6話 夢の余韻
家に帰り着く。
放課後、いつもよりも早い時間だった。
今日は寄り道をせずに真っ直ぐ帰ってきたからだ。
といってもグループの誘いを断ったとかではなく、ただ単に寄り道が無かっただけだった。
リーダー格の女子が見たいテレビがあるとかでさっさと帰ってしまい、結果放課後が自由になったのだ。
数人の女子の気まぐれで立場が変わったり、気まぐれで自由になったり。
どうやら私の日々は女子の気まぐれに突き動かされているようだが、
––––目の前のあんたの気まぐれは私をどのように振り回してくれるのかね・・・
千歳。
うん、なんというか。多少の予測はしてた。
自宅の前。門の目の前には少女が待っていた。
「こんにちは、先輩」
「・・・ども」
「気のない返事ですね」
いや、あなたのせいだから。
千歳の特徴的な白い髪がところどころ黒くなっている。
大体の予想はつくがそれでも一応聞く。
「髪、どうしたの?」
「かみ?ああ。クラスメイトに墨汁かけられただけですよ。白髪じゃ変だろうって」
さらりヘビーな事言うなよ。
反応しづらいから。
「そんな明らかな跡があって、先生は問題にしないの?」
「あら、朝は見て見ぬ振りしたのに今は心配してくれるんですね」
「・・・・・」
その言葉に私は何も言えなくなる。
確かに今更心配しても遅い。
「あ、いいんですよ。私は気にしていません」
「・・・・・」
「それよりちょっと私とおしゃべりしませんか?」
「私なんかと話して楽しいの?」
「はい。楽しいですよ」
いや、あんた無表情ですやん。
声も相変わらず平坦だし・・・。
?
「今まで先輩と話したくても話せませんでしたから」
まるで前から私の事を知っているかのような言い方だ。
いや、実際知ってたんだろう。
「てか、何故敬語?」
「一応先輩ですし」
一応って言いやがったぞコイツ。
「・・・・敬語、私も要らないよ。なんか落ち着かないし」
「そう?じゃあそうするわ」
一切の躊躇なく、タメ口になったな・・・。
まあ、私には敬う言葉をかけてもらう資格なんてないからないだろうからいいけど。
不意にぱんと、千歳は手を合わせ、
「とりあえず場所を変えましょうか」
そんな提案をする。
場所?
「私がここに居ると、いろいろとまずいだろうしね」
・・・・?