表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

とある娯楽(ショートショート)

作者: 藻ノ かたり

魔族と人間の争う世界。その凄惨さを見かねた神が、全ての魔族に聖なる金冠を与えた。その品は魔族の残虐性を著しく抑える効果があり、神はそれをもって両種族への和解を勧告する。もちろん勧告とは言っても、神の宣託なのだから逆らうべくもない。


当初、人間側の大半は疑心暗鬼にさいなまれたが、神への信頼もあり推移を静観する主張が大勢を占めた。またそれに応えるように、魔族側も自らの残虐性を改める者が続出した。人間ばかりではなく、魔族にとっても神は絶対なのである。


それから百年。両種族は、まるで旧知の友のように親しく接する間柄となった。


「ふふっ。そろそろかな」


天界で、神が呟く。


「神様、おやめなさいまし。そんな残酷な事は」


神の計画を知る天使が、遠慮がちに諫める。


「馬鹿を言うな。こんな愉快な事を、今更やめられるわけなかろうが」


神のニヤつく顔を見て、天使はもう何も言わなかった。


「神の計画」


それは「何の効果もない金冠」を魔族に与え、神の名の元、さも効き目があるように暗示をかける。そして人間と魔族が最高に絆を深めた時点で、真実を暴露するのだ。


その後に何が起こるのか、神は楽しみでしょうがない。理不尽な仕打ちだが、全知全能である神の前に、人々は娯楽のコマに過ぎないのだ。


神という名の悪魔が手ぐすねを引く中、下界では両種族の交流百年周年を祝う、記念すべき式典が盛大に催されていた。



【終わり】


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ