11話 訓練の結果を発表しよう
雨はまだ止まない。
今まで降っていなかった分を取り戻そうとしているようである。
あれから2日。
今日も魔法の訓練中だ。
クロが使える魔法は、闇魔法と風魔法だという事が分かった。
シロは光魔法だけだった。
それでも普通に魔法を使っていけば、使える魔法が増える可能性もある。
この2日間、2人が魔法を使えるように、俺はクロにリッキスはシロに付きっきりで教えた結果、2人共ある程度の魔法を使えるようになった。
2人の成果を発表する前に、まずは光魔法と闇魔法の説明からするとしよう。
光魔法は何かと便利で、攻撃・回復共に優れている魔法だ。
この世界では雷魔法がない代わりに、この光魔法の中に雷属性が含まれている。もちろん、ただ辺りを照らす光として使う事もあれば、レーザービームのような使い方も出来る。要は発想次第なのだ。
だが、回復系の魔法は光魔法以外にはない。
なので、光魔法は色々と重宝されているらしい。
対して闇魔法は、状態異常系の魔法とも言えるだろう。
一般的には辺りを真っ暗にできたり、ある程度の攻撃も可能。だが他の魔法ほどではない。そういう認識らしいのだが、両親から魔法を教わった俺は、ある意味この闇魔法も最強だと思っている。
さっきも言った通り、状態異常系の魔法でもあるのだ。なので、毒攻撃や麻痺などがこの闇魔法に含まれているのである。
ただ、相性があるようで、闇魔法を使える全員が毒攻撃を出来るという訳ではない。
毒だけの人もいれば、麻痺だけの人もいるし、精神状態に関与出来る人もいる。
他にも色々あるにはあるのだが、今全てを上げればきりがないのでやめておく。
他にも夜に闇魔法を使った時、自分から見える範囲で闇の中を瞬間移動出来るという技もあるのだが、難易度が難しく使える人がほとんどいないらしい。
俺はつい最近、やっと使えるようになった。
2つの魔法で代表的なものはこれくらいだろうか。
次はクロとシロの成果だな。
まずは俺が教えたクロなのだが……いや、訓練の成果は実践で試した方が良いかもしれない。
シロの方はリッキスが教えていたので、俺ははっきり分からないし、お互いのお披露目会といくか。
「リッキス、そろそろ行かないか?2人の実力試しもあるしな」
そう声を掛けると、リッキスは目を輝かせた。
「そうっすね!行きましょう!──やっぱり兄貴も分かってたんすね!」
クロとシロは、俺達が言っている事が分からないようで首を傾げている。
「どこへ行くのにゃ?」
「みゃだ雨は止んでないですみゃ」
「そうだな、簡単に言うとだな…この洞窟、結界が張られてる。だから出れないんだ」
俺がこの洞窟に入った時に感じた、小さな違和感の正体はこれだったのだ。
「みゃ⁉︎」
「試しに1回外に出ようとしてみると良いっすよ」
リッキスがそう言うと、2人は洞窟の入り口まで行き外へ出ようとするが、前足が見えない壁に当たって出る事が出来なかった。
「…全然気づかにゃかったにゃ」
「この洞窟、おそらくダンジョンっすね。このタイプのダンジョンは、奥にいるという魔物のボスを倒さないと出られない仕組みだったはずっす。知らなかったとはいえ、何も調べないで案内してしまって申し訳ないっす…」
「まぁ、転移洞窟じゃなかったから良かったじゃないか」
「転移洞窟みゃ?」
「俺も話しか聞いた事がないんだが、全く知らない場所に転移させられる洞窟があるらしい」
「噂では、その移動場所はこの世界のどこかだとか、異世界だとか色々言われてるらしいっすよ」
「転移洞窟だと、ここまで戻って来るのが面倒くさそうだ」
「…それだけの理由で嫌にゃのにゃ?」
「まぁそうだな。それが面倒じゃなかったら行ってみたいな」
なんて言ったって、冒険は男のロマンじゃないか!
絶対楽しいに決まってる!
「……」
ジト目で見てくるクロを横目に、俺はパンッと手を叩く。
「取り敢えず、このダンジョンの攻略が先だな!」
「そうっすね!行きましょう!」
「この奥に階段を見つけみゃしたみゃー!」
「お!シロは行動が早いなぁ」
シロが見つけた階段を覗くと、真っ暗という訳ではなく、光草と呼ばれる植物が生えていて薄緑に照らされていた。
クロとシロが前を、その後ろを俺とリッキスがついて行く。
「──来たぞ」
「まずはボクからやるにゃ」
現れたのは3匹の豚……いや、豚と狼を足して二で割ったような魔物だった。
顔と尻尾は豚、胴体は狼という、何と言うかこう…物凄くかっこ悪いバランスの魔物だ。
「ブヒヒィーン!!!」
また何とも微妙な鳴き声を上げ、銀色の目を怒らせながら襲いかかってくる。
クロが3匹の前に立ちはだかり、魔法を発動させた。
発動した時、ふわりと2本の尻尾の周囲を紫が淡く光る。
それと同時に3匹の魔物の頭上に、毒の雨が降り注いだ。
「ブヒヒッ⁉︎」
3匹は何とか毒から抜け出そうとし、もがくがその内2匹は毒の水溜りの中で息絶え、水滴となって消えてった。
最後の1匹は何とか抜け出せたようだが、既に限界を超えてるのかフラフラである。
その状態で何か魔法を放とうとするも、クロの毒の追撃であっという間に息絶えた。
「どうにゃ?」
「まぁ、これくらい出来たら問題ないだろ。ただ、あの戦い方だとアイテムが落ちた時、毒でダメになる可能性があるからそこは考え所だな」
「分かったにゃ」
「……兄貴、この2日間で一体何をどうやって教えたんすか…?」
「ん?俺はふつーに教えただけだぞ?」
「ふつーすか……」
「次はワタシも頑張るのみゃ!」
「じゃあ、次はシロの番だな」
「みゃ!」
そして、歩く事数十分。
一行はクロが戦った後、一切魔物と会う事なく奥へと進んでいた。
「んー…。何か思ってた以上に魔物少なくないか?」
「そうっすねー。おかしいっす」
「──っと、噂をすればだ」
上から何か落ちてきたのに気付き、俺は飛び退く。
落ちてきたのは、身体がピンク色のナメクジに似た魔物だった。ただ、でかい。ライオンくらいの大きさではないだろうか。
「やっと出番みゃ!」
言うや否やシロが魔法を発動させる。
シロの2本の尻尾の周囲は金色に光っていた。クロの時のように淡くなく、はっきりとした金色だ。
これはまずいな。シロが魔法を発動させると共に、俺は自分自身とクロの周りに結界を張る。
リッキスは…まぁ、なんとかするだろ。
次の瞬間、ドカァアアァァンと物凄い落雷の音が鳴り響く。
「ふぎゃぁぁあ!!?」
その後もドカァン、ドカァァンと止まる事のない落雷に、リッキスは跳ね回って逃げている。
因みに魔物は1発目の落雷で、跡形もなく消えていた。
「ギャーーー!シロ!止めるっす!魔物はもう倒してますってーっ!兄貴助けてーっ!」
2人の攻防は暫く続くのであった。




