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番外 俺が儂になった理由


ギャグなし

つまらないです本当に



俺の名前はヨート。

異世界に転生したことにより性別や人種が変わった。

そして俺は強くなるため二年の森篭りで修行している。

相棒と別れて角虎(ホーンタイガー)撃退から今はもう一ヶ月が経った。

初めは何かに遭遇するたびに全力逃走をしていた俺だが、初戦闘の時に力の使い方を少し知った俺は自分の攻撃力にある程度の見切りをつけ、炎術から幻術の学習、強化に重きを置いて頑張った。

最初の方こそ雑魚にすら一瞬で見抜かれていたが(今になって思えば森の獣達が鋭すぎたからで人間相手なら最初にしてもそこそこ騙せただろう)相性が炎術より良かったのかすぐにコツをつかみ始めて今では雑魚相手なら幻術に堕とすことが出来るようになっていた。

しかし強者には全く通用せず、やはり逃げる続ける毎日を送っていた。

そろそろ、本格的にヤバイなと思い始めた頃、俺は、に会った。

彼に会ったからこそ俺の幻術はチートと遜色ない力を発揮し森の王となれた。

そして、俺が儂になるキッカケともなった存在だった。






その日は朝から角ウサギを見つけて久しぶりの獲物だ! と追いかけていた。

この森では強者と弱者の力の差にかなりの開きがある。

俺が倒せるのは主に雑魚達で強い奴らは俺の幻術など即見破る。

肉などは雑魚からしか得ることが出来ず、その肉は強者から逃げる時の囮として使っていた。

しかし最近獲物の雑魚を見つけておらず数日経っている。

そして今は囮用の肉を使いきり、既に三日。

木の実を食べれば一応の空腹は満たされるが今襲われれば逃げれるかわからない。

絶対に奴を捕まえる必要があった。

だが、獲物を追い掛けていくと、おかしな場所に入り込んでしまった。

周りの風景全てがぼやけて見える場所だ。

俺は獲物の発見に興奮し、ただでさえ未熟な警戒心を緩めていたらしい。

変な場所に来ただけで襲われなかったことは運がいいとしか言えないだろう。

俺はすぐに引き返したが元の場所に戻れなかった。

角ウサギも見失っている。

俺は出来るだけ前向きに考えて魔獣の気配がなさそうなのが救いだと思い、とりあえず適当に進む。

いろんな方向に歩いたが、

真っ直ぐ。

その方向だけが進んでいる実感があった。

たまに引き返しても風景はぼやけたまま変わらない。

三時間は歩いただろうか。

腹が減って死にそうになった俺はぼやけた世界で木の小屋を見つけた。

人? ありえない。

思ったことをすぐに打ち消す。

こんな所に住む奴はいない。

ならなんだ?

この時の俺はまだ甘く、少し修羅場をくぐった高校生程度の精神だった。

俺が小屋に近付くと中から美味そうな臭いが漂ってきた。

刹那の逡巡から俺は小屋をノックした。


コンコン


ガチャ


「ほぉ、これはこれは……。儂に客人とは珍しい。しかも美しい嬢さんとは」


中から出てきたのは真っ白で量の多い髭の生えた老人だった。


「して、何のようじゃね?」


老人の後ろの小屋の中ではどうやって作ったのかと思う程の豪勢な食事。

俺は欲望に忠実だった。


「食事を、恵んで下さい」


「ふむふむ……待て。少し質問がある」


最初は俺のことを不思議そうに見ていただけだった老人が少し真剣に尋ねてきた。


「なん……ですか?」


「主、どうやってここに来た?」


「どうやってって……歩いてですが」


「歩いて……。おかしいのう。儂の幻術の結界を抜けるには嬢さんは少し、いやかなり力不足にみえるのじゃがのぅ」


「幻術って、このぼやけた風景ですか?」


俺が質問すると老人の顔色が大きく変わる。


「ぼやけた? ほっほう。ぼやけたか……。クフフ。嬢さん。この風景がぼやけて見えるのか?」


「え? はい」


なに当たり前な事を。


「なーるほどの……。嬢さん、幻術を使えるじゃろ?」


え! なんで知って


「驚くことはあるまい。よかろう! 飯じゃったな。馳走してやろう」


「え!? ホントですか!?」


「ただし!」


「な、なんですか?」


「儂の下で幻術を極めることが条件じゃ」


「わかりました!!」


この時の俺は極限状態にさらされ続けていたため裏があるか怪しむことすら出来なかった。

俺は囮にしか使うことのなかった肉を食べれることと幻術を指導してもらえる誘惑に負け、即OKして小屋へ入れてもらった。

その時「くたばる前だというのに最高の素材が来たかもしれん」という声が聞こえた気がした。

そして俺はこの老人の小屋に住むことになった。






老人の名前はルドイナ・トロイと言い、人間ではなかった。

彼は『幻想竜(ミラージュドラゴン)』と言う極めて珍しい存在だったらしい。

幻想竜はブレス等の攻撃が出来ない。

その代わりに強力な幻術を扱うことができた。

ルドイナ老はその幻想竜の最後の一匹らしい。

他の幻想竜は皆、老いて死んでいったそうだ。

幻想竜は雌の方が寿命が短く、今まで非常に際どいバランスで種を保っていた。

しかし遂に子を作る前に雌が死に絶え、残された雄もゆっくりと死んでいった。

ルドイナ老はもう2800歳を超えていると言っていた。

本来の幻想竜の寿命は2000歳。

彼は一つの執念で生きていた。

『種が滅ぶならせめて技だけでも』

彼は1200歳からの1500年間後継者を探してまわった。

しかし誰一人として完全に彼の技を受け継いだ者はいなかった。

そしてもう無理だと諦め幻術の結界に引きこもりゆっくりと死を待っていた時に俺が来た。

俺はルドイナ老の結界を抜け、小屋まで辿り着いた。

これは相当の幻術の才能が無ければ不可能なことらしく、ルドイナ老は俺に一縷の望みをかけて幻術を教えてくれたのだった。






結果から言えば、

俺はルドイナ老の技を引き継げなかった。

何故なら根本的問題としてルドイナ老は魔力を使い幻術を扱ったが、俺は妖怪である。

魔力はではなく、妖力をによって幻術を扱う。

だから完璧には引き継ぐことが出来なかったのだ。

しかし、俺の幻術はただ幻想竜の幻術を引き継げなかっただけだった。

魔力幻術と基本が同じだった妖力幻術。

魔力より妖力の方が幻術との相性が良かったことにより、俺の幻術はルドイナ老を超えた。

おそらく『魔』よりも『妖』の方がより虚ろだからだろう。

魔とは本来人智の及ばぬ力や神への反逆者を示す。

対して妖とは怪異の総称で、よく分かり得ないモノだ。

ゆえに妖力と相性が良く、また、俺が九尾の妖狐ということもプラスされたもだろう。

俺がルドイナ老の幻術を超えた四日後、ルドイナ老は死んでいた。

それは俺がルドイナ老に会って五ヶ月程たった頃だった。

彼の死に顔は幸福そうに見えた。

幻術の他にもルドイナ老にはこの世界の色々なモノを教えてもらった。

そしてその中に魔獣は古き存在のほうが強いことが多いということもあった。

俺はこれを聞き、ルドイナ老という2800年以上生きたトップクラスの古き存在の口調を真似た。

幻術は継げなかったが、言葉使いだけでも継ごうという思いからだ。

以来、俺は儂となった。

こうして、俺はしばらくルドイナ老の弔いと別れをした後、圧倒的な幻術で、カイムを下して東の森の王となったのだった。










ね? つまらなかったでしょ?

すいません……。

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