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第三部・第四話(第47話) 猫人族の市場で買い物ドタバタ

 獣人共和国の町の市場は、猫人族の商人たちが牛耳っていた。

 「いらっしゃいにゃー! 今日の魚は新鮮にゃ!」

 「野菜も安いにゃ! 買わなきゃ損にゃ!」


 私はすでに目を輝かせていた。

 「わぁぁぁ! 市場だぁぁぁ! 異世界バザーきたぁぁぁ!」


 妹は冷静に言った。

 「お姉さま、くれぐれも冷静に。こういう場所は熱狂すると危険です」


 「大丈夫大丈夫、社会人経験豊富な俺を信じろ!」

 ――その社会人経験が“コンビニと通販頼り”だったことは、妹には秘密だ。





 魚の屋台で、猫人族の商人がにこやかに声をかけてきた。

 「お嬢さん、美しいお顔だにゃ。今日は特別に、この干物を一袋三倍のお値段で売ってあげるにゃ!」


 「三倍!?」

 「そう、三倍払えば三倍幸せになるにゃ!」


 私は一瞬で騙されそうになった。

 「三倍の幸せ……なるほど、買います!」


 妹が慌てて割り込んだ。

 「待ってくださいお姉さま! それはぼったくりです!」

 「えっ!? でも三倍幸せに……」

 「三倍ぼったくられるだけです!」






 そこで偶然通りかかったのがライガだった。

 「何をしている」

 「ぼったくられそうになってます!」妹が即答。


 ライガは鋭い視線を猫人族の商人に向けた。

 「その袋、内容量を減らしてあるな」

 「にゃっ……!?」


 観客がざわざわし始めた。

 ライガは堂々と宣言する。

 「聖女を騙そうなど、千年早い!」


 私はぱちぱち拍手して叫んだ。

 「ライガー! 親友最高! 友情のヒーロー!」


 会場の空気が一瞬で白けた。






 妹は素早く商人の手から袋を取り上げ、中身を机にぶちまけた。

 「ほら、この干物は古い! こちらは塩抜きが甘い!」

 「ひぃぃ……! 子どもに見破られるとは……!」


 周囲の買い物客が一斉に拍手。

 「妹様すごい!」

 「さすが聖女様の妹だ!」


 私は感動で震えた。

 「うちの妹、天才! 嫁に欲しい!」

 「お姉さま!? 私は妹です!」






 結局、商人は頭を下げて「正規の値段」に戻した。

 市場の人々は笑いながら「今日は妹様のおかげだな」と囁き合っていた。


 私は妹の手を握りしめ、涙目で言った。

 「ありがとう……可愛い上に頼りになるなんて、完璧じゃないか」

 「お姉さま……そんなに甘やかさないでください!」


 そのやり取りに周囲は大爆笑。

 市場はちょっとしたお祭りのようになった。



次回予告


第三部・第五話(第48話)

「鳥人族の舞踏祭」

空を舞う鳥人族の華麗な舞踏。

レティシアは大感動するが、ライガから「踊れ」と誘われて……!?

妹の冷静なツッコミは今日も冴え渡る!

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