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私たちのヴァルキューレ  作者: 紅葉崎もみじ
プロローグ
1/27

1話 終わった世界

 夢であってほしい。

 私は切にそう願った。


 夢であってほしい。

 目の前には荒廃した世界。


 夢であってほしい。

 生物の存在しない、無の世界。

 




 周りには荒れた大地が広がっていた。


 植物の一切生えていない岩山がてんてんと、周りを覆いつくしている。岩山はどれもが巨大で、高い目線からでも上を向かないと頂が視界に入らない。高さは周りに比較できそうな人工物がないため正確なところは分からない。そもそも目の前にあっても目で直接見ている訳ではないため、分からなくて当然かもしれないが。


 ふいに地理の教科書で見た環境破壊のせいで植物の自生できなくなった地域の写真を思い出した。

 だが、ここはそんなものとは比べ物にならない場所だ。


 写真か実際に訪れた場所で感じるものが違うということなのかもしれないが、それでもこの場所は異様だった。


 ここには一切の生命の兆し、または痕跡といえるようなものが一切感じられなかった。


 ここは今まで生命と呼べるものはいなかったし、これからもここに生命が溢れることはないだろう。素人目からでもそんな断定が出来てしまうほどここには何もいない。


 いや、


 私がいた。生命にとって存在するだけで致命的ともいえる場所に私は立っていた。・・・正確に言うと、私が乗り込んでいるモノがその足でしっかりと地面を踏みしめ立っていた。

 

 そう。私はどうやら人型の巨大なロボットの中にいるようだ。





 ・・・・・・・うん、夢だ。

 逆に夢でなくしてなんだこれは。




 あーなんて恥ずかしい夢を見ているんだ私は。なんで男の子の夢を具現化したようなもの見てるの。女なのに。いや、憧れなかったというわけではないけど。

 

この歳になってロボットの中にいるなんて幼稚な夢を見るとは・・・。まあ、中というよりいわゆるコックピットといったほうが正しいか。だって操縦桿とかあるし。というか握ってるし。なんで握ってるのかといえば、握ってるというより握らされているというか。操縦桿のようなグリップを私の手が握っており、その上を機械が覆っているため手が離れないのだ。


 というかやけに細かい夢だな。機械で覆われた手からは金属の冷たい感触が伝わってくるし、コックピット内部のディテールも私の想像力を遥かに超えたデザインだ。私こういうの考えるの苦手なのに。


 ということはなにか?私の潜在意識にはデザインが苦手ながらもこういった男の子の夢丸出しのものを考えたい。そしてあまつさえそれに乗ってみたいという願望があるということだろうか。




 ・・・考えたくない。


 終わった世界に、人型巨大ロボットに、そのコックピットに、おそらく私がパイロットってことに、隣には女の子。

 中二病じゃん。高二にして中二病じゃん。




 ・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ん?

 隣には女の子?


 ふと横を向くと、とんでもない美少女と目が合った。


 







 この間、約一秒未満。我ながら今まで生きてきた中で一番脳がフル回転していた時間だったと思う。

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