BAR現る①
最近、本屋でカクテルの本を買ったのでそれにインスパイアされて描きました!!
作者はカクテルとかは飲めないけども、誰かの癖にブッ刺さって欲しいなぁ....
あと、ブックマークと評価お願いします!!
2026年3月23日。
季節が寒い冬から暖かな春へと変わり、新しい年が本格的に始まった頃....とある街にて、一人前のバーテンダーとして独立したての青年が、錦壮馬が開店準備を行なっていた。
彼がバーテンダーとしての道を志したキッカケは、ただ単にテレビに映るバーテンダーの姿に憧れを抱いたからであった。
当時、テレビ越しではあるが美しくも洗練された動きでカクテルを作るバーテンダーを見た壮馬は、いつの間にやらバーテンダーの世界に憧れを抱き、親の反対を押し切って小さなバーで働き始めた。
そこで彼は、ステアやシェークなどの技術などのバーテンダーとしての技術の他に、酒を扱う者としてカクテルの材料となる酒の組み合わせ、それからカクテルの風味に関わるグラスの選び方等を学び、これらのことを余すところなく吸収した。
その結果、2〜3年後には師匠であるバーの店主から一人前だと認められた壮馬は、晴れてバーテンダーとして店を開くことになったのである。
「ふぅ、とりあえずはこんなところか」
店内を軽く掃除した後、独立した証である自分の店の中を見渡す壮馬の顔には、胸に熱い何かが込み上げてくるような感情が来たようで、その目頭は自然と熱くなっていた。
親からは真面目に働けと言われたものの、それでも諦めきれずに飛び込んだ結果、このような未来に辿り着く。
そのことを思い出したからか、壮馬は嬉しさと緊張が混ざったような表情になっていたのだが、それは仕方のないことなのだろう。
そんなわけで、壮馬が自分の店のオープンさせるために準備をしていた時、何の前触れもなく当然店内が横に揺れ始めたため、彼の脳裏には地震の二文字が浮かんでいた。
しかし、その地震はたったの数分間のことだったので、揺れが収まったのを確認した壮馬はやれやれと様子になった後、これは幸先が悪いなとボヤいたのだった。
「グラスは....よし、割れてないな」
カクテルを作る上で大事なガラスが割れてないことを確認し、彼はすぐさま他に異変はないかと店内を見渡すと、外の様子を見ようと思ったのかそのまま扉に手を掛け、そして勢いよく開けた。
すると....そこに広がっていたのは、何かの和風建築の建物内と思われる光景だったため、扉の先がネオン街だと思っていた壮馬が驚くのも無理もないことだった。
更に言えば、そこには如何にも瞑想に入っているであろう状態の一人の男が居た。
その男は顔立ちがとても良かった上に、見た目が歴史ドラマに出てくる侍のような姿だったため、彼は尚更驚いていたとか。
そして、すぐさま男の邪魔をしてはいけないなと思った壮馬は、そのままその場を後にしようとしていたのだが、ちょうどその時に男が瞼をゆっくりと開いたので、彼は思わずギョッとした顔になっていたのは言うまでもない。
「....貴様、何者だ?一体どこから来た」
「あ、いや、その、店の扉を開けたらここに繋がってて....」
男の追及に対し、壮馬はとりあえず嘘を言うわけにはいかないよなと思ったのか、言葉を選びながらそう答えたところ.....その男はそう呟いた後、後ろの方にある謎の扉に視線を向けていた。
彼を見つめる男のその瞳は、まるで言葉の真偽を見抜くかのような雰囲気だったので、壮馬は思わず背筋をピンと伸ばしていたのだった。
「.......何だと?」
そんな言葉を口から漏らすと、その言葉を聞いた男は彼の言っていることに興味を示したようで、座っていたはずの床から立ち上がると、そのまま物珍しそうに扉の方をマジマジと見ていた。
昔ながらの和風建築に対し、シックかつモダンな雰囲気を醸し出すバーの扉は、どこからどう見ても異質なモノだったからか、次第に男は扉の先が気になったようで
「あ、ちょ、待っ!?」
呆気に取られている壮馬を尻目に、男は銀色の取っ手を持って扉を開いて店内に入ったので、一応はその店の店主である壮馬は、慌てて彼を追いかける形で店内へと戻った。
その店内へと入った当の男はというと....目の前に広がる未知なる光景に対して目を見開いていた。
瞑想するのにピッタリだったさっきの和風建築の一室とは違い、扉の先の空間には夕焼けのような暖かな明かりが広がっていた。
店内の棚には美しいグラスや芸術品のような瓶、それから見慣れないカウンター席があり、男は恐怖よりも好奇心の方が優ってしまったのか、キョロキョロと店内を見渡していた。
「オイ、一つ聞きたいことがあるが.....良いか?」
「は、はい!!何ですか?」
男から声を掛けられるのと同時に、背筋をピンと伸ばしながらそう声を上げる壮馬。
彼の声があまりにも覇気があり、あまりにも強者としてのオーラに満ち溢れていたからか、壮馬は目の前に居る男が只者ではないと感じたようで、この場をどう切り抜けられるかを考え始めていた。
そう思っている壮馬とは裏腹に、男は意を決した様子でこう言った。
「そこの珍妙な男よ、ここはどこだ?極楽か?それとも地獄か?」
男がそう言った瞬間、壮馬は彼がこの空間に対して内心戸惑っているのだと思ったのか、相手を刺激しないような顔になりつつ、この空間についての説明を始めるのだった。
「ここは『Barオアシス』、主に酒を飲むための場所....もしくは大人の社交場ですので、地獄でも極楽でもありません」
そう言った後、その言葉を聞いて目を見開いている男に向けてニコッと笑う壮馬。
その顔を見たからなのか、それとも酒という単語を聞いたからなのかは分からないが、男はしばらく何かを考えるような仕草を見せた後、壮馬に対して質問をするようにこう言った。
「....それは日の本の酒か?南蛮の酒か?」
男がそう言うと、壮馬は南蛮?と内心思いながらもその質問に答えようとしたのか、内心不思議な感覚を抱きながらも男に向けてこう答えた。
「一応は南蛮のお酒ですね。と言っても、この店では主にカクテルを提供する予定です」
「....カクテル?」
その言葉に聞き慣れていなかったようで、何だそれはと呟くとそのまま首を傾げる男。
壮馬はそんな男の反応を見て、ますます不思議に思い始めたのだが.....野暮なことを聞くのはやめようと思った彼は、男の疑問に答えるかのようにこう説明した。
「カクテルとは、南蛮のお酒や果実の汁などを混ぜることによって完成するお酒になります。ただ....複数のお酒を混ぜているので、度数はかなり高いんですけどね」
壮馬は男にも分かりやすいようにそう説明すると、その説明を聞いた男はますますカクテルに興味を持ったようで、脇に差していた刀を取り出すとそれを壮馬に手渡した後、彼に向けてこう言った。
「では、そのカクテルとやらを私に作ってみせろ。話はそれからだ」
「えっと、その刀は....?」
「銭の代わりだ。受け取れ」
男がそう言った瞬間、壮馬は自分に拒否権が無いことを自覚したようで、その圧に屈するように恐る恐る刀を受け取った。
「ちなみに、何が飲みたいとかは....?」
「特には無い、が....強いて言うならば、私を楽しませる酒を作れ。良いな?」
「あ、はい」
男がそう言った瞬間、やっぱり拒否権は無いのだと自覚した壮馬は、カチコチになりながらもその刀をカウンターの方へと置くと、淡麗な顔立ちだけども圧が強い男.....後に越後の竜、あるいは軍神と呼ばれる男に対し、カクテルを作り始めるのだった。
【後書き】
上杉謙信はかなりの酒好きかつ酒豪だったらしく、塩をつまみを酒を呑む強者だったそうな。
なお、それが原因で亡くなったとも言われているとか。
ちなみに、壮馬が出会った時の上杉謙信はまだ長尾景虎の名前を名乗ってた時期の只中らしい。




