表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/192

第四部・第十六話(第86話) 砂迷宮の入口

 星図回廊の封を解いた先には、砂漠を南北に断ち割る巨大な渓谷が広がっていた。

 吹き抜ける風が唸りを上げ、底の見えない暗闇が口を開けている。


 「……ここが、迷宮への入口」私は息を呑む。

 「確かにただの洞窟じゃないな」ライガが剣を握り直す。

 ルビヤの紅い瞳は、闇の奥で微かに光を反射していた。




 渓谷の橋を渡ろうとしたとき、砂がうねりを上げた。

 **砂人サンドゴーレム**が姿を現し、通路を塞ぐ。


 「くっ、やっぱり守護者か!」

 ルビヤが拳を握り、ライガが剣を抜いた。


 ゴーレムの腕が振り下ろされ、石橋が軋む。

 私は即座に精霊に呼びかけた。

 「風よ、重みを削げ!」

 突風が巻き起こり、攻撃の軌道が逸れる。




 「今だ!」ライガが剣を叩きつけ、ゴーレムの腕を切り落とす。

 砂が飛び散り、形を失った腕が崩れ落ちた。


 「こっちも負けてらんない!」ルビヤは跳躍し、拳をゴーレムの胸へ。

 紅い瞳が瞬き、拳が砂の核を直撃する。


 ばきぃん!

 光を弾けさせ、ゴーレムは崩壊した。


 「……やるじゃない」私は感嘆を漏らす。

 (やっぱりこのチーム、筋肉と力業が強すぎる……俺は頭脳担当でよかった)





 崩れ落ちた砂の中に、黒い石片が混ざっていた。

 私は拾い上げ、眉をひそめる。

 (やっぱり……黒幕の呪具が仕込まれてた)


 「闇はここにも入り込んでる。迷宮の奥で必ず待ち構えてるわ」


 ルビヤが私の肩を叩き、力強く笑った。

 「なら、親友。正面突破あるのみ!」


 ライガは静かに剣を担ぎ直し、低く言った。

 「親友。どんな闇でも、俺たちが斬り払う」




 渓谷の底から、光を帯びた石門がせり上がった。

 星図盤とルビヤの瞳が反応し、扉に紋章が浮かぶ。


 「……これが、砂迷宮の入口」

 私は唇を引き結ぶ。


 「行こう。星譜の心臓を見つけるために――そして、黒幕を暴くために!」


 仲間たちと共に、私は砂の闇へ足を踏み入れた。

次回予告


第87話「知恵の間」

迷宮最初の試練は、星座を模した知恵比べ。

前世の“可視化”スキルを駆使し、聖女レティシアが攻略に挑む!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ