オレと別れと出発
しんみり回です。
どん亀といいながらこの更新スピード・・・。
次回からは遅くなる・・・はずです。多分
オレが相棒と別れてから約束の二年が過ぎた。
ガァアアアアアアアアアアアア!!
「なんや初めての時はビビってたけど……」
そう呟きながらオレは背中に背負った第二の相棒である大鎌を振るう。
音はしないが風が吹き、こちらに飛びかかってきていた角虎が真ん中から左右にズレる
ドシャ
とまさしく角虎は二つになった。
「もう雑魚にしか見えんなぁ。我ながら恐ろしい成長速度や」
今オレは約束した樹齢がヤバイ大樹に向かってる。
二年の月日はかなりの死地を経験する地獄やったが充実感もあった。
能力や戦闘方法にも詳しくなり、オレの側の森ではどんな魔獣も……まぁ、魔獣はあんま居らんかったけど……襲ってくることはほとんど無くなった。
だから大樹の近くで魔獣に襲われた時、懐かしい気持ちになる。
何度か遭遇&倍加させることを繰り返して約束の大樹前に来た。
「まだなんか?時間にルーズやなぁ」
自慢やないがオレは人を待たせることはあっても待たされることはほぼない。
別に関西人やからやないで!
オレの性格の問題や。
さてと……。
「待つか。…………ん?」
大樹にもたれて休もうとすると裏側、オレが来た方向とは逆から声が聞こえた気がした。
オレは気配をできるだけ殺しながらアイツがいるであろう森に入っていった。
しばらく進むと大量の魔獣の気配がある場所に着いた。
どうやら声はそこから聞こえてくる。
オレは好奇心に負けて覗いてみた。
が
すぐにやめた。
きっと疲れとるんや。うん。そうに違いない。
目を擦ってもう一度見てみる。
相棒がおった。
そこはまだいいで?でもな?
なんか周りでえらいぎょうさんおる魔獣が跪いとった。
二足歩行の魔獣は正に跪き、四足歩行の魔獣は伏せ。
さらに聞こえてきたのは
「何?侵入者じゃと?西側から?おぉ、そういえばアヤツとの約束の期限が今日じゃったか。ふむ」
という相棒の言葉。
姿はあの金髪キツネ耳九尾付き美女の姿で(面倒やから以後、九尾で)。
話を聞く限りこっち側の魔獣の王として君臨してるらしい。
オレは急いで大樹へ引き返した。
しばらくして。
「よう待った?」
そんなことを言いながら相棒が来た。
「お前、なんやえらい身分になっとらんかったか?」
「え?うん。あぁ、あそこにいたの相棒だったか……」
気付かれとったか……。
「まぁ、いいじゃん?そんなのは。それより……戻れたんだな。姿」
「ん。結構早いことな」
今、オレらは二人とも前世の姿になっとる。
妖力の行使方法を覚えてから案外あっさりと化けることができた。
相棒もさして苦労しとらんかったっぽい。
そうか、の一言で済まされた。
「さて、行くか」
「ええんか?」
「何が?」
「森のことや。お前の言うとおりあの場にオレはおった。だから知っとるで。向こうの森の王やってことはな。別にここに残るんなら好きにしたらええで?」
多分、結構な期間を王として過ごしたんやと思う。
妙な貫禄があったから。
「ばーか。俺がここに残るってことは女になるってことだ。俺の目的は変わってない。ハーレムをつくるんだ。街の場所も調べたしな」
「そか」
「それに……もう別れは済ませた。引継ぎもな」
「なら、ええか」
「おう」
そうしてオレらは歩きだした。
オレは森で出会ったアイツらを思い出しながら歩く。
数時間歩いてやっと森から出るときに
「な、あいつら……」
「追ってきてたんかいな……。見送りに」
オレが森で出会い、第二の相棒である【風神の大鎌】をくれたヤツらが。
相棒が王として君臨していた森の様々な獣が。
森との境目におった。
「貴様ら! 達者でな! 儂はいつか沢山の伴侶を連れ様子を見に来る!! その時まで、さらばぢゃ!」
九尾に戻った相棒は目を潤ませ、最後は泣きながら言った。
いつものオレならそんな姿に胸を打たれるが
「これ! おーきにな!! また沢山の嫁はん連れて見に来るから!!」
オレも大鎌を振り回しながら似たような状態やからそんなことにはならんかった。
森の住人が去っていったあと、相棒が一言つぶやいた。
「その大鎌、当たりそうだったんじゃが……」
「……スマン。てかその状態は必ずその口調なんか?」
ちょっと短い?
いつもどおりですかね?
今回しんみりだったので次回はコメディ要素強めです