素質アリです!
どうも、腐った熊です!今回は高本の過去が明らかに!?どうぞお楽しみ下さいm(*_ _)m
高本視点
(アイドル候補生??こんなしがないサラリーマンが???)
ぐちゃぐちゃになっている頭を何とか整理しようとしていると、深瀬さんが慌てて俺に声をかけた。
「高本さん!驚くのも無理はないですけど、ここお店です!」
周りを見渡すと、他のお客さんが怪訝そうな表情でこちらを見ていた。とりあえず俺は、周りの人に申し訳なさそうな顔をしながら、
(お前のせいだぞ深瀬・・・)
と、心の中で恨み言を呟いた。
「すいません、少し混乱してしまって・・・それでアイドル候補生?でしたっけ。なぜ私なのでしょうか?理由が全く見当つかなくて・・・」
「あぁ、それはですね・・・
私の直感です!」
「・・・は?」
本当に何言ってるんだこの人?俺は驚きを隠せなかった。
「初めてあなたを見た時、ビビっと来たんですよ!『あ、この人だ』って!あなたをセンターに置いた時、僕の中にあった理想のアイドルグループ像そのものが完成したんですよ!」
「は、はあ・・・」
深瀬さんは興奮気味になり、早口で捲し立てながら説明した。
(やばい、本当に何考えてんのか分かんない。これは理解できない俺が悪いのか?それとも、単にこの人の頭がおかしいのか?)
焦りに焦っている俺を見て、深瀬さんは穏やかな微笑みを向けた。
(何でそんな菩薩顔が出来るんだこいつ・・・)
「まあ、急に言われてもすぐ理解できないのも仕方ありません。でも、ご安心を。もうあなたの会社の社長には話を通してあるので!」
俺は聞き捨てならないことを聞いた。
「・・・え待って下さい。社長に話を通したって言いました?」
「はい!直接お会いして色々ご説明させてもらった所、理解してくれたようで、あなたの参加には賛成だそうですよ!」
(何やってんだよあのバカ社長!!!)
思わずやり場のない怒りが込み上げてきた。
(確かに社長は俺が入社してからずっとお世話になってる。俺にとっての第2の父親的な存在でもあるし、社長に足向けて寝れないのは確かだが・・・こうなったら話は別だ。ちょっと明日にでも話し合いの場を設けないと・・・)
と頭を抱えていると、
「大丈夫ですか?高本さん。」
深瀬さんはとても心配そうな顔をして、こちらを見ていた。
(お前が言うな!!!)
俺は怒りが顔を出てしまわないように、笑顔を貼り付けた。
「い、いえ、大丈夫ですよ、ご安心を。・・・あの、本当に何故私なんでしょうか?正直、直感とだけ言われても納得がいかないので。」
「あぁ、まあそうですよね。あんまり話したくないんですが・・・」
深瀬さんは少し考えた後、真剣な表情でこちらを見た。
「まず第1に、私はまだあなたのアイドルに向いてるかどうかについては、一切見ていません。」
「・・・ん?え?どういうことですか?」
「まあ、はっきり言うと、とりあえずあなたの外見で判断させていただきました。」
「外見・・・?」
「はい、まずは身長。あなたは今のところ見た感じ、他の候補生のお中で1番身長が高いです。高本さん、あなた身長はどれくらいですか?」
「え?えっと・・・確か178か179だったような...」
「あぁもう完璧ですね、その身長。」
(どういうことだよ。)
「そして2つ目、あなた眼鏡かけてますよね?メガネ男子って結構需要高いんですよ、主に女性の方から。あ、僕も好きですよ?メガネ男子。」
(何か急に力説し始めたぞ)
「でも常に眼鏡ではつまらないので、たまにコンタクトでもしてもらえたら、ギャップ萌えでファンの心をゲット出来ると思うんですよ。」
「あぁ、コンタクトでしたら持ってますよ。たまに仕事の都合でコンタクトにすることもありますので。」
「あぁもう!とことん完璧ですね!最高です!ありがとうございます!!」
と、深瀬さんは勢いよく頭を下げた。
(この人本当に何考えてるか分かんない。)
と少し恐怖を感じ始めた頃、
「あぁそれと、あなたのことについて少し調べさせてもらいましたよ。」
その場の空気が少し凍った気がした。いや、正確には俺が少しピリついたのかもしれない。
「調べた、というのはどういうことでしょうか?」
俺は恐る恐る尋ねた。
「そのままの意味ですよ。生年月日や出身校、あとどういう経緯で今の会社に就職したか、とかですね。」
深瀬さんはそう言って微笑んだ。俺はその微笑みに恐怖を感じた。
「どうやって調べたんです?うちの社長がそんな簡単に社員の個人情報を渡すとは思えないし。探偵でも雇いましたか?」
「いやだなぁ、探偵は雇ってませんよ。お金かかりますし。まあ、ちょっとしたツテですよ」
(ツテねぇ・・・)
納得いかないがこれ以上は話が進まない気がしたので、一旦納得したフリをすることにした。
「あ!そうそう!1つ、高本さんに確認したいことがあったんですよ」
(このまま押し通す気かよ。)
「はい、なんでしょうか?」
「あなたの足についてです」
(俺の足?)
確かに、俺の足は少々訳ありだが、正直あまり触れてほしくない話題だ。どうしたものか。
「いいですよ。どこまで調べてるんですか?」
「おや、いいんですか?ありがとうございます。では早速、
あなたは今から8年前、高校2年生の時に、お父様と共に車に乗っていたところ、前方から来た逆走車と衝突。そのせいでお父様は死亡、高本さんも足に重傷を負い、今でも後遺症が残っている。
これで合っていますでしょうか?」
俺は黙っていた。あれからもう8年なのか。やはり、時間が経ってもあまり思い出したくないものだな。
「すいません。辛いことを思い出させてしまって」
「いえ、もうとっくに昔のことなので大丈夫ですよ。それで、確認したいこととは?」
「あ、そうそう。この足の後遺症についてなんですが、『この後遺症は激しい運動などの足に負荷がかかる動きをすると足が痛む』で合っていますか?」
「まあその通りですが、それが何か?」
「この激しい運動というのは、どれくらい激しい運動なのでしょうか?」
「・・・へ?」
意外な質問だった。事故に遭ってからあまり運動をしなくなったので、あまりそのことについて考えたことがなかったのだ。
「さあ?今まで考えたこともなかったです。何故、そんなことを?」
「いやぁね、ほら、アイドルにはやはりダンスが付き物。なので、ダンスとかどれくらいのものだったら踊れるかなぁと思って」
なんだそんなことか、と少し拍子抜けした。
「あーそうですね。恐らくですが、ブレイクダンスとか、そういうアクロバットな動きがないものでしたら、ある程度は踊れると思いますよ」
「本当ですか!?」
深瀬さんは目を輝かせて、そう言った。
「え、えぇ、多分」
「やった!ありがとうございます!もうこれで確認することはありません。あとはあなたの返事を聞くだけですよ。高本さん?」
と、深瀬さんは満足そうに俺に微笑んだ。
(そういえば、そんな話だったな。)
正直、話の展開が早すぎて本題を忘れてしまっていた。アイドル候補生、興味はないとは言いきれない。むしろ、興味ある。しかし、何かが引っかかる。自分の中でモヤモヤが広がっていく。
「すぐにお返事して頂かなくて構いません。ゆっくりお考え下さい。人生を左右する決断ですからね。さあ、もう今日はこれで解散しましょう。」
そう言われスマホの時計を見ると、もうすでに2時間半ほど経っていた。俺は深瀬さんに挨拶をして、その日は解散となった。
次の日…
俺は出社してすぐにとある部屋に向かった。昨日家に帰ってすぐに連絡を取り、事情を説明してもらうために話し合いを場を設けてもらった。そして部屋に到着し、俺は扉をノックした。
「入りなさい。」
「失礼します。
社長。」
…to be continued
いかがでしたか?次回は社長と話し合い!!どうなっていくのでしょうか??
それではまた、次回お会いしましょう