も頼る先もお金もありません。しばらくご厄介になることはできませんでしょうか?」
ベタな言い訳になってしまったが仕方がない。
結構真剣にできたと思う。
40代とおぼしき男性は少し考えるしぐさを見せて
「わかりました。でしたら先のことを決めるまでこちらでお泊まり下さい。こちらには素泊まり用の施設もございますので、そちらを使用してください。」
やった!
「お金をなくしてしまったのですが、よろしいでしょうか?」
「お金はかまいません。この素泊まり用の施設はギルドと提携していますから、料金も30ゴルドですしね。その代わり掃除洗濯等の雑事をやってもらいますがよろしいですか?」
少し笑顔を見せて男性は言った。
「えぇ、それはもちろん。し、食事はどうなるのでしょうか?」
後は食事だ。これをどうにかしないと生きていけない。
「もちろんありますよ。朝夕の質素なものですが。」
やった!これで寝床と食事が確保された。
「ありがとうございます。宜しくお願いします。」
満面の笑みでそう答えた。
「今日はもうお疲れでしょうからお休みになられますか?夕飯はどうします?」
「今日はとても疲れましたので、先に休ませていただいてもよろしいでしょうか?」
「えぇ、そうですね。では案内しますのでついてきてください。」
祭壇横のドアの先にある山小屋のような家に案内された。
「どうぞこちらでお休み下さい。では明日からお願いします。」
中に入ると、ベッドが部屋の左右にぎっしりと並んでいる。手前の1つに靴を脱ぎ横になる。
すぐに瞼が重たくなってきた。
わかったことがある。ギルドがある。どういった組織か気になる。明日にでもたしかめないとな。
後は、この教会はギルドと提携している格安のユースホステルみたいなものか。それと格安で一泊30ゴルド。1つの貨幣価値がわかった。円はゴルドの10~20倍くらいか?断定はできないけど、参考にしよう。メモとかできたらいいのに。書くものも落ち着いたら探そう。それまでは忘れないようにしないとな。
段々と眠くなってきた。今日は生きるのに精一杯だったからな。
あのおっちゃんの名前聞くの忘れたなぁ。良い人みたいだが信用できるのか?
今日はもうどうでもいい。明日頑張ろう。
次話投稿未定
次話予定「説明するものに○」