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第二十二話 王子クラウスの戦い――王の器を示す時
クラウスの前に現れたのは、第二王子派の刺客たちだった。
「殿下には退いていただく。我らが真の王を立てる」
「真の王……? 笑わせるな」
クラウスは剣を抜き、兵を従えて前に立つ。
乱戦が始まる。
クラウスは自ら剣を振るいながら兵を鼓舞する。
「恐れるな! 我らは王国の剣だ!」
その声に兵たちは奮い立ち、刺客を次々と退けていく。
彼自身の剣技も圧倒的。
「王は、力と心で示すものだ!」
最後の敵を切り伏せるその姿は、まさに未来の王の器だった。
戦いの後、クラウスは剣を収めて独り言のように呟いた。
「俺は王になる。その隣に誰が立とうとも、国を導く覚悟がある」
その言葉はレティシアに届くことなく、彼の胸に刻まれた。




