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あわれ、ママ  作者: 山本ミチコ
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四、救い

僕の泣き方は激しいみたいだ。

他の子と比べてね。

頭を建具にがんがん打ち付ける。

一時間くらい。


ママは、いつも「そんなことやめなさい。ママは、ユウ君の味方よ」と言って、僕の背中を撫でる。

僕が泣く時は、誰の声も耳に入らないんだ。

何かに取りつかれたみたいになる。

と言っても、パパの真似をしているだけなんだよね。

僕のしていることは、大体がパパの二番煎じなんだ。


僕の味方のママだけど、さすがのママも、一時間もそんな状態が続くと、疲れて寝込んでしまう。

炬燵にうずくまる。

ママはパパに言った。

「何も無い世界に行きたい。苦しみたくない。そこに行けさえしたら欲しいものはない。みんなで死にましょ」


パパは、いつもこう言う。

「何も無い世界などない。何も無いというのも一つの存在だ」


ママが「楽になりたいのよ。みんなで死んだら楽になれるのよ」


パパが「楽だけの世界はない。楽というのは苦しみという比較対象がいる。死んでも楽にならない」

「真面目に生きているのに、こういうことが起こるのは耐えられないのよ…」

「悩み過ぎや」

「この子が不安定なのはママに似たから。ママの製造物責任。貧困というのもあるし」

「…」


ママは、パパが死ぬのをとめてくれると知っていて言っているのかもしれない。

大人のすることは分からないけれどね。

僕がママを苦しめているのは確か。

ぜんぶ僕が悪い。

反省。

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