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第二部・第三話(第28話) 「世界樹の影――新たな試練」
ついにたどり着いた大森林の中心。
そこに聳え立つのは、天を突くほどの巨木――世界樹だった。
だがその枝葉は枯れ落ち、幹には黒い亀裂が走っていた。
その根元には、呻くような低い声が響く。
「……滅ビヨ、滅ビヨ……」
禍々しい黒い影が、世界樹を覆っていた。
駆けつけたエルフの長老たちは膝をつき、嘆きの声を上げる。
「……世界樹が……精霊の母が……」
エルヴィンも歯を食いしばる。
「我らの力では、もはや抗えぬ……」
その姿に、俺は胸の奥が熱くなるのを感じた。
「なら、俺が抗う。聖女と呼ばれたのなら、その役目を果たす」
世界樹を蝕む黒い影。
それは、この世界そのものを揺るがす新たな敵だった。
エルヴィンが弓を構え、俺の隣に立つ。
「……人間よ。いや、聖女よ。共に戦おう」
新たな仲間、新たな逆ハーレム候補。
そして世界樹の再生という、最大の試練が幕を開けた。
次回予告
第二部・第四話 黒き影の名――腐敗の魔導卿
世界樹を蝕む黒い影、その正体は古代から生き延びた魔導卿。
人間とエルフ、二つの種族の未来を懸けた戦いが始まる――!




